シトロエン、DSライン最新作「DS5」を国内発売
サルーンでもワゴンでもクーペでもなく

2012年8月1日発売
400万円



 プジョー・シトロエン・ジャポンは「DSライン」のトップモデル「DS5」を、8月1日に発売する。

 モノグレードで価格は400万円。オプションのレザー仕様が425万円、クラブレザー仕様が445万円で用意される。

 プレミアムモデルとして展開する「DSライン」の最新作。Bセグメントの3ドアモデル「DS3」、Cセグメントのクロスオーバーモデル「DS4」に続くDセグメントモデルとなる。同社はDSラインよりもコンサバティブで実用的な「C」シリーズとして、「C3」「C4」「C5」をB/C/Dセグメントに用意しているが、DS5はC5に呼応するDSライン製品となる。

 同社は6月19日、都内で発表会を開催した。

 

Cスポーツラウンジ

分類不可能なクルマ
 そのスタイリングは、2005年のフランクフルト・モーターショーに出展されたコンセプトカー「Cスポーツラウンジ」の量産版と言えるもの。車型としてはステーションワゴンということになるが、後方へ下がっていくルーフラインを持つフォルムにより、パーソナルでスポーティーな4ドアクーペのようでもある。

 発表会に映像で登場した仏シトロエンのフレデリック・スビル エクステリアデザインマネージャーは「サルーンでもなければステーションワゴンやクーペにも分類することのできないクルマ」と言い、ジャン・ピエール・プルエ スタイリングディレクターは「“フランス流のラグジュアリー”を実現しようというシトロエンの意欲作」とした。

 プジョー・シトロエン・ジャポンの上野国久社長はDS5を「他の車との比較の中でその個性と独自性が確認されるのではなく、シトロエンブランドの独自の世界観がより研ぎ澄まされた形で表現されている」クルマと表現している。

 スペックをC5のステーションワゴンである「C5 ツアラー」と比較すると、C5よりも310mm短く、10mm広く、20mm高く、ホイールベースは90mm短い。C5よりコンパクトでやや背が高いということになるが、ヘッドライトからサイドウインドーBピラーまで伸びる、「サーベルライン」と呼ばれるクロームモールや、車体下部に全長に渡って貼られたやはりクロームのモールにより、ボディーを薄く長く、ロングノーズショートデッキ風に見せている。

 なお荷室容量はC5の505Lに対し、456Lとなっている。C5同様に後席は6:4の分割可倒式で、これを倒して容量を拡大することができる。

 

DS5のインストゥルメントパネル

インテリアは航空機をイメージ
 インテリアのディテールは航空機から引用。センターとルーフのコンソールに並んだ多数のトグルスイッチやヘッドアップディスプレイ、操縦桿風デザインのステアリングホイールなどを備える。

 また、「コックピットルーフ」と呼ぶ3分割サンルーフを装備。前席左右シートの頭上に1枚ずつと後席に1枚の計3枚のグラスルーフで、固定式だが電動サンシェードを備える。

 最上級のクラブレザー仕様は、腕時計のベルトからインスパイアされた「ウォッチストラップ」と呼ばれる造形のシートを装備。独バイエルンの最高級牛革を使用する。

ステアリングホイールは飛行機の操縦桿風センターコンソールとルーフコンソールに多数のトグルスイッチを備える
3分割のコックピットルーフ
ヘッドアップディスプレイには速度やクルーズコントロールの情報が表示される
「ウォッチストラップ」の「クラブレザーシート」を前後席に採用

 パワートレーンはC5と全く同じ、直列4気筒DOHC 直噴1.6リッター ツインスクロールターボとアイシンAW製6速ATの組み合わせ。しかしC5よりコンパクトで軽いDS5は、燃費がC5よりも約11%改善されていると言う。

 DS5はシトロエン初のスマートキーシステムを備え、キーを身に着けていればドアハンドルを触れるだけでドアのロック/アンロックが可能なほか、エンジンスタートもプッシュボタンで可能としている。

 また、日本専用装備としてバックカメラとサイドカメラを装備。サイドカメラは左ドアミラー下に取り付けられ、左側の死角をカバーする。これらのカメラからの映像はルームミラー左側に表示される。

