ホンダ、新型「ステップワゴン」発表会開催
4代目ステップワゴンのキーワードは「みんなの楽」=“皆楽”

新型ステップワゴンの横で挨拶を行った本田技研工業 代表取締役社長 伊東孝紳氏

2009年10月9日発表



 本田技研工業は10月9日、新型「ステップワゴン」の発表会を東京・青山の本社で開催した。

 今回発表された新型ステップワゴンは、シルバーウィーク期間(9月19日~23日)に東名高速道路のSA(サービスエリア、海老名SA、上郷SA、三木SA)で先行公開をするなど、発表前から話題に上っていたモデル。発表会では冒頭に同社の代表取締役社長 伊東孝紳氏が挨拶を行うとともに、「4代目のステップワゴンは“みんなの楽”=“皆楽”がキーワード」と、開発コンセプトを紹介した。

 次に、ステップワゴンの開発責任者である小西真氏が「新型ステップワゴンは広さと大きさ、使いやすさと心地よさ、そして経済性に特化し、家族みんなが“楽”を体感できるモデルだ」と述べ、新型ステップワゴンの詳細について動画で紹介した。

本田技研工業 代表取締役社長 伊東孝紳氏ステップワゴン開発責任者の小西真氏

 動画には新型ステップワゴンにかかわった車体研究開発者、車体設計責任者、電装研究担当者、インテリア設計担当者、カラーデザイン担当者、シャシー研究担当者、シャシー設計担当者、衝突安全担当者、エンジン研究担当者、パワープラント責任者、トランスミッション設計担当者などが登場し、それぞれが受け持った個所の特徴を紹介した。

エンジン研究担当 山本一哉氏シャシー設計担当 片山優氏電装研究担当 武井且行氏
インテリア設計担当 白勢治氏衝突安全担当 蛭田行男氏パワープラント責任者 新地高志氏
トランスミッション設計担当 笠谷琢氏カラーデザイン担当 小林美絵さん

 車体研究責任者の太田元一氏は「目指したのは5ナンバーサイズ最大の空間」だと述べた。スクエアフォルムとしたエクステリアデザインに、低床・低重心パッケージをベースとしたステップワゴンの車体サイズは4690×1695×1815mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2855mm。室内で130cmの身長の子供が普通に立つことができ、先代モデルよりも全長で50mm、全高で45mm拡大した。これは5ナンバー、2000ccクラスのミニバンで最大レベルの空間だと言う。また、全周に渡るガラスエリアの面積を拡大したことにより、開放感と広さ感を演出しているとした。

スクエアフォルムのスケッチ図ステップワゴンの車体サイズ
身長130cmの子どもも室内で立てるサイズとしたスライドドアは大開口ガラスエリアを従来モデルより拡大したことにより、開放感と広さ感が出た

 車体設計責任者の吉田逸郎氏からはクラス初となる3列目の床下格納シートについて紹介された。この3列目シートの構造は、ステップワゴンの最大の特徴の1つで、リアのフレームをリアタイヤ後方から車体外側いっぱいまで大きく湾曲させ、リアフロアの構造を工夫することにより3列目シートを床下にフラットに納めることができたと言う。

 また、振動・騒音を発生源で低減、ボディー各部の剛性を高めたことで室内へのノイズ侵入を効果的に抑制した。室内のこもり音を打ち消すボディーパネルの音圧コントロールや、遮音・吸音材の採用拡大により、市街地でも高速道路でも優れた静粛性を発揮すると述べた。

3列目の収納は女性でも手軽にできるもの。新型ステップワゴンの最大の特徴の1つ

 エンジン研究担当の山本一哉氏は、「全グレードとも2.0 i-VTECエンジンを採用し、バルブタイミング制御とともに、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)によってスロットルバルブを最適に制御する可変吸気量制御により、吸気抵抗によるポンピングロスを低減、燃費性を向上した」と述べた。これに組み合わせられるトランスミッションについては、設計担当の笠谷琢氏から「変速ショックのないトルクコンバーター付CVTを採用したことにより、ドライバーの感覚にあったなめらかな走りができる」と紹介された。

