1/12RCカー「ブラックポルシェ」復刻の背景をタミヤに聞く
幻のRCカーが現代に復活


タミヤでRC関連製品の広報を担当する満園紀尚氏。自身も大の車好きと言う。満園氏の前に置かれているのがブラックポルシェで、右に置かれている緑色のポルシェがタミヤの電動RCカー第1弾のポルシェ934

 5月に開催された「第48回静岡ホビーショー」に出展され大きな話題となったタミヤの1/12 RC(ラジオコントロール)カー「ブラックポルシェ」。1977年末に限定発売された製品の復刻版となるのだが、オリジナルのブラックポルシェは、短期間の販売であったことと、すでに30年以上前のこともあって、知る人ぞ知るという製品であった。

 この時期になぜブラックポルシェの復刻版が登場したのだろう。その辺りの疑問を、タミヤの広報担当者である満園紀尚氏にうかがった。

 そもそもオリジナルのブラックポルシェがどのような製品であったのかということについて満園氏は、「ブラックポルシェは記念すべきタミヤのRCカー第1弾『ポルシェ934』の限定版になります。ポルシェ934の発売が1976年、その1年後にポルシェ934の販売数が10万台を超えたことを記念して発売しました。単にポルシェ934のボディーカラーをブラックにしただけでなく、ポルシェ934の進化版として発売した『ポルシェ935』のシャシーを使い、布製のキャリングバッグも付属させるなど、特別な製品として仕上げていました」と言う。

オリジナルと同じボディーが付属するブラックポルシェ。右のボディーがインジェクション製プラスチックボディーで、左がポリカーボネート製。ポリカーボネート製ボディーでも、十分な精密感がある

 今回復刻アイテムにブラックポルシェが選ばれたことに関しては、「2004年くらいから、復刻ものの製品を多く手がけるようになりました。それまでもいくつか手がけていましたが、電動RCバギーブームのメイン製品だった『ホーネット』を酒造メーカーとのキャンペーンで復刻発売したのが大きなきっかけです。復刻製品を出し始めると、今度はお客様のほうからのリクエストが増えてきました。タミヤとしてできるもの、できないものなどがあり、社内でいろいろ検討しながら出してきています。ブラックポルシェに関しては、お客様のリクエストというより、社内からの発案になります。現在ではそれほど多くの方が知っている製品ではなかったためです。静岡ホビーショーで発表しましたが、当初の反応は今ひとつでした。ただ、当時のRCカーを知っていたお客様の反応がよく、それを受けて模型店や問屋さんも注目するようになりました」と言い、幻の製品とも言われていた製品だけに、発売するにあたっての苦労もあったようだ。

 復刻版のブラックポルシェのシャシーは、オリジナルとは異なりタムテックギアと同じシャシー「GT-01」が使われている。これは、オリジナルは現在製造されていないバッテリー(6Vのニッカドバッテリー)を前提とした設計のため、そのまま発売しても楽しむことができないからだ。そのため、オリジナルと同様のボディーサイズがマッチする、現代的なシャシーが使われることになった。

 また、この復刻版のブラックポルシェでは、現在のRCカーの標準ボディー素材となっているポリカーボネート製ボディーのほかに、インジェクション製プラスチックボディーが付属するのも大きな話題。スケール感の高いプラスチックボディーを装着して、ディスプレイモデルとして飾っておける。

復刻版のブラックポルシェのシャシーは、GT-01(タムテックギア用)を採用したフロントまわり。水平に配置されたショックユニットは、リンク機構によって動作する。サスペンションの形式は、前後ともダブルウィッシュボーン
GT-01シャシーの中間部。中央に見える緑色の部分がバッテリーになる心臓部となるモーターは370タイプのもの。実車と同様RRの駆動形式となるため、ポルシェらしい走りを楽しめる

 復刻モデルらしく、当時のパッケージもそのまま再現され、ブラックポルシェの特徴でもあった布製のキャリングバッグも付属する。箱などの細部について社内資料に乏しく各方面からの協力を得て再現されたと言い、その辺りも幻の製品ならでは。復刻版ならではの付属品としては、シリアルナンバーを彫刻した金属製のプレートがつき、特別な製品であることを主張している。

ブラックポルシェのパッケージ。オリジナルのパッケージを忠実に再現している。手前の布製キャリングバッグが付属するパッケージの開け方も当時と同じ。見た目の違いは左の部分に貼り付けられているシリアルナンバープレートぐらい限定製品であることを示すシリアルナンバープレート。1つ1つ異なる番号が刻印されている
組み立て式RCカーのため、これらの部品を組み立てていく。タミヤならではの詳細な説明書が付属するため、組み立てに悩むこともないだろう1/12スケールのプラスチックボディーを構成する部品。プラスチック製なので、走らせて楽しむのには向かないものの、完成した際の精密感はポリカーボートネート製より上だブラックポルシェを楽しむためには、送信機や受信機バッテリーなどが必要になる。写真の製品は、それらがすべてセットになったエクスペックSP タムテックギアドライブセット
タミヤ電動RCカー第1弾のポルシェ934。ピアノ線のバンパーが印象的な製品。この製品の登場によって本格的な電動RCカー時代が始まった本格的な電動RCカーとして初の製品となるため、バッテリーパックなどは存在しなかった。そのため、単2型電池4本で動作する仕様となっている。シャシーもサスペンションも現在の目から見るとシンプルな作りだポルシェ934の駆動部。360タイプのモーターを搭載する。リアタイヤの内側についているのがデフギア。デフギアの動作をこの製品で実感した人も多いだろう

 現在のタミヤの電動RCカーは1/10スケールが主力で、このブラックポルシェと同スケールの1/12製品は、「ランボルギーニ カウンタック LP500S」や「フェラーリ 288GTO」がラインアップされている。RCカーは、同時に複数台走らせることで楽しみが増すので、ぜひ一緒に走らせて楽しんでみてほしい。

 今後の予定については、「年内は1/12のRCカーを拡充する予定はありませんが、要望があれば考えてみたいと思います」と満園氏は語りつつ、「カウンタックの人気はやはり高く『ブラックカウンタック』のような製品は考えてみたい」とも言う。

 本記事で紹介したブラックポルシェはすでに発売中で、価格は2万6250円。限定品であるため、購入を悩むようなら、見かけた時点で買っておくのがお勧めだ。なお、ブラックポルシェを走らせるためには、コントローラーとなる送信機や、受信機、バッテリーなどが必要になる。タミヤからはタムテックギアに適した送受信機&バッテリーセットの「エクスペックSP タムテックギアドライブセット」(1万4490円)が発売されているので、RCカーが初めての場合、このセットを利用するのがよいだろう。

 

(編集部:谷川 潔)
2009年 8月 5日