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日産、GT-R NISMOを“ニュル最速仕様”に進化させる「NISMO N Attack Package」などを公開

「ノート NISMO」「フェアレディZ NISMO」「ジューク NISMO RS」「マーチ NISMO 30th」をお披露目

NISMOの宮谷社長などによる製品紹介のほか、GT-RでSUPER GTを戦う松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手もゲスト参加してトークショーを実施
2014年7月23日発売

 日産自動車は7月23日、神奈川県横浜市にある日産自動車 グローバル本社ギャラリーで「NISMO Premiere Event 2014」を開催。同日発表した新型「フェアレディZ NISMO」、2013年11月に発売が予告され、同日から正式販売が始まった「GT-R NISMO」専用オプションパッケージの「NISMO N Attack Package」装着車、NISMOの創立30周年を記念する43台だけのインターネット限定車「マーチ NISMO S 30th」「マーチ NISMO 30th」、7月14日に今秋の発売を予告した「ジューク NISMO RS」などをお披露目したほか、この会場でNISMOシリーズの第5弾となるニューモデル「ノート NISMO」を公開した。

「フェアレディZ NISMO」「ジューク NISMO RS」「マーチ NISMO 30th」「ノート NISMO」の4モデルの詳細については、それぞれの関連記事を参照されたい。

日産、「フェアレディZ NISMO」をマイチェン、ハンドリング性能を向上
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140723_659170.html

日産、「ジューク」をマイナーチェンジして「パーソナライゼーション」を新設定
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140714_657810.html

日産、「マーチ NISMO」インターネット限定モデルの商談受付中、先着43名
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140724_659308.html

日産、NISMOシリーズ第5弾「ノート NISMO」を今秋発売と予告
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140723_659213.html

ノート NISMO

ステージ上に置かれたノート NISMOは、ミスフェアレディの手でアンベールされてお披露目となった
ノート NISMO
5速MTをラインアップするノート NISMO S(上段)は、ノート NISMO(下段)が標準仕様と同じドラム式のリアブレーキを採用するのに対し、後輪にもディスクブレーキを装備。タイヤサイズはNISMO Sが205/45 R17、NISMOが195/55 R15となる
ディフューザー形状でガンメタ塗装となる専用リアバンパー。マフラーも直径の太いスポーティなタイプとなる。NISMOのリアゲートには「DIG-S」のバッヂが装着されていた

フェアレディZ NISMO

7月25日発売のフェアレディZ NISMO
ニスモレッドアクセントを採用した新形状の専用フロントバンパーにはLEDハイパーデイライトを内蔵。ヘッドライトもブラック加飾の専用インナーを使ったものとなる
ブラックのドアミラーにもニスモレッドアクセントを施す
レイズ製19インチアルミ鍛造ホイールを装着。タイヤサイズはフロントが245/40 R19 94W、リアが285/35 R19 99W
リアスポイラーはブラックのハイウイングからボディー同色の一体型に変更
ディフューザースタイルのリアバンパーも側面を中心に形状変更。専用テールパイプフィニッシャーにはNISMOのロゴが刻まれている
専用チューニングが施されたレカロ製シートはヘッドレスト一体型となり、センター部分の表皮がレッドになった

GT-R NISMO「NISMO N Attack Package」装着車

GT-R NISMOをニュルブルクリンク北コースで量産車最速ラップを達成した仕様に進化させる「NISMO N Attack Package」は、乗車定員を2名に変更し、パフォーマンスを最大限に発揮させるフルパッケージの「N Attack Package A kit」(税別820万円)、4人乗りのまま日常での使い勝手も犠牲にしない「N Attack Package B kit」(税別420万円)の2種類を設定
「N Attack Package A kit」の装着には、GT-R NISMOにメーカーオプション設定されているチタン合金製マフラー(税別180万円)の取り付けも必須。1544万4000円のGT-R NISMO本体と合計すると、消費税込みで2600万円オーバーの金額となる
高さ調節2段階、角度調節12段階となるドライカーボン製の専用リアウイング
ショックアブソーバーはオーリンズ製の車高調整式。フロントブレーキは摩耗材が変更された専用品になる

ジューク NISMO RS

エンジン出力を高め、ボディー剛性を強化して走行性能を磨いたジューク NISMO RS。今秋発売予定
フロントブレーキのローター径をアップしてブレーキ力を高めた
車両を取り巻くようにニスモレッドアクセントを配置する

