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スズキ、ガソリン車No.1の燃費37.0km/Lを達成した新型軽自動車「アルト」

5速MTや5速AGSもラインアップ。価格は69万6600円から

2014年12月22日発売

84万7800円~122万9040円(アルト)

69万6600円~88万5600円(アルト バン)

ガソリン車No.1の燃費37.0km/Lを達成した新型軽自動車「アルト」

 スズキは12月22日、新型軽自動車「アルト」を発売した。価格はアルトが84万7800円~122万9040円、アルト バンが69万6600円~88万5600円。

アルト

モデルエンジン変速機駆動方式価格エコカー減税(取得税/重量税)
F直列3気筒DOHC 0.66リッター5速MT2WD(FF)847,800円100%(免税)
4WD953,640円80%/75%
直列3気筒DOHC 0.66リッター VVT5速AGS(5速AMT)2WD(FF)847,800円100%(免税)
4WD953,640円
LCVT2WD(FF)894,240円
4WD1,000,080円
S2WD(FF)1,002,240円
4WD1,102,680円
X2WD(FF)1,134,000円
4WD1,229,040円

アルト バン

モデルエンジン変速機駆動方式価格エコカー減税(取得税/重量税)
VP直列3気筒DOHC 0.66リッター5速AGS(5速AMT)2WD(FF)777,600円100%(免税)
4WD885,600円80%/75%
5速MT2WD(FF)696,600円

 今回で8代目を数えるアルトは、初代モデルが1979年に「アルト47万円」というキャッチフレーズで多くの人に手が届く実用車としてデビュー。機能性を重視するベーシックな軽自動車としてクラスのベンチマークとなり、これまでに国内累計で約483万台を販売している。

 新型アルトは歴代モデルで受け継がれてきた基本思想を継承しつつ、新開発プラットフォームの採用、軽量化とパワートレーンにおける高効率化の徹底追究などにより、ハイブリッドカーとして“燃費世界一”を掲げるトヨタ自動車「アクア」に肩を並べる37.0km/LのJC08モード燃費を、ガソリン車として実現したことを大きな商品特徴としている。また、商用モデルとなるアルト バンも同時に一新された。トランスミッションには2WD(FF)モデルで最高燃費をマークするCVTのほか、アルト バンと乗用モデルのエントリーグレードとなるFに、5速MTに加えて電動油圧式アクチュエーターを採用する「5速AGS(オートギヤシフト)」をラインアップしている。

新型アルト。ボディーサイズは3395×1475×1475mm(全長×全幅×全高。15インチタイヤを装着するXの全高は1500mm)、ホイールベースは2460mm

 エクステリアデザインは「美しい普通」をテーマに、シンプルさを基調にしながら全体のプロポーションを重視。眼鏡をモチーフにしたヘッドライトまわり、4本の縦スリットで構成する左右非対称のフロントアッパーグリルなどで個性的なフロントマスクを構成。後方に向かってキックアップしたウインドーラインと太いCピラーによる力強いサイドビュー、両サイドまで回り込むようにしてパネル面の美しさを表現したバックドアなど、加飾に頼らないボディーパネルによる造形美を表現している。

 ボディーカラーには新色の「ピュアレッド」「シフォンアイボリーメタリック」の2色を用意し、単色の8種類に加え、バックドアをミディアムグレーに塗装した「2トーンバックドア」4種類を設定。全12パターンを展開する。ただし、アルト バンは「スペリアホワイト」1色となる。

新色の「ピュアレッド」
新色の「シフォンアイボリーメタリック」
「フィズブルーパールメタリック」
「アーバンブラウンパールメタリック」
「ブルーイッシュブラックパール3」
「シルキーシルバーメタリック」
「パールホワイト」
「スペリアホワイト」
2トーンバックドアの「ピュアレッド×ミディアムグレー」
2トーンバックドアの「ブルーイッシュブラックパール3×ミディアムグレー」
2トーンバックドアの「シルキーシルバーメタリック×ミディアムグレー」
2トーンバックドアの「パールホワイト×ミディアムグレー」
最上級グレードのXのみ15インチのタイヤ&アルミホイールを採用。タイヤサイズは165/55 R15 75V。写真のガンメタリック塗装は2トーンバックドア用。単色のボディーのときはシルバーになる
X以外のグレードでは13インチタイヤ&スチールホイール+ホイールキャップを装着。タイヤサイズは145/80 R13 75S

 新開発プラットフォームでは軽さと剛性の両立を追求。ボディーでは高張力鋼板を全体の約46%に使い、とくに強度の高い超高張力鋼板(980MPa)の使用範囲を約16%まで拡大。アンダーボディーでは主要な構造と部品のレイアウトを全面刷新しており、剛性、静粛性、衝突性能、走行性能などを軽量化しつつ引き上げている。これらにより、曲げ剛性とねじり剛性を約30%向上させている。

