豊田会長、日中関係について「1日も早い事態の収拾を願っている」 自工会定例会見で10月6日から開催する「お台場学園祭2012」の概要を発表 |
自工会(日本自動車工業会)は、9月20日に定例記者会見を開催し、豊田章男会長は10月6日から開催するクルマやバイクの若者向けイベント「お台場学園祭2012」の概要や、平成25年度税制改正要望について発表した。
定例記者会見に出席した豊田章男会長(左)とお台場学園祭2012の実行委員会 田中英穂委員長 |
また、質疑応答では尖閣諸島問題に端を発する、中国での反日デモなどにまつわる質問が多く寄せられた。中国各地で反日デモが続く中、一部の国内自動車メーカーは現地工場の操業を休止しており、中には現地販売店で放火や破壊といった被害にあったとの報告もある。このことについて、豊田会長は「幸い、人的被害は伝えられていない。現地駐在員およびその家族については、現地の状況に応じて自宅待機といった安全を第一とした対応を取っている」と述べた。
こうした状況について、「私たち日本の自動車メーカーは、中国においても“よき企業市民”となるべく、中国に合弁で生産・販売事業を行い、多くの中国の従業員に支えられて中国の企業としてやってきた。中国のお客様に喜んでいただけるクルマを提供するために、中国の道に合ったクルマを開発し、中国の工場で中国の従業員が生産をしてきた。これまで、パートナーである多くの中国の友人と一緒に成長してきたと思っている。今回、日系ブランドの販売店が被害を受けたということは、本当に残念でならない。ぜひとも、両国の繁栄のためにも1日も早い事態の収拾を願っている」と、両国に関係改善を図るよう要望を語った。
■平成25年度税制改正要望
平成25年度税制改正要望について、豊田会長はかねてから訴えている「自動車関係諸税の簡素化・負担軽減を実現すべき」との意見を強く主張。「今やクルマは贅沢品ではなく生活必需品であり、特に地方では公共の乗り物になっている。その意味で、自動車ユーザーの税負担軽減がぜひとも必要」「そもそも自動車取得税、自動車重量税は財源を道路整備に充てるという、政府と自動車ユーザーの約束の元に開始されたが、これらは一般財源化され、課税根拠がなくなった現在、両税を廃止することが自動車ユーザーとの約束を守ることになる」と述べる。
また両税は二重課税であることが問題であり、さらに今後消費税の税率が引き上げられることが決まったことから、「両税をそのままにして消費税が引き上げられれば、自動車ユーザーの負担はさらに重くなる。自動車産業にとっても国内販売が致命的な打撃を受け、ひいては我が国の経済への深刻な影響が発生する」と警鐘を鳴らした。
平成25年度税制改正要望の重点項目について |
お台場学園祭2012のポスター |
■お台場学園祭2012
会見では、10月6日~8日および13日、14日に東京 お台場の各所で実施する、「お台場学園祭2012」の概要についても発表された。
自工会の乗用車メーカー8社(トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業、富士重工業、スズキ、ダイハツ工業)、2輪車メーカー3社などが中心となって主催するイベント。今年は東京モーターショー休催年であり、その代替イベントにあたる。9月13日時点だが、フォルクスワーゲングループジャパン、ポルシェジャパン、メルセデス・ベンツ日本といった輸入車メーカーや、タイヤメーカーの日本グッドイヤーも協賛している。
コンセプトは「見るだけから体験・体感への変換により、来場者のトキメキ感創出」「メーカーが自ら参加することで手作り感のあるイベント運営」の2点とし、大きく「メーカー参加コンテンツ」「学生参加コンテンツ」「子ども参加コンテンツ」の3つのコンテンツごとにイベントを用意する。
メーカー参加コンテンツでは、自動車メーカートップ自らが学生と対話する「クルマメーカーBOSSトーク」(参加予定:トヨタ、三菱自動車、スズキ)、各メーカーが製作・デザインしたオリジナルソープボックスカーで本気の競い合いをする「ソープボックスダービーinお台場学園祭」や、車両展示では各社メーカーの社員が車両説明員になって来場者と対話する機会が設けられる。
また、学生参加コンテンツでは、学生自らが設計・製作を行ったフォーミュラカーのお披露目走行をする「学生フォーミュラ」、今年のミスキャンパス候補が“ドライブデート”“ウインタースポーツ”などをテーマにファッションショーを行う「お台場ミスキャンパスコレクション『ファッションショー』」などを実施する。
そのほかにも、新型車の展示/体験試乗会や先進運転支援システム「プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」の同乗体験、自動車蚤の市「オートジャンブル」、各クルマ・バイクメーカーのトップが選んだお気に入りのモデルも展示される。詳細に関しては同イベントの公式サイトを参照されたい。
このお台場学園祭2012について、豊田会長は「最近の若者がどういうものを欲し、どういったことを楽しいと思うのかといったことを考えていたところ、このイベントの話が出てきた。あまりおじさま方が前に出ないで運営の中心にいる若者をサポートしていきたい」とし、若者が主体となって製作する同イベントを通じ、将来を担う若者に自動車に興味を持ってもらうことで、日本の未来を日本の自動車メーカーが作っていきたいとの抱負を語った。
なお、お台場学園祭2012の実行委員であるトヨタマーケティングジャパンの三枝正樹氏は、「お台場学園祭は、各メーカーがブースを立ててそれぞれが主張し合うイベントとはまったく異なる。クルマファン、バイクファンを増やしたいという我々メーカーの共通の思いの元、どうすればそれを実現できるのか一致団結し、時には学生の皆さんからアドバイスをいただいた。各社が協力してここまで議論した企画は今までなかったと思う」と述べており、手作り感があるイベントしつつも各メーカーが一体となって作り上げたとのこと。お時間のある方は、ぜひお台場学園祭2012に足を運んでみてはいかがだろうか。
お台場学園祭2012のコンセプト | メーカー参加コンテンツ |
学生参加コンテンツ | 子ども参加コンテンツ |
(編集部:小林 隆)
2012年 9月 20日