マーチ NISMO S 30th

インターネットの専用サイトからのみ商談の申し込みを受け付けているマーチ NISMO 30th。通常モデルのブリリアントホワイトパールとは異なり、ソリッド調の特別塗装色「ニスモチャンピオンホワイト」を専用設定。限定台数が43台なのは、NISMOの30周年と、マーチの型式がK13型であることから決定された

NISMO パフォーマンスパッケージ装着車

7月2日に発売された新型エルグランド用のNISMO パフォーマンスパッケージを装着した車両。フロントアンダースポイラー、サイドスカート、リアアンダースポイラー、リアサイドスポイラーなどをセットにした「エアロキット(塗装済み品)」は税別31万2000円
アルミホイールの「LMX6」は18インチが税別4万2000円/本、19インチが税別4万7000円/本
カーボンドアミラーカバーは税別3万8000円
ステンレス製のスポーツマフラーは税別6万5000円
リーフのエアロパッケージ装着車

モータースポーツの背景を使いつつ、さらに広いユーザー獲得を目指す「Wider NISMO」戦略

 イベントでは、まずNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)の宮谷正一取締役社長が登壇。創立30周年となった同社が歩んできたモータースポーツ界での歴史や近年の活躍を紹介。さらに今年5月に、2015年からWEC(FIA世界耐久選手権)のトップカテゴリーであるLMP1クラスに「NISSAN GT-R LM NISMO」で参戦することを発表したことを挙げ、「まだ計画の細部を発表する段階ではないものの、日産とNISMOの革新と勝利に飽くなき挑戦をするスピリットにご期待ください」と語った。

 また、「こうしたモータースポーツへの挑戦、切磋琢磨を通じて培ってきた技術を市販車に応用し、日産が目指すブランド方向性“今までなかったワクワク”に貢献させ、さらに日産ブランドの神髄を担うパフォーマンスブランドとしてNISMOを位置づける戦略により、ここ数年、日産とNISMOが協同で“NISMOロードカー”の企画を進めてきました」と解説。会場内に置かれた歴代NISMOロードカーを紹介し、第5弾となるニューモデルのノート NISMOを公開した。

 このほか、5モデルまでラインアップを拡大したNISMOロードカーやNISMOパーツの取り扱いを見直すべく、全国25個所の日産販売店に販売拠点「NISMOパフォーマンスセンター」を開設することも発表している。

NISMO 取締役社長 宮谷正一氏
NISMOブランドを浸透させ、より多くのユーザーにNISMOロードカーやNISMOパーツの魅力をアピールするため「NISMOパフォーマンスセンター」を全国25個所に開設

 NISMOブランドを訴求する具体的な戦略については、日産自動車 ニスモビジネスオフィス NISMO チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏が解説。田村氏は「従来のNISMOのお客さまは、とにかく運転して走りやパワーを楽しむ“パフォーマンスシーカー”というような人です。これを今後は、人生を豊かに生きていきたいと考える“ハイライフシーカー”といった層に、NISMOのクルマをオファーしていくところを目指しています。例えばノートでは2種類あり、NISMO Sでは初搭載のマニュアルトランスミッションで楽しく走り、かっこよさ、かわいさなどを評価していただけるお客さまにはNISMOがお薦めだと思います」と語り、モータースポーツテイストを中心としていたこれまでのポジショニングから、デザイン性やIT機能などを組み合わせて新しいユーザー層の獲得を目指す「Wider NISMO」というキーワードを紹介している。

日産自動車 ニスモビジネスオフィス NISMO チーフ・プロダクト・スペシャリスト 田村宏志氏
これまでの基本だったモータースポーツで培う技術に加え、漸新的なデザイン、最先端の車両IT機能といった魅力がお客さまの生活に彩りを与えるNISMOの新しい魅力になると紹介
これまでZやGT-Rで積み上げてきた空力性能の追求が、ノート NISMOでは燃費性能の引き上げに活用できると解説する田村氏

