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「日産アートアワード2015」のグランプリを毛利悠子氏が受賞

ファイナリスト7人の作品を12月27日まで横浜のBankART Studio NYKで無料公開

2015年11月24日発表

 日産自動車は11月24日、「日産アートアワード2015」の授賞式を開催。グランプリとオーディエンス賞の受賞者各1人を発表した。

「日産アートアワード」は、現代美術における優れた日本人アーティストの活動を支援するために2013年から隔年開催されることになった日産の社会貢献活動で、今年が2回目。6月17日に2015年度のファイナリストとなる7人が選出され、それぞれに賞金として100万円と作品制作費100万円が支給され、11月14日から神奈川県横浜市にある「BankART Studio NYK」で開催されている新作展に作品を出展している。

 授賞式当日は、ファイナリスト7人と審査委員に加え、日産自動車 社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏、日産自動車 専務執行役員 チーフ・クリエイティブ・オフィサーの中村史郎氏も会場に足を運び、ゴーン氏は受賞者に対するプレゼンターも担当した。

 ファイナリストとして選ばれたのは、秋山さやか氏、久門剛史氏、石田尚志氏、岩崎貴宏氏、ミヤギフトシ氏、毛利悠子氏、米田知子氏の7人。森美術館館長の南條史生氏を審査委員長とする美術関係者5人の審査委員会により、グランプリとして毛利悠子氏が選ばれた。このほか、11月14日~12月27日の期間に開催されている新作展の来場者の投票による「オーディエンス賞」に久門剛史氏が選ばれている。なお、グランプリに選出された毛利氏には、賞金300万円(ファイナリストの賞金100万円を含む)に加え、英国 カムデン・アーツ・センターの協力による2カ月の“ロンドン滞在の機会”が副賞として贈られる。

オーディエンス賞を受賞した久門剛史氏(左)、日産自動車 社長兼CEO カルロス・ゴーン氏(中央)、グランプリを受賞した毛利悠子氏(右)

 授賞式で挨拶に立ったゴーン氏は「日産自動車にとってアートの重要性は明らかです。日産自動車がこの横浜の地で創立されてから80年以上が経ちますが、以来、当社の商品は芸術的な革新性、職人技、創造性を探究する熱意を反映してきました。今では日産自動車は世界最大の自動車メーカーの1つとなりましたが、私たちは引き続きホームマーケットである日本の持つ、豊かで比類ない芸術文化の恩恵を受けています。日本の芸術文化に敬意を表し、そしてお返しをするために日産自動車では2年前に『日産アートアワード』を設立しました」と日産アートアワードについて紹介。さらに「なによりも日産自動車は、日本の創造性豊かなアートの世界の発展の一助になりたいと思っています。豊かなアートの世界は地域社会に恩恵をもたらして経済をより強くし、お互いを尊重しながら理解する関係を育てると考えています」とコメントした。

 また、グランプリの発表後に行われた審査の総評では、審査委員長の南條氏が「今回は2回目で、前回も大変よかったのですが、今回はますます作品の粒がそろってきたと感じます。審査員としては選ぶのが非常に難しかったことをお伝えいたします。作品も写真ありインスタレーションありビデオありと傾向が違い、いろいろなものがあって審査でも議論になりました。また、審査委員長として考えますと(この日産アートアワードは)日本のアーティストを国際的な舞台に乗せる1つの大きな基盤を作れるのではないかと期待しております」と語り、「私は今朝、シンガポールから帰ってきたところですが、シンガポールに新しくできた美術館は5万m2ほどあるものすごい施設でした。アジアでは今、どんどんアートが盛んになってきています。美術館もできてマーケットも広がっている。こういった状況で、これからも日本の作家が活躍して、外に出ていってほしい。この日産アートアワードが基盤になって、日本の現代の文化にとって大変重要な役割を果たすのではないかと思います」とまとめている。

 このほか、授賞式前に実施されたプレス説明会で登壇した中村氏は、「今年もグランプリの選出は、すばらしいファイナリストのみなさんのなかからということで容易なことではありません。それだけに、このグランプリの受賞者の方、そしてファイナリストの方々にとって、未来に飛躍する契機となることを我々は願っております。また、日産自動車ではファイナリストのみなさんの作品をコレクションとして保管しており、前回の8点に今回の7点が加わることになります。この作品の一部は、現在でもこの横浜にある日産自動車グローバル本社に展示されております。将来的には社外での展示も予定しております。日産は『人々の生活を豊かに』というビジョンを掲げ、『新たな創造に繋がる試み』に心を傾けております。今後もこのアートアワードをつうじて日本の文化の発展に貢献していきたいと思っております」とコメントしている。

日産自動車 社長兼CEO カルロス・ゴーン氏
日産アートアワード2015で審査委員長を務めた森美術館館長の南條史生氏
日産自動車 専務執行役員 チーフ・クリエイティブ・オフィサー 中村史郎氏
ゴーン氏からトロフィーを手渡されたグランプリ受賞者の毛利氏は、「今回は制作費も会場も提供してもらい、いろいろな人の意見を聞かせてもらいながらすくすくと作品製作できたことが本当によかったと思います。これからも元気に作品作りができたらなと思っています」と意気込みを語った
久門氏に対する「オーディエンス賞」の授与シーンでは、表彰状を読み上げ始めたゴーン氏の日本語に思わず笑みを浮かべた久門氏を見て、すかさずゴーン氏が「彼は賞をもらってにこにこ喜んでいるね」と語り、会場を笑いに包んだ
会場での展示のようす。BankART Studio NYKで開催されている日産アートアワード2015の新作展は入場無料。12月27日まで開催されている

(編集部:佐久間 秀)