鈴鹿サーキット、7月7日オープンの「レーシングシアター」を体験
報道公開日に、F1ドライバーの小林可夢偉選手が登場

7月7日にオープンするレーシングシアターの大迫力映像

2012年7月7日オープン



 鈴鹿サーキットは7月7日にモータースポーツを体験できる新アトラクション「レーシングシアター」をオープンする。オープンに先立つ6月29日、報道陣向けに施設が公開された。この日は地元の小学生が招待され、ゲストにはF1ドライバーの小林可夢偉選手も駆け付け、子供達と一緒に新アトラクションを体験した。

 小林可夢偉選手は、6月24日の日曜日にスペインのバレンシア市街地サーキットでレースを終え、27日水曜日にヨーロッパを立ち鈴鹿サーキットに駆けつけた。子供達にモータースポーツを通して夢を与える活動を続ける小林可夢偉選手だが、次のイギリスグランプリまでは11日間しかない中での強行スケジュールでの来日となった。

 レーシングシアターを体験した小林可夢偉選手は「モータースポーツが分かりやすく体験でき、世界中を見てもこのような施設はほかにない」と絶賛、「10月の日本グランプリの際にはザウバーチームのスタッフにも見せたい」と語った。

報道陣を前に小林可夢偉選手はピエール北川氏のインタビューに答えた

 ディスカバーモータースポーツコーナーでは子供達と一緒にアトラクションを体験、多くの小学生に対しサインに応じるなどいつもどおり熱心にファンサービスを行っていた。

子供と一緒にアトラクションを楽しむ小林可夢偉選手
子供のサインに応じる小林可夢偉選手自らもアトラクションを体験

 レーシングシアターは鈴鹿サーキット開場50周年記念事業の中で、最も大がかりな施設。グランドスタンドの最終コーナー側、観覧車の手前付近に建設された。ゆうえんち側からは2階建ての建物に見え1階から入場する。斜面に建っているためサーキット側からは2階へ直接入場することとなる。

ゆうえんちからはトンネルを過ぎ右に曲がると大きなタイヤゲートが設置されているライダーのオブジェの先に建つレーシングシアター。後ろに観覧車が見える
サーキット側からはグランドスタンドの最終コーナー側、観覧車の手前に位置するサーキット側から入場する場合は2階から入ることとなる

 1階のエントランスにはチームRT(レーシングシアター)にカラーリングされたフォーミュラマシンが壁面に展示され、別の壁面には鈴鹿サーキットを走った歴史的バイクの実車が展示されている。エントランス奥には「情熱の縮図」と称し、鈴鹿8時間耐久ロードレース走ったマシンの1/12モデルも展示されている。

1階の壁面にはチームRTのマシン別の壁面には2輪の名車が並ぶ2階のエントランスの壁面にはライダー、レーサーのヘルメットが展示されている
エントランス奥の壁面は情熱の縮図として1//12の8耐マシンが展示されている。懐かしのTECH21もあれば、エヴァンゲリオンレーシングもある

 2階に上がると、壁一面にレーサー、ライダーのヘルメットが展示されている。2輪では中野真矢選手、平忠彦選手など日本を代表するライダー、4輪では星野一義選手、中嶋悟選手など日本のレース史を飾ったレーサー、F1ではベッテル選手、バトン選手、そして小林可夢偉選手のヘルメットも飾られてる。

中野真矢選手平忠彦選手ベッテル選手は日本GPスペシャルカラー
バトン選手日本一速い男、星野一義選手そして、小林可夢偉選手

 いよいよレーシングシアターの体験となるが、シアター入り口前には鈴鹿サーキットのピットを再現した空間が用意されている。上部のモニターにはラップタイムとコース各所の映像が映し出され、レーシングシアターのストーリーのプロローグとなる予選の様子を見ることができる。