 カーナビはディーラーオプション。7型タッチパネル液晶、地デジチューナー、16GBメモリを備える。

1.6リッター直噴ターボエンジンを搭載
スマートキーシステムを採用。エンジンはプッシュボタンでスタート(右)
バックカメラとサイドカメラを装備。映像はルームミラーに表示される
ポータブルオーディオプレーヤーなどを接続するUSBポートを備えるディーラーオプションのカーナビ
メーターパネルラゲッジスペース。後席は6:4の分割可倒式で、トランクスルーも備える

 

バンゼCEO

DSラインはまだまだ拡大
 発表会では映像で、仏シトロエンのフレデリック・バンゼCEOがDSラインについて説明。DSラインの企画が「シトロエンの既存のラインナップとコンポーネントを共有しながら、いかにプレミアムの領域に踏み込み、全く異なるテイストのラインナップを広げていけるかというコンセプトからスタート」したと述べた。

 DSラインの“DS”は、1955年に登場したハイドロ・ニューマチックの革新的サルーン「DS」を意識したものだが、「意欲的で、トップモデルとしての存在感を備え、魔法のような魅力を持ったこの製品にとって完璧な名前」とした。

 DSラインは「伝統」「洗練」「大胆なコンセプト」「幻惑」をキーワードとして掲げるが、「シトロエンが表現する大胆さは、ブランドの歴史と遺伝子に深く根ざしたコアバリュー。シトロエンはリスクを負うことを恐れないメーカー。2CVとDSを同じショールームに並べることができたのはシトロエンだからこそ」と、DSラインにはシトロエンの精神が根付いていることをアピールした。

 またバンゼCEOは「DS5の後にも別のDSが控えている。DS5はシリーズで3番目のクルマで、最後ではない」とし、DSシリーズの拡大を示唆した。

上野社長

DS4に待望の6速AT
 日本では、既存のDSラインのアップデートが続けられる。2011年9月に投入された「DS4」は、これまで6速MTと6速シングルラッチAT「EGS」がラインナップされてきたが、この秋に6速ATモデルを導入。さらにDS5同様のクラブレザーシートを用意する。

 DS3は2010年5月の投入以来、グレードの追加や限定車の投入を継続している。こちらにも、4月に投入された「ウルトラプレステージ」にはクラブレザーシートが用意されている。

 上野社長によれば、プジョー・ジャポンとシトロエン・ジャポンを統合してプジョー・シトロエン・ジャポンとした2008年の販売台数は1496台。以来、「C3」「DS3」「C4」「DS4」の投入により、2011年には15年ぶりとなる3000台超の販売を達成。2012年上半期は1900台を販売する見通しで、これは前年比33.8%増となっている。

 上野社長は「ブランドの独自性をより際立たせながら、より広がりを与えることで、従来のシトロエンファンの枠を超えて幅広いお客様の支持を集めている」と、CシリーズとDSラインのラインナップ構成が、売上拡大に貢献していることをアピール。今後はディーラー網の拡充、顧客満足度の向上、ブランド・コミュニケーションの充実を図り、年間4000~5000台を安定的に販売できるようにするとした。

発表会場にはDS5のほかにDS4、DS3が展示された秋に導入されるクラブレザーシート仕様のDS4
DS3 シック ウルトラプレステージDS3はカラーバリエーションや特別仕様を継続して投入
DSラインとCシリーズで販売台数を拡大2013年までに60店舗を開設。ディーラーを開設できない地域にはサービスポイントを設けてフォローする

 

 DS5C5 ツアラー
全長×全幅×全高[mm]4535×1870×15104845×1860×1490
ホイールベース[mm]27252815
前/後トレッド[mm]1580/16051585/1560
重量[kg]15501680
エンジン直列4気筒DOHC 直噴1.6リッター ツインスクロールターボ
ボア×ストローク[mm]77×85.8
最高出力[kW(PS)/rpm]115(156)/6000
最大トルク[Nm/rpm]240(24.5)/1400-3500
トランスミッション6速AT
駆動方式2WD(FF)
JC08モード燃費[km/L]11.3
前/後サスペンションマクファーソンストラット/トーションビームダブルウィッシュボーン/マルチリンク
前/後ブレーキベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ225/50 R17225/55 R17
ステアリング位置
乗車定員[名]55
荷室容量[L]456~505~1462

(編集部:田中真一郎)
2012年 6月 19日