 日産自動車 ニスモビジネスオフィス NISMO チーフ・ビークル・エンジニアの金子晃氏からは、NISMOのクルマ造りにおける“4つのエッセンス”が紹介された。NISMOではマーチからGT-Rまで幅広い車種に製品展開しているが、すべてで統一された魅力をユーザーに提供することを目指し、空気抵抗を悪化させることなくダウンフォースを手に入れる「エアロパーツ」、レースフィールドで培った「トータルバランスの高い気持ちよい走り」、運転する人がわくわくできる「インテリア」、S、RSなどに限定されるものの、エンジン出力の向上と制動力を引き上げる「エンジン&ブレーキ」という4点を、NISMOモデルの共通する特徴として注力しているという。

 また、リーフやエルグランドに設定しているNISMO パフォーマンスパッケージは、4つのエッセンスから「エアロパーツ」「気持ちよい走り」を抜き出し、ベース車を購入した人があとから装着できるアフターセールスの提案として用意していると説明した。これに加え、今年度からマーチではJAFが主催するレースに出場する公認が取得できるようになり、サーキット走行を楽しむユーザーから要望が多かったLSD、強化ブレーキ、タワーバーといったパーツの開発をスタートさせたことも明かしている。

日産自動車 ニスモビジネスオフィス NISMO チーフ・ビークル・エンジニアの金子晃氏
ジューク NISMOの専用スポーツシートは大好評で、試乗に訪れた腰痛持ちの人が「ずっと座っていたくなる」と語ったエピソードを紹介。ぜひ体感してもらいたいと金子氏はアピールした

 イベント後半はトークショー形式となり、NISMO モータースポーツ開発統括責任者 松村基宏氏のほか、今シーズンのSUPER GTに、「MOTUL AUTECH GT-R」でNISMOチームから参戦している松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手もスペシャルゲストとして参加。シーズンの中盤までさしかかったSUPER GTのレース展開、DTMと車両規則を統合した今シーズンのレースマシンについての解説と感想などのほか、NISMOの市販車両とレース活動の関係性や、レーシングドライバー2人から見たNISMOロードカーの魅力についても語られた。このなかでNISMOロードカーについて松田選手は「マーチ NISMOではよくサーキットを走ったりするのですが、免許を取ったばかりの新鮮な気持ちがすごく思い出されます。夢中になっちゃいますね」とコメント。クインタレッリ選手は「これだけNISMOのクルマがあると、それぞれを見てどれを選ぼうか悩むぐらいだけど、新しいノート NISMOがよいかな」と口にすると、松田選手が「さっき登場前に“ノート NISMOは奥さんにいいな”って2人で話していたんです」と明かし、これに対してクインタレッリ選手が「(奥さんに買って)そのあとは僕が乗りたい」と語っている。

NISMO モータースポーツ開発統括責任者 松村基宏氏
松村氏から、6月に発売した「スマート・ルームミラー」の技術が、ル・マン24時間レースに参戦した電力駆動レーシングカー「Nissan ZEOD RC」にも転用され、後方視界の確保に役立てられたことが紹介された
「GT-R NISMO」に標準装備されている「Nissan Connect NISMO Plus」は、実際にサーキットで走行したときのデータをPlayStation 3専用ソフトウェア「グランツーリスモ6」のゲーム内で再現できるサービスとして今夏スタート予定
松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手も参加したトークショー
「SUPER GTは6月の(第3戦)オートポリスで優勝したことでウェイトハンディがある状態ですが、この苦しいところを乗り越えれば残り2戦はマシンが軽くなって、チャンピオンシップで大きく前進できると思います。この大事な次戦の富士と鈴鹿の2戦を上位で終えて、最終的にNISMOがチャンピオンをとれるようにがんばりたいと思います」と語る松田選手
「(SUPER GTの)次の第5戦は富士スピードウェイで、GT-Rとは相性がよいサーキットなので、ここで松田選手やNISMOのみんなと力を合わせて勝って、チャンピオンシップの後半に繋げていきたい」と抱負を語るクインタレッリ選手
トークショーの中盤では、「Nissan Connect NISMO Plus」で収録した富士スピードウェイの松田選手の走行データと、現場の「グランツーリスモ6」でクインタレッリ選手が走る模擬レースも実施
模擬レースは僅差で松田選手が勝利。クインタレッリ選手がスーツに合わせてレーシングシューズを履いていなかったことが敗因だろうか。ちなみに、クインタレッリ選手は左足でブレーキ操作を行っていた

(編集部:佐久間 秀)