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首都高、道路維持技術を紹介する「首都高点検・補修デモ2014」
土木工学等を専攻する大学生らが実際の橋の点検作業を見学
(2014/6/6 18:18)
- 2014年6月5日開催
首都高速道路は6月5日、土木工学等を専攻する大学生約50名を招き「首都高点検・補修デモ2014」を実施、報道陣に公開した。このデモは、「首都高施設安全月間」(5月9日~6月8日)の一環。「橋を守る技術(点検・補修)の体験」として葛西と舞浜の間にある舞浜大橋とその葛西側にある管理地において、実際の橋の点検作業の見学をはじめ、点検技術や保守技術の実演、維持管理に関わる技術や機材展示などが行われた。
舞浜大橋の箱桁内の点検作業
現場は首都高湾岸線で、通行量が多く、大型車も多いため騒音だけでなく揺れも多い場所。しかも点検場所の下は旧江戸川の河口で、ほぼ東京湾と言ってもよいところ。高架下に設置された足場から道路中央の鋼床版Uリブを点検したほか、点検口から密閉された箱桁内に入っても点検を行った。幸いにして公開日は雨で気温が低かったが、天候によっては高温になるなど、作業者にとって厳しい環境だ。
点検作業では、鋼床版Uリブのデッキプレート方向の亀裂を調査する。道路の下となるデッキプレートにはクルマの進行方向と平行に補強のUリブが溶接されている。この部分に亀裂が生じ、亀裂が進展して貫通した場合には、路面陥没につながるおそれがある。
点検に用いる機材は、超音波によって亀裂を調べる超音波探傷器で、デッキプレート下面から斜めに超音波を入射、超音波ビーム内に6mm以上の進展した危険な亀裂を発見する。点検方法は人間の超音波診断のように、密着させるための液体を塗布、接触子を表面にスライドさせるようにして行った。
高所作業車による点検作業
足場を組まずに下から高所作業車を使っての点検も実演された。舞浜大橋から葛西側にあるコンクリート床版の下側を、高所作業車で接近点検。実際にハンマーで叩き、打音検査を行った。
ハンマーでの検査は、音だけでなく、もう片方の手をコンクリートにあて、手の感触でも異変を感じ取ることが必要だという。デモに参加した学生がそれぞれ、ハンマーで実際に叩いて音を確認したほか、あらかじめ見つけておいた軽度のコンクリートの浮きを叩き、音の違いが実演された。また、目視による点検では内部の亀裂を発見するため、塗装面の割れがないか注視していくことなども説明された。
実際に補修の必要な個所が見つかった場合は、その場で応急処置を行う。はがれ落ちそうなコンクリートは剥がしてしまい、鉄筋が露出してしまった場合は防錆塗料を塗る。状態によってランク付けをし、すぐにでも補修が必要な異常が見つかった場合はすぐに補修工事を行い安全と交通を確保する。
点検の際の7つ道具も紹介され、ハンマーや転がして打音を確認する道具、露出した鉄筋の錆を抑制する塗料、作業の安全を確保するために熱中症の警報機なども用意しているという。高所作業に用いるものだけに、いずれも落下防止用のコードが取り付けられていた。
検査作業について詳細を展示
点検作業の実演のほかに、点検・補修技術の紹介が行われた。点検作業で見学した超音波による亀裂の調査、磁粉による亀裂の発見などが実演され、説明された。
そのほかでは、跳ね返りの強さをによって判断する反発度法によるコンクリートの強度検査、電磁波レーダーを使ってコンクリート中の鉄筋等の鋼材を判断することも実演された。また、点検のためのツールとして、高い場所の打音検査をするため、ボールの先に自動で壁を叩くハンマーとマイクを軽量ポールの先につけた打音検査システムや、軽量な高解像度USBカメラをポールの先に付け、接近して検査ができないような場所の映像を確認するポールカメラが紹介された。
また、サーモグラフィのカメラを使うと、温度差から鋼材内への水の進入や、異変を感じ取ることができる。