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NASVA、平成26年度の自動車アセスメントの最高得点はスバル「レガシィ」

13車種中10車種が「ファイブスター賞」。“レジェンド”葛西選手もスバル車とのかかわりに言及

2015年5月8日発表

会場となった東京国際フォーラムでは試験車両の展示も実施

 国土交通省とNASVA(自動車事故対策機構)は5月8日、平成26年度(2014年度)の自動車アセスメントの結果を公表。最高評価となる5☆(ファイブスター)を獲得した車種に与えられる「JNCAPファイブスター賞」の表彰式を東京都千代田区の東京国際フォーラムで実施した。

 自動車アセスメントは、1995年度から実施されている自動車の安全性能を評価する試験。衝突試験などによる乗員保護性能、車両にテスト用のダミーをぶつけたときの加害性などによる歩行者保護性能などを総合的に評価しており、現在の「新・安全性能総合評価」では208点満点で評価結果を公表している。

NASVA 自動車アセスメント(JNCAP)

http://www.nasva.go.jp/mamoru/

 今回の平成26年度分では前期4車種、後期9車種の計13車種で試験を実施。この結果、トヨタ自動車「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」「ハリアー」、日産自動車「ティアナ」、本田技研工業「ヴェゼル」「グレイス」、マツダ「アクセラ」「デミオ」、スバル(富士重工業)「フォレスター」「レヴォーグ/WRX」「レガシィ」といった10車種が「JNCAPファイブスター賞」を受賞している。受賞車内での最高得点はレガシィとなっているが、今回は歴代評価での最高得点を超える車種はなく、最高得点を更新した車種に贈られる「JNCAP大賞」は選出されていない。

受賞車の開発などに携わった関係者を招いた授賞式のようす。ゲストとしてソチオリンピックで銀メダルを獲得した“レジェンド”葛西紀明選手も参加した
ヴォクシー
ハリアー
ティアナ
ヴェゼル
グレイス
アクセラ
デミオ
フォレスター
レヴォーグ
レガシィ
会場の地上広場では「JNCAPファイブスター賞」を受賞した10車種を展示し、地下1階展示場では衝突試験に使用された実際の車両などを展示してNASVAの活動について紹介
側面衝突試験で使用されたレガシィ アウトバック
フルラップ前面衝突試験で使用されたアクセラ スポーツ
オフセット前面衝突試験で使用されたティアナ
衝突被害軽減ブレーキ試験をイメージした車両(レヴォーグ)とターゲットバルーンの展示
並行して実施されている「チャイルドシートアセスメント」で評価を実施したチャイルドシートも展示

ファイブスターの獲得車、平均得点ともに右肩上がりで向上

国土交通省 自動車局 技術政策課 技術企画 室長 久保田秀暢氏

 表彰式では受賞車の開発に携わった開発主査などに対して表彰状などが贈られたほか、国土交通省 自動車局 技術政策課 技術企画 室長の久保田秀暢氏から自動車アセスメントの概要や実施の意義などについて解説された。

 このなかで久保田氏は、近年は交通事故の発生件数や死傷者数は減少傾向にあるものの、依然として2014年度でも4000人以上が自動車の事故で死亡していると解説。政府では削減目標を立てて死亡者数の低減を目指しており、高い目標を少しでも実現していくためにさまざまな面で取り組みを行っているという。

 そのため、自動車アセスメントは「より安全なクルマを評価することで、自動車メーカーに安全なクルマ作りの研究開発をうながし、ユーザーに安全なクルマを選択してもらえるようにしている」と実施の意義について語った。また、昨年度からは「衝突被害軽減ブレーキ」「車線逸脱警報装置」などを評価する「予防安全性能アセスメント」を実施しており、今年度となる平成27年度からは、リアビューモニターの見え方を評価する「後方視界情報提供装置」についても新たに項目入りさせる予定と紹介した。

 解説の終盤に久保田氏は、平成26年度の総評として「評価を実施している結果は年々高まっており、最高評価のファイブスターを獲得する割合として、平成23年度はおよそ5分の1に止まっていたのに対し、平成26年度は71%まで上がっています。また、平均得点も満点の208点に対して182.5点まで向上しており、この3年間で約20点上がっていることからも、自動車アセスメント事業を通じて安全なクルマの開発もどんどん進んでいる状況にあるかと思います」と語っている。