 このピットにはスリックタイヤが積まれ、タイヤウォーマーのコントローラー、タイヤ交換に使うインパクトレンチ、窒素ガスボンベなども置かれ臨場感を演出している。シアター入り口上部の赤ランプが1つずつ点灯。全て点灯しブラックアウトするとドアが開かれメインシアターへ入場だ。

ウエイティングスペースは鈴鹿サーキットのピットを再現ピットのモニターには予選のデータと映像が映されていたピットに置かれたスリックタイヤ
タイヤウォーマーのコントローラーインパクトレンチ、ガスボンベ、ピットサインなども置かれているレッドシグナルが点灯。ブラックアウトするとドアが開きメインシアターへ

 レーシングシアターの主役と言えるメインシアターには19mのワイドスクリーンが設置され、60席のモーションシートが用意されている。モーションシートはレーシングカーと同様なバケットシートとなっていて、映像に合わせ前に7度、後ろへ10度、左右3度の稼働が可能で、加速感、減速感、横G、振動を演出できる。

メインシアターにはモーションシートが60席用意されているシートは前後左右に稼働する

 各シートにはエアーショットやミストを発する構造を採用し、映像と同期して風を感じたり、ウエット路面から巻き上げられる水煙を感じることでバーチャルなレース体験が可能だ。

 CGを中心に造られた映像は、ワールド・フォーミュラカーレースの最終戦が鈴鹿サーキットで開催され、チームRTの高山アキラ選手がこの最終戦で優勝を飾れば初のシリーズチャンピオンを獲得できるという設定。

 観客は高山アキラ選手のコックピットを映像とシートの動き、エアーショットやミストで疑似体験、共に優勝を目指すこととなる。この日招待された子供達は、エアーショットやミストを発生するシーンになると絶叫を上げていた。

超ワイド巨大スクリーンに映像は映される。いよいよスタート1コーナーへ2コーナーへ。無線で雨の情報が飛ぶ
2コーナー立ち上がりS字一つ目逆バンクを走るライバルマシン
デグナー進入立体交差下を抜けヘアピンへヘアピンを抜ける50号車 チームRTの高山選手

 メインシアターでの体験を終えると、次のディスカバーモータースポーツのコーナーではゲーム感覚でモータースポーツに必要な能力を試すことができる。

鈴鹿サーキットのマスコット「コチラ」は大人気ハンドルとブレーキで障害物を避けるアトラクションペダルをこぎ心肺能力を試す

 技術力に挑戦するブースでは、映像に合わせステアリング操作やアクセル、ブレーキの操作を行いポイントにより順位を争うことができる。映像に映る模範操作はフォーミュラ・ニッポンに参戦している金石年弘選手の走行データを使用し、その差が少なければ高得点を得ることができる。操作は簡単だが、大人が挑戦しても高得点を出すのは難しく、本格的なレース体験が可能だ。

ステアリング操作で金石選手に挑戦筆者も大人げなく本気で挑戦。5位となるがレベルはB

 風洞実験室では走行時の風を体感することができ、ライダーの様に姿勢を変えることで空気抵抗の変化を知ることも可能だ。ロードレーサーにまたがったり、フォーミュラカーのコックピットに座ることもでき子供から大人まで楽しめるコーナーとなっている。

風洞実験室の中で風速の体験ができるアトラクション
フォーミュラカーのコックピットを体験ハイノーズでお尻の位置よりペダル位置が高くなっている。筆者は長年気になっていたこの感覚を体験できた

 最後に設置されているレジェンドオブ鈴鹿のコーナーには、1987年のロータスホンダ99T、1968年のニッサンR380(II型)など歴史的なマシンが展示されている。レーシングシアターのオープンは7月7日。7月末には鈴鹿8時間耐久ロードレース、8月にはSUPER GT第5戦Pokka1000km、10月にはF1日本グランプリ、WTCCとビッグイベントが続くので、鈴鹿サーキットを訪れる予定の方は要チェックだ。

レジェンドオブ鈴鹿のコーナーに展示されたマシン

(奥川浩彦)
2012年 7月 3日