ダイハツ、東京モーターショーの出展内容を発表
3台のコンセプトモデルと、来年市販化予定の「タント エグゼ」をワールドプレミア

スーパーホビーボックス「Deca Deca(デカデカ)」。さまざまな用途で使えそうだ

2009年10月7日発表



 ダイハツ工業は、10月23日に開幕(一般公開は24日から)する第41回東京モーターショーの出展内容を発表した。ワールドプレミアとして「e:S(イース)」「Deca Deca(デカデカ)」「basket(バスケット)」の3台のコンセプトモデルと、来年市販化予定の「Tanto Exe(タント エグゼ)」「Tanto EXE CUSTOM(タント エグゼ カスタム)」のほか、市販車9台、技術展示3点(エンジン2点、独自開発の燃料電池1点)を展示する。ここではワールドプレミアの4台を紹介する。

これからの軽自動車のあるべき姿を突き詰めた「e:S」
 e:Sは、「地球環境を考えた新しい軽自動車のかたち」として開発された3ドアハッチバックモデル。これからの軽自動車のあるべき姿を突き詰めたという、ダイハツの開発ポリシーが込められた車。

 元来、軽自動車は小さく、軽く、燃費がよい。こうした特徴点をさらに煮詰め、既存の軽自動車をベースにホイールベースを短くしながらも4名乗車を可能とした。同時に外板パネルの樹脂化、インパネ全体の薄型化などにより軽量化にも成功し、車重を700kgとした。

 軽量化はシートでも行われており、フロントシートのシートバックをハンモックのようなネット構造にすることにより、既存のものより左右で5kgの軽量化と省スペース化に成功したと言う。通常、シートはクッションにより乗り心地性を高めているが、このネット形状のシートは両サイドにクッションが入るものの、中央部にはクッションが入らない。

 エンジンも既存のものをベースにしているが、外部EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環装置)と、ムーブ ラテ以降で採用されているダイハツ独自の燃焼制御システムを組み合わせ、ポンピングロスの低減も図っている。

 これらの技術により、e:Sの10・15モード燃費は30km/Lを達成すると言う。サイズは3100×1475×1530mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2175mm。KF改3気筒12バルブエンジンを搭載し、駆動方式は2WD(FF)。トランスミッションはCVT、タイヤサイズは165/55 R15。

e:Sは既存の軽自動車をベースにショートホイール化しながらも、4名乗車を可能とした
ネット形状のシートの採用により、既存のものより左右で5kgの軽量化に成功した
スーパーホビーボックス「Deca Deca」

停車時における使い勝手を優先した「Deca Deca」
 Deca Decaは、現行タントのプラットフォームをベースにして「スーパーホビーボックス」と銘打たれた4人乗りモデル。特に停車時における使い勝手が考えられており、床面をフラットな形状としたほか、ドアは135度まで開口するため、利便性に優れる。

 シートは前後左右、自由な方向に向けられるものとし、さらに助手席をダッシュボード側に、後席を運転席側に折りたためるため、サーフボードやマウンテンバイク、車いすといった大型のものを乗せることも可能としている。

 また、35インチ液晶モニター(東芝製)を装備することにより、カメラで撮影した画像をその場で楽しんだり、簡易オフィスとして利用したりといった用途も考えられていると言う。この35インチモニターは実際には37インチのモニターを使用しているが、着座位置の都合からモニターの下端が隠れている状態になっているため、35インチと呼んでいるそうだ。

 サイズは3395×1475×1820mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2490mm。KF-DET改3気筒ターボエンジンを搭載し、前輪を駆動させる。トランスミッションはCVT、タイヤサイズは165/50 R16。

Deca Decaドアは135度まで開口し、利便性が高いものとした。運転席側の後席にはドアがないのが分かる
フルフラットな床面と、多彩なシートアレンジが魅力的。使用用途は多岐にわたる

スローライフを演出する4シーターオープン「basket」
 basketはスローライフを望むユーザーに向けられた4シーターオープンのフルタイム4WD。“麻袋”をイメージさせるパターンをプリントしたファブリックシートを採用し、これはダッシュボードなどでも同様の処理が施される。

 前後分割式でデタッチャブル仕様のルーフを採用したことにより、フルオープンにすることが可能。後席のキャンバスルーフのウインドー部は後部側がポリカーボネート製、側面が強化ビニール製となる。

 後席は折りたたんで収納することができ、さらにその上に樹脂製パネルを広げることにより、フラットなデッキとしても使える。

気軽なスローライフを演出してくれるbasket
“麻袋”をイメージさせるパターンがプリントされる室内が特徴的。ルーフは前後分割式でデタッチャブル仕様のルーフを採用

来年市販予定のタント エグゼ
 タントは、開放感と優れた乗降性・積載性を実現し、安全性や燃費性能を追求したモデル。子育てをする女性のほか子供の視点も取り入れたことにより、“子育てスペシャルカー”として位置づけられている。その特徴として挙げられるセンターピラーレス&スライドドア機能は、今回出展されるタント エグゼではスイングドアに変更されている。これは、“子育てスペシャルカー”のイメージをリセットし、広々とした室内空間をそのほかのより多くのユーザーに楽しんでもらうために変更されたもの。大人4人がしっかり座れ、長時間の移動も苦にならないよう前後席の居住性に注力したほか、収納ポケット類を控えめにしながらも、デザイン性を重視、質感の高いものに仕上げたと言う。

 サイズは3395×1475×1730mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2490mm。エンジンはKF-VE3気筒12バルブエンジンを搭載し、駆動方式は2WD(FF)を採用。タイヤサイズは145/80 R13。トランスミッションは現状ではCVTとなるが、そのほかの方式も検討されていると言う。また、専用の外装などが施されるタント エグゼ カスタムも展示される予定。

タント エグゼは大人4人がしっかり座り、長時間の移動も苦にならないように前後席の居住性に注力された
タント エグゼ カスタム

(編集部:小林 隆)
2009年 10月 7日