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氷上性能に特化したスタッドレス「ブリザック SI-12」を「せいこドーム」で体験してみた
REVO GZとSI-12を氷上で乗り比べ、動画も掲載


アイスリンクを、ブリザック SI-12で走行

 ブリヂストンが10月26日に北海道地区限定で発売する新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK SI-12(ブリザック エスアイジュウニ)」。現在、ブリヂストンはスタッドレスタイヤのフラッグシップ「BLIZZAK REVO GZ(ブリザック レボ ジーゼット)」をプレミアムブリザックとして、一世代前の「BLIZZAK REVO 2(ブリザック レボ ツー)」をメジャーブリザックとして販売しているが、SI-12は何よりも氷上性能を求めるユーザーの声に応える形で製品化された。

 その技術的な詳細については、関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121010_565017.html)を参照していただきたいが、最大の特徴は氷上ブレーキ性能でREVO GZより19%短く止まることができること。その代わり、ドライ路面でのライフ性能は10%低下し、直進安定性はREVO 2同等となり、やはりREVO GZに劣ってしまうことだ。

非対称形状、非対称パターンを採用するREVO GZ。ブリヂストンのフラッグシップスタッドレス 対称形状、回転方向指定の対称パターンを採用するSI-12。パターンは、八角形の形状からオクタゴンパタンと名付けられている。氷上性能を強化

 REVO 2から氷上、雪上、ドライなど総合性能で進化したREVO GZ、雪上などはREVO 2同等ながら氷上性能を極端に進化させたSI-12と考えれば、まず間違いないだろう。

 このSI-12に、氷上で試乗する機会を得たので、ここにお届けする。氷上での試乗会が行われたのは、北海道勇払郡安平町早来北進にある「せいこドーム」。安平町早来出身のオリンピック選手であった橋本聖子氏(現在は、参議院議員で日本スケート連盟会長)にちなんで名付けられたアイスリンクだ。

北海道 安平町早来北進にある「せいこドーム」 せいこドームの中。アイスリンクとなっている ドーム内部の室温は6.3度、氷温は氷点下3.7度だった。但し、場所によって異なるため、あくまで参考値

ブリザック SI-12とREVO GZをアイスリンクで乗り比べ
 試乗は、このアイスリンクでブレーキテストを交えつつ、SI-12とREVO GZ装着車で3周するもので、そのほか一般道を少しだけSI-12装着車で走行することもできた。

 ブリザック SI-12は、195/65 R15のシングルサイズ設定。このサイズは、ベストセラーカー「プリウス」や、2WD(FF)車「オーリス」、2WD・4WD車「インプレッサ」などで採用されており、販売本数が見込めるサイズとなる。用意された試乗車は、現行プリウスでマイナーチェンジ後のモデル。SI-12と比較するREVO GZは、もちろん同サイズのタイヤとなるのだが、ブリヂストンが今シーズンにハイブリッド車専用として投入したREVO GZではなく、従来のREVO GZとなっていた。

アイスリンクで、ブリザック SI-12とREVO GZを乗り比べた

 まずはREVO GZでアイスリンクを走行。REVO GZは、氷上性能に優れるタイヤとして定評があるだけに、スムーズに発進をし、約15km/hでのコーナリングも問題なくできる。ブレーキングは、20km/hから行ったが、ブレーキを踏むとギュっと効く手応えがあり、その後はABSに移行し止まる。REVO GZは2009年の発売以来、何度も試乗経験があり、氷上路面でもコントロール可能な優れたスタッドレスタイヤだ。

 いよいよ、SI-12へ。SI-12とは、Special ICE 2012 modelから名付けられており、ブリヂストンの自信がうかがえる部分だ。REVO GZのレボ発泡ゴムGZは、REVO 2のレボ発泡ゴムZに新素材「コンティニューミクロパウダー」を配合し進化させたものだが、その発泡ゴムにある水路を親水性コーティングをすることにより、吸水性を3割アップ。トレッドパターンも、八角形のブロックを敷き詰めた「オクタゴンパタン」となり、明らかに別物のタイヤとなっている。

【お詫びと訂正】記事初出時、親水性コーティングにより吸水性を4割アップとしておりましたが、正しくは3割アップとなります。
お詫びして訂正させていただきます。

ブリザック REVO GZ

ブリザック REVO GZのコーナリング。およそ15km/h

ブリザック SI-12

ブリザック SI-12のコーナリング。上のREVO GZと比べて、膨らみの少ないコーナリングラインが描けている

 SI-12を装着したプリウスのアクセルをゆっくり踏み込むと、もうそれだけで違いを感じ取ることができる。速度のノリが圧倒的に違い、1つ目のコーナーから速度オーバーで進入することに。トラクション能力差が明確すぎるほど明確だった。

 REVO GZを超える速度でコーナーに進入しても、ステアリングを切れば切っただけ曲がっていく。20km/h近くになるとさすがに出口でずれが出るが、安心感も高い。もちろん、19%向上したというブレーキング能力については、およそアイスリンクの側壁パネル2枚分、約半車身ほど短く止まることができた。