平成23年度から今回となる平成26年度の自動車アセスメントの傾向。クルマの安全性が右肩上がりに向上していると分析している
平成26年度の自動車アセスメント選定車種一覧
平成26年度のチャイルドシートアセスメント選定製品一覧
かつては乗員保護性能を中心に評価を行っていたが、平成23年度からは歩行者保護性能も総合的に判断する新しい評価基準を採用している
交通事故に対する政府目標は、2015年までに交通事故死亡者数を3000人以下、2018年を目処に同2500人以下として「世界一安全な道路交通の実現を目指す」としている
自動車アセスメントを実施することで、自動車メーカーにはより安全なクルマの開発をうながし、ユーザーは安全なクルマを選ぶ指針となるという

「日本人の器用さと対応力で“人が死なないクルマ”を造ってほしい」と葛西選手

表彰式の後半には葛西紀明選手がゲスト出演するトークショーも実施

 表彰状の授与や自動車アセスメントの紹介に続き、ソチオリンピックで銀メダルを獲得した葛西紀明選手をゲストに招いたトークショーを実施。トークショーでは、まず今回の自動車アセスメントで最高得点となったレガシィの開発責任者である富士重工業 商品企画部 プロジェクトゼネラルマネージャーの堀陽一氏が、レガシィの開発をはじめ、スバルが長年に渡って取り組んでいる安全性に対する思想やエピソードなどを紹介。

今回の自動車アセスメントで最高得点となったレガシィの開発責任者である富士重工業 商品企画部 プロジェクトゼネラルマネージャーの堀陽一氏
スバルの「アイサイト」搭載車は、NASVAの実施した予防安全性能アセスメントで全車50km/hの衝突回避を実現
ユーザーのアンケート調査で、アイサイトが持つプリクラッシュブレーキで助かった経験を持つのは30代〜50代が多いという回答内容
スバル独自の水平対向エンジン+シンメトリカルAWDの組み合わせが乗員保護性能の秘密であると解説
フルラップ衝突では、接触から0.1秒という極めて短い時間のなかでさまざまな要素が順を追って進み、結果的に乗員をしっかりと保護する
水平対向エンジンは搭載位置が低いことで、歩行者保護の面でも有利になる

 また、ゲストの葛西選手は、「ボクは若かりしころはスピード狂というか、あまり安全は重視していなかったんですが、最近はTVCMなどで安全性がよくなっていると見ますし、ボクも昨年に結婚して家族もできまして、やっぱり安全性というものを重視したクルマを新しく購入したいと思っています」とコメント。さらに「全日本スキー連盟がスバルさんから何十年もクルマを提供してもらっていて、日本国内はもちろん、ヨーロッパなどでもレガシィを12台、でしょうか、提供してもらっています。安全性と、雪道での走りが、ヨーロッパ内での移動もありますので非常に助かっています」と語り、自身とスバル車の関係性も明かした。

 司会者からクルマの安全性についての考え方や将来的な希望を尋ねられた葛西選手は、「ボクは1年のうち海外で過ごす期間が半分ぐらいあるんですが、海外では非常に事故が多くて、ジャンプ選手でも何名か事故に遭ったケースもあります。それで試合に出られなかったということもあったんですが、まぁ(自分たちには)レガシィがありますから、守っていただけていると思います」「今後については、そうですね、日本人の特性として、ジャンプ選手もそうですが、非常に器用であり、どんなことにも対応できるというのが日本人のすごいところじゃないかとボクは思います。ジャンプも毎年のようにルールが変わっていて、日本の選手はその変更に対応するのがすごく上手いんですね。なので、そんな器用さで、今後も人が死なない、人を死なせないクルマを造ってくれると思います。ボクにはそんなアイディアはないんですが、各メーカーさんに頑張ってもらって、すごいクルマを造ってもらいたいと思っています」と述べ、自動車メーカーに対してリスペクトとともにエールを送った。

自身のコメントで会場の笑いを誘いつつ、最後は真摯なメッセージを自動車メーカーに送った葛西選手

(編集部:佐久間 秀)