光岡自動車、インターネット放送とコラボレーションした「ビュート・オッターヴァ」
音にこだわり、乗る人の五感を刺激する特別仕様車

ミツオカとTBSのコラボレーションで生み出された「ビュート・オッターヴァ」

2012年10月24日発表
585万円



 光岡自動車は10月24日、東京放送(TBS)ホールディングスが運営するクラシック音楽専門のインターネット放送局「OTTAVA(オッターヴァ)」とのコラボレーションで誕生した特別仕様車「ビュート・オッターヴァ」を発表した。

ビュート・オッターヴァ

 ビュート・オッターヴァは、今年5月にデビューした3代目ビュートの12LX(CVT・FF 258万円)をベースとした特別仕様車。マーブルホワイトの外装色とベージュ/オレンジブラウン内装を組み合わせた単一仕様で価格は585万円となる。

河村賢整 取締役副社長

 発表会の冒頭で挨拶に立った光岡自動車の河村賢整 取締役副社長は「585万円のビュートと聞いて驚く人もいるかとは思いますが、弊社のプロダクトは大手とは異なる切り口、異なる個性を持つことに意味があると考え、30年前からこの事業を続けています。弊社の本業は輸入車の販売事業ですが、このなかでお客様から“自分しか乗っていないようなクルマが欲しい”といった要望を受けることがありました。そこで我々は、欧米諸国で古くから行われている改造業に着手し、アメリカで主流となっている内外装のムードを大きく変える手法をメインに行っています。本日発表するビュート・オッターヴァは、その最たるクルマになると思っています」とコメントした。

 続いて光岡自動車の青木孝憲 開発課長が特別仕様車の開発コンセプトについて解説。「ビュート・オッターヴァをひと言で表現するなら、少量生産車ならではの極めて趣向性の高いプレミアムコンパクトカーとなります。基本コンセプトとしては、車名にもあるインターネット放送局・オッターヴァのリスナーに“どんなクルマの車内で音楽を楽しみたいか”というテーマで要望を募り、このリクエストに応えるクルマ作りを基本骨格にしています」と語り、このコンセプトを実現するため、音響ではパイオニアのカロッツェリァXシリーズの製品を使い、セットアップをコンセプトで実績のあるCB FACTORYの山口文治氏に依頼。内装の本革シートにはスコットランドのカレドニアンレザーを使用。内外装のアクセントとして京セラの「京都オパール」を使ったエンブレムやアナログ時計を装着しており、さらに車両とコーディネートしたカーライフアイテムとして、北海道の「ソメスサドル」製の本革バッグやキーケースなども用意。一般的なコンパクトカーではまず無縁なこだわり抜いたアイテムの数々によって究極のリスニング環境が整えられている。


青木孝憲 開発課長

 また、ミツオカのラインアップ車にはガリューなどのビュートより車格の高いモデルも存在しているが、青木課長は「ビュートは20年の歴史を持つミツオカの代表的なモデルで、元の車両が持つイメージを大胆に変化させるという我々のスタンスを最も強く表現する1台ということで選びました」と車種選択の理由を説明した。

 オッターヴァ側で開発の中心となったのは、ミュージックディレクターであり、リクエスト番組に出演もしている斎藤茂ディレクター。この企画がスタートした当初、自らの番組内でリスナーに「クルマの中でどんなクラシックを聴いていますか?」「車内の音響空間に何を求めますか?」という2つの質問を投げかけたところ、想像以上に大きな反響があったとのこと。さらに内容も、予想では力強く勢いのある曲が中心になると思っていたが、チェンバロで弾かれたバッハやモーツアルトの弦楽四重奏など、繊細で柔らかい曲をクルマの車内で聞きたいという意見が多く届き、驚かされたという。そんなリスナーから寄せられた意見はデータ化され、車両開発に活かされている。

 音楽の専門家としての視点では、ほかの音楽演奏はたとえコンサートなどでもマイクで集めた音をスピーカーから出す形式が一般的だが、クラシックのコンサート会場では、演奏者が持つ楽器から出る直接音と、会場の天井や周囲の壁などで反響した間接音のミックスで楽しむことになる。これをカーオーディオで再現するのは至難の業だが、ビュート・オッターヴァではオーケストラが目の前で演奏している気分になれると強調。まるで“走るコンサートホール”のようだと表現している。

斎藤茂ディレクターは「繊細な音楽を柔らかく聴くためにデッドニングを徹底したほか、音溜まりを排除する目的で拡散材を要所に設置。ケーブルもすべて特注品で、すべてを光ケーブルで繋ぐのではなく、敢えてあいだにアナログケーブルをかませることでアナログの柔らかさを表現しています。とくに弦楽器の味わいが絶妙です」と解説「オーケストラは60~70人の演奏者がいて、それぞれの楽器の奥行きや位置関係も重要になりますが、これが1つ1つ全部クルマの中で再現されたことに驚かされました」と語る

 会場に展示されたビュート・オッターヴァはデモカーとして利用され、今後は番組のブログ内でリスナーからの要望を受け付け、日本各地のミツオカディーラーに運ばれて車両展示や試乗会などを行う予定となっている。

ビュート・オッターヴァのキャビン内装色は華やかなベージュ/オレンジブラウンステアリングもカレドニアンレザー巻きの専用品を採用
専用ウッドタイプインパネの左サイドには京都オパールの「MITSUOKA」ロゴマークを装着インパネ中央には京都オパールを盤面にあしらうアナログ時計とオーディオのメインユニット「RS-D7XIII」を配置Aピラーには「TS-Z1000RS」のツイーターが埋め込まれる
プロセッサーの「RS-P99X」とアンプの「RS-A99X」は助手席のフロア下に埋め込みカレドニアンレザーの専用本革シートはオレンジブラウンのパイピングで縁取り
ドアトリムにはベージュのカレドニアンレザーを使用
トランク内の内張にはオレンジのカレドニアンレザーを使用。日本唯一の馬具メーカー「ソメスサドル」のキャリアバッグ、スモールボストン、キーケース、メガネケース、ペンケース、フォトフレーム、オリジナルタグなどがセットになる
京都オパール加飾の専用グリルバッヂ京都オパールを使った専用Cピラーエンブレムリアカーテンを標準装備
走行中の静粛性を確保するため、タイヤをブリヂストンのエコピア PZ-XCに変更
発表会では「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」などの生演奏も行われた

(佐久間 秀)
2012年 10月 25日