 また、軽量化の面ではフロントフェンダーやロアクロスメンバーなどに樹脂素材をスズキ車として初めて使用。シートでもシートバックフレームの構造見直し、ボディー側に対する取付部品の溶接化などを行っており、ボディー、エンジン、足まわりなどの車両全体で60kgの重量軽減を実現している。

新開発プラットフォームのボディーフレーム

 足まわりでは前後のサスペンションストロークを拡大して乗り心地の向上を目指し、スタビライザーはXの2WD(FF)車でフロントとリアに、XとVPの4WD車でフロントに採用している。これまではリアのサスペンション形式は全車I.T.L式となっていたが、今回から2WD(FF)車はトーションビーム式に変更。コーナーリング時の車体の傾きやステアリング操作に対して適正なコントロールが行われるようになり、リニアな操舵感を実現しているという。このほか、ステアリングには可変ギヤレシオを導入し、高速走行時の直進安定性、市街地走行での使い勝手などを両立させている。

サスペンション形式はフロントがストラット式、リアは2WD(FF)車はトーションビーム式、4WD車は従来と同じI.T.L式を採用する

 エンジンはスズキ車で幅広く採用されているR06A型を採用。圧縮比をこれまでの11.2から11.5に高め、吸気ポートとピストン上部の形状変更によって混合気が均一に拡散するようにして熱効率を高めている。また、吸気系、排気系の設計を見直し、排出ガスの一部を燃焼室に戻して燃焼温度を低下させるEGRシステムを採用。圧縮比アップによるノッキングの発生を抑え、ポンピングロスも低減している。このほかにエキゾーストマニホールド一体型シリンダーヘッドの採用と触媒ケースの簡素化などによってエンジンの軽量化とコンパクト化を推し進めた。

 トランスミッションでは副変速機付きCVTを改良したほか、軽トラックの「キャリイ」に続いて5段変速のオートメーテッド マニュアル トランスミッションである「オートギヤシフト(AGS)」を設定。クラッチとシフト操作を電動油圧式アクチュエーターによって自動的に行い、伝達効率のよさに加えてマニュアルモードによるファンな走りも実現する。JC08モード燃費はアルトのCVT 2WD(FF)車がガソリン車No.1となる37.0km/Lを達成。CVT 4WD車でも33.2km/Lとなり、Fグレードの5AGS車は27.4~29.6km/L、5速MT車は25.2~27.2km/Lとなる。アルト バンは2WD(FF)車が25.8~26.2km/L、4WDが24.0km/Lとなっている。

R06A型エンジンはトランスミッションによって出力が異なり、CVTと5AGSは最高出力38kW(52PS)/6500rpm、最大トルク63Nm(6.4kgm)/4000rpm、5速MTは最高出力36kW(49PS)/6500rpm、最大トルク58Nm(5.9kgm)/4000rpmのスペックとなる
スズキの軽乗用車では初搭載となる5AGS。渋滞時や車庫入れなどで便利なクリープ機能も備えている

 室内では新開発プラットフォームによる2460mmのロングホイールベースにより、クラストップを誇る2040mmの室内長を獲得。先代モデルから前後乗員間距離を広げ、フロントシートの左右乗員間距離も拡大して居住性を高めた。また、チルトステアリングの調整量、シートリフターのリフト量も増やし、幅広い人に対して最適なドライビングポジションが設定できるようにしている。インテリアデザインでは白系の配色をシート表皮やインパネなどに多用してくつろぎ感を演出。インパネ形状は伸びやかな横基調として広さ感を生み出している。

 メーターパネルでは大型のスピードメーターに加え、液晶ディスプレイを右側にレイアウト。CVT車などに搭載するエネチャージの発電状況やアイドリングストップの作動状況などをアイコン表示する。

Xグレードのインテリア。シートは薄いブルー基調の表皮に白いパイピングを組み合わせる
アルト バンのインテリア。インパネに5AGSのシフトセレクターをレイアウトしており、マニュアルモードは上側がシフトダウン、下側がシフトアップになっている
5速MT車のシフトレバーは運転席と助手席の間に配置。シートバックが直立した簡易的なリアシートを設定する
スピードメーターの中央部分は、通常時はブルー、高効率な走行時はグリーン、エネチャージ作動時はホワイトに発光する
スマートフォンなどの収納に対応する「インパネセンタートレー」
インパネ下側に「センターロアポケット」を設定。4WD車を中心にフロントシートヒーターを標準装備する
5速MT車以外に用意される「フロントコンソールドリンクホルダー」は500mlの紙パック飲料に対応
グローブボックスの下に1kgまで対応のショッピングフックを設置
助手席シートバックの格納式ショッピングフックは乗用モデル全車に標準装備
乗用モデルのラゲッジスペース下に、発泡スチロール製のラゲッジアンダーボックスを用意する

(編集部:佐久間 秀)