 これらにより2WD(FF)モデルの10・15モード燃費は14.2km/Lとし、優れた燃費性能も特徴だと紹介された。また、エンジンとトランスミッションを燃費優先に制御する「ECONモード」についても触れられた。エコカー減税については、2WD(FF)は取得税・重量税が75%、4WDは50%の減税措置がとられる。

直列4気筒 SOHC 2.0リッターエンジントランスミッションはトルクコンバーター付CVT(FF)。4WDは5速AT10・15モード燃費はFFで14.2km/L、4WDで12.6km/L
エコカー減税については2WD(FF)で取得税・重量税が75%、4WDで50%の減税エコアシスト機能「ECON」は実用燃費向上を支援するもの燃費データはモニターで確認できる

 電装研究担当の武井且行氏からは、約35km/h以下で走行中にヘッドライトを点灯させ、ウインカー操作や一定以上のステアリング操作を行うと、専用ライトが点灯し、進行方向内側を照射して視認性を高める「アクティブコーナリングライト」や狭い道などで活躍するであろう「サイドビューサポートミラー」の紹介がされた。また、インテリア設計担当の白勢治氏からは各種収納類の豊富さや、世界最大級となる「スカイルーフ」について、カラーデザイン担当の小林美絵さんは新色としてアオゾラブルー・メタリック、プレミアムヒダマリアイボリー・パールを設定したなど、各人が新型ステップワゴンの魅力について熱く語っていた。

サイドビューサポートミラーステアリング操作や、ウインカー操作に連動した作動するアクティブコーナーリングライト各種収納類の紹介
スカイルーフのガラス面積は世界最大級だと言う新たに追加されたボディーカラーは2色
本田技研工業 日本営業本部 本部長 小林浩氏

 最後に、同社の日本営業本部 本部長 小林浩氏からステップワゴンの価格帯と発売日が紹介されたとともに、担当の生産工場は埼玉製作所で、販売計画として6000台/月を目標にしていると述べた。

 そのほか、10日からオンエアされるCMの紹介もあった。CMに使われるキャンペーンフレーズは「日本一の家族へ。大きくなった、ステップワゴン新登場」。日本一の家族の代表としてウルトラファミリーを起用し、「新登場」編、「大空間・低燃費」編、「隠れるシート・エコアシスト」編、「恐れる怪獣」編を展開する。

新型ステップワゴン各グレードの価格新型ステップワゴンとその福祉車両は10月9日発売で、ステップワゴン スパーダとその福祉車両は23日に発売される生産工場は埼玉製作所が担当し、販売計画は6000台/月を目標とする
新型ステップワゴンのCMでメインキャラクターを務めるのはウルトラファミリー
会場中央に展示されていた新型ステップワゴン正面から横から
真後ろからリアゲートを開けた状態でアルミホイールは15インチと16インチを設定。写真は15インチのもの
カットモデルも展示されていた。色がつけられている部分はブルーが剛性向上部材、オレンジが高効率衝撃吸収構造、イエローが歩行者傷害軽減構造としての役割を担う
インパネサイドビューサポートミラーはミラーサイズはやや小さいが、サイドビューがしっかり見える車体後部でも剛性向上部材などが確認できる
3列目2列目運転席
純正カスタマイズブランド「Modulo(モジューロ)」のオプション装着車も、展示されていた
モジューロのフロントシートはブラックの合皮シートカバーで覆われているこちらは福祉車両のサイドリフトアップシート車。電動で回転から昇降を行えるエンジンのカットモデル
ウルトラマンも新型ステップワゴンをアピール。3列目収納のデモも行っていた

(編集部:小林 隆)
2009年 10月 9日