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トヨタ、ハイブリッド車のPCUに新素材SiCパワー半導体を搭載

燃費向上効果を1年間の公道試験で検証

2015年1月29日発表

新素材のSiCパワー半導体を搭載したPCU

 トヨタ自動車は1月29日、SiC(Silicon Carbide:シリコンと炭素の化合物)パワー半導体の実用化に向けた取り組みの一環として、ハイブリッド車などのモーター駆動力を制御するパワーコントロールユニット(PCU)に新素材SiCパワー半導体を搭載した「カムリ(HV)」の試作車を開発し、2月初めから約1年間、愛知県豊田市を中心に公道での走行試験を行うと発表した。

 PCUは、走行時はバッテリーの電力をモーターに供給、減速時は回生した電力をバッテリーに充電するなど、ハイブリッド車などの電力利用において重要な役割を担っている。そのPCUに使われているパワー半導体は、車両全体の電力損失の約20%を占めており、電流を流す時の抵抗を低減することが燃費向上に不可欠という。

 今回開発されたカムリ試作車は、PCU内の昇圧コンバーターとモーター制御用インバーターに、SiCパワー半導体(トランジスタ、ダイオード)を搭載。公道走行試験では、走行速度や走行パターン(高速走行、市街地走行、渋滞等)、外気温などさまざまな走行条件ごとにPCU内の電流、電圧などのデータを取得し、現状のシリコン半導体と比べて新素材のSiCパワー半導体を搭載することによる燃費向上効果を検証していく。

 このカムリ試作車に搭載するSiCパワー半導体は、国家プロジェクト(低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト)の成果の一部である高品質なSiCウェーハ技術を採用しているという。

PCU内の昇圧コンバーターとモーター制御用インバーターに、SiCパワー半導体(トランジスタ、ダイオード)を搭載
カムリ試作車
SiC搭載車両走行映像

(編集部:小林 隆)