SUPER GT最終戦が11月7日、8日にツインインクもてぎで開催
NSXラストランに燃える道上、小暮両選手が編集部を訪問

もてぎエンジェルと一緒に編集部を訪れてくれた道上龍選手(中左)、小暮卓史選手(中右)

2009年11月7日、8日開催



 2009 AUTOBACS SUPER GTの最終戦(第9戦)となる「MOTEGI GT 250km RACE」が、11月7日(予選日)、8日(決勝日)の2日間にわたり栃木県茂木町のツインリンクもてぎにおいて開催される。

 例年、最終戦近辺や最終戦には上位チームのウエイトハンデが重くなりポイント獲得を目指した戦いとなるが、今年はルールが変わり、最終戦には全チームがウエイトを降ろし、ノーハンデのガチンコバトルが展開されることになる。本来の車の性能と、ドライバーの能力が本格的に試されるレースになるだけに、混沌としているチャンピオン争いとともに純粋に誰が速いのかを知りたいユーザーとしては注目のレースとなることは間違いない。

 また、今回のレースはこれまで十年以上にわたりホンダのGTマシンとして活躍してきたNSXのラストレースとなる。来年以降はNSXに代わり新しい車両がベース車として利用されることになるため、GTカーとしてのNSXの雄姿を見ることができるのは今回が最後になるのだ。

 いろいろな意味で注目の一戦と言えるMOTEGI GT 250kmだが、そのプロモーションのため、ホンダワークスのROCKSTAR 童夢 NSX(18号車)を駆る道上龍選手、小暮卓史選手が編集部を訪問してくれたので、その模様をお伝えする。

真の実力が試されるハンデなしの最終戦、本当に強いのは誰だ?
 SUPER GTではウエイトハンデ制度という仕組みが採用されている。この制度は、獲得したポイントに応じてウエイト(重り)を積むことで、一部の戦闘力が高い車が独走して早々にチャンピオンが決まることを防ぐための措置だ。実際、これがあることで、最終戦を前にチャンピオンが決まったのは、近年では2007年ぐらいで、最終戦までチャンピオン争いがもつれることがほとんどだ。今年も例外ではなく、現時点でGT500では3チーム、GT300では6チームがチャンピオンの可能性を残しており、今回の最終戦でその決着がつくことになる。

 今年のウエイトハンデ制度では、第6戦まではポイント×2kgのウエイトが、第7戦、第8戦に関してはポイント×1kgのウエイトが課されていた。しかし、最終戦はそうしたウエイトをすべて降ろすことが可能になるのだ。特別性能調整と呼ばれるメーカー間で異なる戦闘力の調整のため搭載されるウエイトは残るものの、ポイントに応じたウエイトはすべて降ろすため、車の持つ戦闘力を存分に発揮できる状況が実現するのだ。

 GT500では、MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)が78点、PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)が73点、ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)が61点で、チャンピオンの可能性を残しており、点差を考えると実質的にはMOTUL AUTECH GT-R、PETRONAS TOM'S SC430の2台によるチャンピオン争いになりそうだ。

 GT300では実に6チームが可能性を残しており、ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也)が74点、ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)と、JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也/平中克幸)が71点で同点、M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝/折目遼)が67点で続くなど接戦になっており、まさに最終戦の結果次第で、どう転んでもおかしくない状況だ。

ツインリンクもてぎはNSXのホームコース、有終の美を飾りたいと両ドライバー
 そうした中、SUPER GTの歴史を支えてきた1台と言ってもよいホンダのNSXがこの最終戦でラストレースを迎える。NSXと言えば、1997年からホンダのGTカーとして利用されてきており、2000年には道上龍選手のドライブで、2007年には伊藤大輔/ラルフ・ファーマン選手のドライブでチャンピオンを獲得するなどの活躍をしてきた。

 この最終戦にも8号車のARTA NSXがチャンピオンの可能性を残している。ただし優勝し、かつ上位2台がノーポイントに終わる必要があるので、可能性はかなり低いが、それでも過去に大逆転がなかった訳ではない。

 今回編集部を訪れてくれたのは、最終戦でホンダワークスのROCK STAR 童夢 NSXを駆る道上龍選手と小暮卓史選手。道上選手は「自分はNSXと一緒に育ってきた。それだけに寂しい部分はある」とレーシングドライバーとしてのキャリアのほとんどをNSXと共に過ごしてきた道上選手ならではの感想を語ってくれた。

道上龍選手。NSXと共に戦ってきただけに最終戦にかける思いは熱いようだ
アグレッシブな走りでファンを魅了する小暮卓史選手

 そのパートナーとなる小暮選手は「NSXには丸5年乗らせてもらってきた。その中で2006年に体調が悪い中でも初優勝したのが最高の思い出」とNSXの思い出を語ってくれた。ちなみに、小暮選手にとってつらかったことはなにか聞いてみたところ「2007年の鈴鹿で大クラッシュしたのが一番痛かった思い出、あれは(心だけでなく体的にも)痛かった(笑)」との答えが返ってきた。

 NSXのラストランに向けての意気込みを聞いてみると道上選手は「NSXはツインリンクもてぎで開発をしてきた車。そうした意味で、NSXのホームコースであり、庭のようなものだ。今年のNSXはレギュレーションに合致しない特認車両として出ているので、開幕時のパフォーマンス的には厳しい部分があったが、ホンダやチームの努力で開発が進み、最終戦に向けてはよい車になってきた」と自分たちの置かれている状況を道上選手らしく冷静に語ってくれた。

 小暮選手は「確かに今年はレギュレーションの関係で当初は厳しかったが、やはりラストレースは終わりよければすべてよしにしたい。ポールツーウインを狙っている」と小暮選手らしく1番を目指すという前向きな姿勢で意気込みを語ってくれた。

両選手と一緒に編集部を訪れ、最終戦のイベント内容を語ってくれたもてぎエンジェルの葉月ななこさん(左)、五十子明恵さん(右)

ツインリンクもてぎではNSXにちなんだイベントを開催予定
 なお、今回のプロモーションにはツインリンクもてぎのレースクィーンであるツインリンクもてぎエンジェルの2人(葉月ななこさん、五十子明恵さん)も参加し、MOTEGI GT 250km RACEの各種イベントをアピールしてくれた。

 2人によれば今回のレースではNSXのラストレースということを記念して、NSXに縁のあるドライバー、チーム関係者、エンジニアなどによるトークショーを11月8日に開催するほか、歴代のNSXが展示され、さらに実際にコクピットに体験搭乗することも可能だと言う。そのほか、NSXファン向けにはホンダファンシートと呼ばれる観戦チケットも用意されており、先着2000名にNSX-GT応援マフラータオルがプレゼントされる予定だ。
※ホンダファンシートは、10月28日夕刻完売しました。

 こうしたイベントが多数用意されるほか、前述したように、GT500、GT300ともにタイトルのかかるレースとなる。それだけに見所満載であり、ぜひ現地で観戦してみてほしい。なお、チケットはMOBILITY STATIONで購入できるほか、各種プレイガイド・コンビニエンスストアなどで購入することができる。

 なお、ツインリンクもてぎに行くことが難しい場合にはテレビ観戦となるが、テレビではJ-SPORTS Plusで生中継される予定になっている。視聴方法などはJ-SPORTSのWebサイトなどでご確認いただきたい。

(笠原一輝)
2009年 10月 28日