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トヨタ、2019年までに約30万台の生産増強

メキシコで新工場を建設。中国では生産ラインを新設

2015年4月15日発表

広汽トヨタ自動車有限会社

 トヨタ自動車は4月15日、メキシコに新工場を建設し、中国で生産ラインを新設すると発表した。

 メキシコ新工場には約10億ドル(およそ1200億円)を投資して、2019年の生産開始によって生産能力は年間約20万台となる。また、中国の生産ライン増設には525億円を投資。2017年内に順次生産を開始して、生産能力は年間約10万台。今回の決定により、合計で30万台規模の生産増強となる。

 メキシコの新工場では「カローラ」を生産。新工場の設立に合わせて北米における生産体制を再編する。カローラの生産をカナダ工場から新工場に移管し、コンパクトモデルは新工場とカローラを継続生産する米国ミシシッピ工場で生産する。カナダ工場ではカローラの生産に代え、2019年からミッドサイズモデルを生産。米国のインディアナ、ケンタッキー両工場と合わせ、ミッドサイズモデルの生産に集中することを検討するとしている。

 また、新工場ではグローバルのモデルケースとなるTNGA(Toyota New Global Architecture)を前提とした、全く新しい工場づくりと仕事の変革にチャレンジするとしている。

広汽トヨタ自動車有限会社の俯瞰イメージ
既存ラインでもライン再構築などによって生産性向上を図る
広汽トヨタ自動車有限会社の従業員数は約1万人

 一方、中国においても既存ラインの競争力向上と今後の需要への対応が必要と判断し、広汽トヨタ自動車有限会社(GTMC)において、2017年末までに既存ラインの再構築と新ライン建設を実施。将来的なTNGA導入を念頭においた競争力の高い工場づくりに取り組むとする。

 具体的には、GTMCの既存の第1・第2ラインにおいて、ラインごとの生産車種をサイズに応じて再整理するなど、既存ラインの再構築によって生産性を向上。さらにGTMCの現在の人員規模で、新たな第3ラインを立ち上げる。

 今回の決定に関して同社は、既存工場の稼働率はグローバル全体で90%を超えるまでに向上したほか、工場の建屋や設備を中心とする初期投資部分については、2008年当時と比較して約40%低減できる目途がつきつつあるなど、既存工場の能力の使い切りが着実に進んでいること、新たな生産技術の革新に目途がつきつつあることを受け、これらの技術を実際のラインに導入することでさらなる技術革新に繋げることなどを目的に、本決定を行ったとしている。

 トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏は「今回の新工場や新ラインは、トヨタの知恵と工夫を結集したものになる。トヨタは単なる『量を求めた拡大』と決別し、『もっといいクルマづくり』やそれを支える人材育成を通じ、持続的成長を図っていく必要がある。今回の取り組みは、トヨタの真の競争力強化における重要な試金石となる」と述べている。

(編集部:椿山和雄)