ブリザック REVO GZ(写真左)とSI-12(写真右)のブレーキングの差。回によってばらつきはあるものの、SI-12のほうが半車身ほど短く止まることが多かった

氷上ブレーキ BLIZZAK REVO GZ




氷上ブレーキ BLIZZAK SI-12


 速度が低いので、REVO GZより小さくなったオクタゴンパタンのブレなどは感じることはできなかった。ブリヂストンスタッフによると、オクタゴンパタンでブロックを小さくすることによりアイス路面の接地性は向上し、10%のライフ性能低下に関しても、もともとタイヤが減りにくいアイス路面ではなく、ドライ路面を走行した場合の数値になると言う。

せいこドーム近辺の一般道を少しだけ走ってみた。路面はウェット

一般道をSI-12で走ってみた
 せいこドーム近辺の雨の一般道を、SI-12を装着したプリウスで少しだけ走行することもできた。ブリヂストンの説明によると、SI-12の直進安定性やウェット性能についてはREVO 2同等。これは、REVO 2からREVO GZへ進化する過程で、サイドウォールの非対称形状が採り入れられ、REVO GZでは直進時とコーナリング時の最適設計がなされた結果だ。「対称形状を採用したREVO 2と同等の直進安定性はある」との言葉どおり、高速道路はともかく、一般道を普通に走る限りにおいては、不安を感じることはないと思える。

ブリザック SI-12の断面。対称形状を採用
トレッドパターン表面をマイクロスコープで確認中 一皮むける前のマイクロテクスチャー。初期状態のグリップを確保する 一皮むけた後の、発泡ゴム。長いのが水路で、水路に親水性コーティングが行われている。約100kmほど走ると、一皮むけて発泡ゴム面が現れ、本来の実力を発揮する

 タイヤが回り始めるときに、ブロックの柔らかさを一瞬感じることはあったが、回り始めてしまえば、しっかりした手応えのあるものだった。路面も限られたものであり、走行距離もわずか。少なくともウェット路面で、すぐに不安を感じるようなものではないことを記しておく。

排水性を確保するための、サイドブロックのグルーブ。回転方向指定を採用することで、高い排水性を確保する

 圧倒的な氷上性能を体感でき、ウェットの一般道ですぐに分かるような不安は感じない、このブリザック SI-12だが、スタッドレスに詳しい人が気にするのは、いわゆるシャーベット路面だろう。圧雪路面においては、オクタゴンパタンと親水性コーティングされた発泡ゴムが力を発揮しそうだと想像できるが、シャーベット路面はどうなのか。この点については、2本のストレートグルーブと、回転方向指定を付けてまでサイドブロックに切った斜めのグルーブが力を発揮するとしており、REVO 2同等だとしている。

 ブリザック SI-12は、北海道限定販売で、しかも店頭販売のみ。これは、降雪地に住むユーザーが望む氷上性能に応えた製品を、顔の見えるユーザーに販売することで、さらに進化させていきたいという意図によるものだ。ドライ性能や雪上性能はREVO 2同等でOK、但し氷上性能はもっと必要というユーザーは、サイズさえ合うならばブリヂストンの販売店に相談してみてほしい。REVO GZを超える、圧倒的な氷上性能を手に入れられるのは間違いないところだ。

 最後にせいこドームで行われた、夏タイヤとスタッドレスタイヤのグリップ力比較走行の映像を掲載しておく。テスト車は、マイナーチェンジ後のプリウス。向かって左の前輪と後輪にブリザック SI-12を装着し、向かって右の前輪と後輪に夏タイヤの「SNEAKER(スニーカー)」を装着。約20km/hで進入し、カラーコーンの個所でブレーキを踏んでいる。

 以前掲載した「夏タイヤとスタッドレスタイヤをスケートリンクで乗り比べてみた」の映像と比べてみても興味深いものがあるだろう。

向かって左側がスタッドレスタイヤのSI-12 向かって右側が夏タイヤのスニーカー


BLIZZAK SI-12と夏タイヤ


向かって左側にスタッドレスタイヤ「BLIZZAK SI-12」を装着。向かって右側に夏タイヤ「スニーカー」を装着。氷上グリップ力の差が大きすぎるため、時計回りのスピンモードに移行

 2012年-2013年シーズンは、ミシュラン、ダンロップ(住友ゴム工業)、ヨコハマタイヤ(横浜ゴム)に続き、サイズ・地域限定とはいえブリヂストンも新スタッドレスタイヤを投入してきた。スタッドレスタイヤは季節商品だけに、「買いたいときにはサイズ切れ」「雪が降ったら在庫切れ」ということが起きがち。自分のライフスタイルにあわせた、今シーズンのスタッドレスタイヤ選びの参考になればと思う。

(編集部:谷川 潔)
2012年 10月 12日