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【LAオートショー2014】デザイン、機能性ともに大幅に刷新された「CX-5」と「Mazda 6(アテンザ)」

2015年1月に販売開始。CX-5の開発主査を務める大塚氏に改良のポイントを聞く

2014年11月19日(現地時間)開催

デザイン、機能性ともに大幅に刷新された「CX-5」

 マツダはロサンゼルスオートショーで、「CX-5」と「Mazda6(アテンザ)」の改良モデルを世界初公開した。改良された2台のモデルは、2015年1月にアメリカと日本で販売が開始され、順次グローバルに展開していく。

 2012年に登場したCX-5は、マツダの新世代のデザインテーマとなっている「魂動(こどう)-Soul of Motion」デザインを取り入れた第1弾モデルとなった。そして、第2弾として登場したのがアテンザ。生命感や躍動感あふれる魂動デザインは、多くのユーザーに受け入れられ、その後に続いたアクセラやデミオを含めて新世代モデルはどれも高い評価を得ている。

前後のライト類、フロントグリルなど3度目の仕様変更にして、これまででもっとも大きな改良を行なったCX-5。国内では2015年1月から販売が開始となる
ホイールのデザインも変更している。SUVのCX-5にマッチする力強いツインスポークが特徴
フロントグリルには、グレーメタリックに塗装したフィンを採用することで、より引き締まったフロントフェイスに仕立てている。ヘッドライトの形状も変えることで、こちらからも精悍さを与えている
今回の改良でもっとも変化したというインテリア。上質感のある本革仕様は変わらないが、カラーリングがピュアホワイトに変更されている
パーキングブレーキは電動式となり、センターコンソールはすっきりとした。また、収納性の向上も図っていて、カップホルダーのアジャスター機能やコンソールボックス、フロントドアポケットなどが拡大している
ラゲッジルーム
デザインが変わったことはもちろん、遮音性や乗り心地といったNVHの性能も向上。シートクッションは全席で変更され、リアシートの座面を延長することで快適性もアップしている

 CX-5は2012年の販売開始なので3年は経過していないが、第1弾、第2弾として登場したCX-5とアテンザが大幅な改良を施されることになった。2車種ともヘッドライトやリアテールランプ、フロントグリルなどに変更を受け、エクステリアはより精悍さを増し、凛々しくなっている。エクステリアに加えインテリアの質感も向上。ピュアホワイトのレザーや電動式のパーキングブレーキに変更したことでセンターコンソールがすっきりとしている。

 意匠変更だけではなく、使い勝手や装備面も大きくテコ入れを行なった。ヘッドライトは、ドライバーの夜間走行をアシストする「アダプティブLEDヘッドライト」を装備。先進安全技術のi-ACTIVSENSEは、ドライバーの認知支援の面を強化している。また、カーコネクテビティシステムとして、アクセラやデミオには導入されている「Mazda Connect(マツダコネクト)」が採用。デザイン性の向上とともに、大幅に機能性も引き上げているのが、今回の改良モデルになる。

大幅改良を加え、エクステリアは立体的なシグネイチャーウイングを採用し、より精悍さを増したMazda 6(アテンザ)
黒の本革内装とファブリックは継承しつつも、白の本革仕様にはピュアホワイトを採用した。また、マツダコネクトを採用することで、ダッシュボード上には7インチのモニターが装備される

 どのような考え方で大幅改良を行ったのか、ロサンゼルスオートショーの会場でCX-5の開発主査である大塚正志氏に変更点をうかがった。

CX-5の開発主査である大塚正志氏

──CX-5は2012年の登場ですので、マイナーチェンジとしては早めのタイミングに感じますが?
大塚主査:まず、「マイナーチェンジ」という概念は排除しています。なので、リリースにも大幅改良と記載しているのです。販売から数年が経過してのマイナーチェンジやフルモデルチェンジというのは作り手側の勝手なサイクルです。本来なら、優れた機能やデザインがあれば順次投入するのが理想です。そのため、2年が経過したところでの衣装変更や機能の改良についてタイミングが早いとは全く感じていません。CX-5でいえば、発売開始から今度で3回目の改良になるので、新しい技術や機能があれば、常に追加していくという考えを持っています。

──今回の改良は、内外装のデザインが変わったことで注目されていますが?
大塚主査:CX-5は新世代のモデルの中ではトップバッターでした。まだ登場から2年しか経っていませんが、その後に各モデルが続けて登場したので、ややトップバッターのデザインから進んだと感じていました。今回発表されたCX-3は、進化した魂動デザインといってもよく、とても洗練されています。ショールームで2台が並んだときに、CX-5が見劣りしてはいけないという思いもあります。つまり、デザインは常に進化しているので、お客さんが古く感じてしまう前に先手先手を打っていきたいです。

──機能性や乗り心地の部分にもテコ入れを行なっているようですが?
大塚主査:デザインはお客さんの好みがあるので一概によくなったとは言えませんが、乗り心地の部分はよくなったと断言できます。ダンパーは前後とも径を大きくして容量をアップしました。ブッシュも見直すことで乗り味はマイルドな方向になっています。それでいてステアリングの応答性は手応えのある方向性に仕上げているので、ハンドリング特性も上がっています。

 乗り心地の面ではシートクッションを改良したのもポイントです。実は昨年の改良でもダンパーとシートクッションは変更したのですが、よりよい部材があったので変更することにしました。リアシートは座面を延長させることで快適性も上がっています。また、ノイズを低減することにも注力していて、新しい遮音材を採用しました。

──技術的な追加アイテムで注目して欲しいことはありますか?
大塚主査:アダプティブLEDヘッドライトは、かなり完成度が高くてドライバー支援になります。各国で法規が異なるのでグローバル展開ではありませんが、国内には導入します。赤外線カメラで前方の様子をセンシングして、状況によって左右独立の制御でヘッドライトの照射角を調整します。夜の運転が苦手やツラいというドライバーがいると思いますが、このヘッドライトがあれば何の問題もなくなるはずです。実際に慣れてしまうと、このヘッドライトなしでは夜間の走行をしたくないと思うほどです。

──この改良ではパワートレインの変更はないのでしょうか? 特に国内ではMTを出してほしいという要望がありますが?
大塚主査:ありません。昨年2.5リッターのガソリンを投入しましたので。トランスミッションですがMTは隙があれば投入したいと考えています。私もMTが好きで、今でもアテンザのMTに乗っているので重要性は感じています。ただ、国内の法規に合致させることなど多少のハードルがあるので、導入はしたいですが約束することはできません。

──最後に、今回の大幅な改良でとくに見てもらいたいところはありますか?
大塚主査:インテリアのデザインと質感、そしてNVH(Noise、Vibration、Harshness)の向上です。クルマは、内外装、乗り心地、ハンドリングなどどこか一個所だけよくても満足感は得られません。外観がカッコイイ、内装に高級感がある、乗ってみて楽しいし快適だ、というようにトータルで完成度を求める必要があります。今回の大幅改良を施すことで、全面的に魅力や満足度が上がっていると思います。

(真鍋裕行)