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自工会、2016年5月から日産自動車の西川廣人氏が新会長に就任

2016年度の4輪車国内総需要は525万8400台・対前年度比106.5%の見通し

日本自動車工業会 会長の池史彦氏(左)と副会長・専務理事の永塚誠一氏(右)
2016年3月17日 開催

 日本自動車工業会(自工会)は3月17日、3月度の定例会見を開催。このなかで次年度となる2016年度の自動車国内需要見通しを公表し、4月6日~5月5日にかけて「自工会・2016年春季交通安全キャンペーン」を実施すると発表したほか、同日に行なわれた理事会で、2014年5月から2年間の任期で会長を務めてきた池史彦氏に代わり、日産自動車の代表取締役副会長 チーフ コンペティティブ オフィサー(CCO)を務める西川廣人氏が次期会長に内定したことも報告された。西川氏は5月19日の理事会で正式に会長に選任される予定となっている。

消費税10%前の駆け込み需要で2016年度の4輪車国内需要は438万9000台の見通し

日本自動車工業会 会長 池史彦氏

 2015年度の4輪車総需要(見込み)は493万8800台で、対前年度比93.2%。同2輪車は40万3000台で、対前年度比95.5%と発表された。4輪車の内訳では、登録車が269万台・対前年度比99.9%、軽4輪車が142万台・対前年度比80.6%となっており、2015年4月に増税が行なわれた軽自動車は2割近い減少となった。

 次年度となる2016年度については、4輪車総需要は525万8400台で、対前年度比106.5%と需要増の見通し。同2輪車は39万2000台で、対前年度比97.3%としている。4輪車の内訳では、登録車が283万7000台・対前年度比105.5%、軽4輪車が155万2000台・対前年度比109.3%の見通しとなっている。

 この発表について池氏は、「昨年に引き続き軽自動車税が増税された影響が残るものの、2017年4月に予定されている消費税率引き上げ前の駆け込み需要を織り込んだ数値で、消費税増税後には大きな反動減が懸念されています。自動車業界としては、平成29年度の税制改正に向けて自動車ユーザーの過重な税負担の確実な軽減を引き続き政権与党に訴えていきたいと考えています」とコメント。

 また、2輪車については中・小型車で引き続き底堅い需要が予想されるとしつつも、市場の半数を占める原付第一種の需要では利用者の高齢化と若年人口の減少といった構造的な要因に加え、4月から軽自動車税の増税が行なわれることから2016年度は2.7%の減少になるとの見通しを示した。

「今回の駆け込み需要は前回ほど大きくないのではないか」と池会長

 このほか、2年間の任期をまもなく終えることについて「日本のもの作りと自動車に対する熱い思いを豊田前会長から引き継ぎ、自動車産業の発展と『自動車産業が我が国の経済に貢献する』という思いで、『国内市場の活性化』『事業環境の改善』『安全・快適で持続可能なクルマ社会の創造』という目標に向けて、会員各社一丸となって取り組んでまいりました。昨年10月の東京モーターショーでは、ご来場いただいた多くのみなさまにクルマやバイクの魅力を直接ご覧いただき、日本の最先端技術が多くのメディアに取り上げられました。自工会としても『自動運転ビジョン』を発表するなど、世界一のテクノロジーを国内外に発信できたのではないかと思っております」

「また、会長輪番会社のうち、ホンダは2輪車を製造する唯一のメーカーであることもあり、私自身もバイクの魅力や楽しさ、2輪業界を取り巻く社会的課題などについて『BIKE LOVE FORUM』などのイベントを通じてアピールしてきました。あと2カ月の任期が残っていますが、しっかりと最後まで走り抜いて、無事に西川さんにたすきを渡せるようにしたいと思います」と池氏は総括した。

 集まった取材陣との質疑応答では、2017年4月から消費税が10%に引き上げられることを見据えた駆け込み需要についての質問に対して、「駆け込み需要を含めても、2年前に消費税が上がったあとのレベルに戻ると見込んでおり、足下の需要としては厳しい状況が続くということです。ただ、希望感でいえば、前回は5%から8%、今回は8%から10%と上がり幅は1%少ないことと、前回は3%上がったさらにあとにも消費税アップが見えているという断面があったので、お客様の声にも『いずれまた1年半後に上がるなら、この機会にクルマを買い替える』という反応もあったので、今回の駆け込み需要そのものは前回ほど大きくないのではないかというのが個人的な見解です」と池会長は回答した。

 また、政府も呼びかけを行なっている賃上げについて、ベースアップが鈍化しているとの報道があることについては、業績の向上分は一時金という形でも従業員に還元しており、ベースアップは将来にわたって総労働費に大きなインパクトがあること、3年連続でベースアップが続いていることを紹介し、「もう少し前向きな報道があってもいいのではないかと思っている」と述べた。

(編集部:佐久間 秀)