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首都高、7号小松川線の火災による通行止めを10日ぶりに2月26日15時解除

上りは大きな影響なく橋梁は健全、下りは熱による変形を確認したが仮支柱で安全性を確保

2015年2月26日15時通行止め解除

火災発生現場の位置関係と平面図など

 首都高速道路は2月26日、火災発生による影響で行っていた高速7号 小松川線(下り)両国JCT(ジャンクション)~京葉道路接続部の一部通行止めを同日15時に解除したと発表した。2月16日の火災発生以降、同区間は10日ぶりに上下とも通行が可能になっている。

 火災は首都高速7号 小松川線高架下の江戸川区西小松川町付近で2月16日の11時7分ごろに発生。同社による塗装工事の現場が火元となっており、作業員13名が病院に搬送され、2月26日現在で死亡2名、入院1名、退院10名という人的被害が発生している。

 同社では警察や消防による現場検証の終了後から被害状況の現地調査を実施。上り車線については火災の影響を受けていないことを確認し、火災翌日の2月17日18時10分に通行止めを解除している。下り車線では火災の熱によって橋桁下端部などに変形が見られたが、仮支柱による支持などの応急復旧を実施して、安全性が確保されたことから通行止めが解除された。

火災の強い熱により変形した鋼桁の一部。桁の下端部で最大42mmの変形が確認されている
コンクリートの床版や橋桁は強度に問題ないが、一部で表面の剥離や変色などが発生
炎によってケーブルラックの一部が焼損
道路上では透光板の一部に焼損も見られたが、路面については上下とも異常は見られなかったとのこと

下り車線で主桁の下端部に最大42mm変形

 現地調査では、橋梁本体の調査として「鋼構造物」「コンクリート構造物」「橋梁全体」を調査。橋面上等の調査として「路面(舗装、伸縮継手)」「附属物(遮音壁等)」を調査している。鋼構造物では接近目視、桁の受熱温度推定、桁変形量確認、ボルトゆるみなどを確認、コンクリート構造物では接近目視、コンクリート強度、中性化深さなどをチェック、橋梁全体は荷重車載荷試験による計測を実施している。また、橋面上等の調査は近接目視で行い、下り車線では路面の縦横断測量、段差調査なども実施した。

 この調査により、先に通行止めを解除した上り車線では、鋼桁については接近目視と桁変形量調査で火災の影響がなく、ボルトのゆるみがないこと、コンクリート床版ではコンクリート強度が所定の強度を満たしていること、中性化深さも問題がないことなどを確認。コンクリート橋脚でも接近目視で火災の影響がないとしている。橋梁全体の安全性は、荷重車載荷試験によって主桁の応力で計測値と解析値との相関性を確認している。また、路面等に異常が見られなかったことなどから、「橋梁は健全である」と結論づけている。

 2月26日になって通行止めが解除された下り車線は、鋼桁の主桁 端部付近で高い受熱温度が推定される個所が見つかり、下り線側4本の主桁のうち、2本で桁の下端部に最大42mmの変形が確認されたとのこと。また、ボルトは熱の影響がある範囲について交換を実施した。コンクリート床版と橋脚ではコンクリート強度が所定の強度を満たしており、中性化深さも問題がないとの結果。荷重車載荷試験では、熱の影響で変形した桁に負荷がかからないよう仮支柱で支持してから計測したところ、主桁の応力で計測値と解析値との相関性を確認。橋梁全体の安全性が確認されている。

 さらに路面等で異常が見られず、専門家とともに現地確認を実施。各種調査の結果、損傷は限定的であり、損傷部に負荷がかからないよう桁を仮支柱で支持することで橋梁全体の安全性を確保できるとの判断がくだされ、今回の通行止め解除となった。

応急復旧として、橋脚に仮支柱を設置し、透光板には飛散防止のテープが貼られている

(編集部:佐久間 秀)