スズキの原点、新型「アルト」発表会 新型アルトは「愉快なしっかり者の友達」 |
スズキ自動車は12月16日、新型「アルト」の発表会を都内のホテルで開催した。
約30年前に登場した初代アルトは、誰もが気軽に乗れて自由に乗り回せることに加え、多用途に使えること、省資源・省エネルギー・省スペースに対応すること、車本来の安全性を充実するという4つの商品コンセプトの下、開発された。本日発表された7代目の新型アルトは、「省資源かつ低燃費で気軽に使え、世代を超えて愛される軽自動車」をコンセプトに、最大のテーマとなる環境性能の向上と低燃費性の実現を目指した。
会場には新型アルト(左)とアルトバン(中)、それに初代アルト(右)も展示された |
鈴木修会長 |
発表会の冒頭で挨拶をした鈴木修会長はアルトについて、初代アルトは統一価格で販売した初めてのモデルであり、当時では破格の47万円という値段に設定したことや、鈴木会長が代表取締役社長に就任した直後に販売したモデルだったことなどにより、「私にとっては非常に印象深いモデル」だと述べた。また、「3500台/月の販売計画を立てていたところ、3万台/3カ月の受注を受けたことが非常に印象深かった」と過去を振り返る。さらに、「アルトはスズキが4輪車の量産機種として本格的に生産を始めた初めてのモデルで、今日に至るまで1000万台(内訳は日本国内で約500万台、インドで420~430万台、その他のエリアで70~80万台)を販売した。アルトを作ったことで、その後の海外との提携や、本格的な車作りを行うに至った。新型アルトはまだまだ満足すべき燃料消費量ではないし、重量も削れると考えている。そういった点で、発表会を行うと同時にこれらの問題とまた明日から戦わなければならない、そんな気持ちだ。これからも経済状況に見合った車作りを行っていきたい」と語った。
なお、12月9日に発表を行ったフォルクスワーゲンAG(VW)との包括的な提携については、「GMには28年間本当にお世話になった。(VWとの提携が決まったことで)小学校を卒業して中学校に入る際に先生が変わった、そんな気持ちだ。もっと勉強しなければならないし、生き残りをかけてともに戦っていきたい」と決意を述べた。
代表取締役専務取締役 四輪技術本部長 中山隆志氏 |
商品紹介は同社代表取締役専務取締役 四輪技術本部長 中山隆志氏が行った。
新型アルトはボディー鋼板の板厚の見直しや高張力鋼板の使用エリアを拡大したことで、先代モデルよりも剛性を高めながらも2WD車(FF、5速MT)で約10kgの軽量化に成功し、「ボディー形状は風洞実験やコンピューター解析などを重ね、空力性能を向上した」と言う。
これに吸気効率の向上や低フリクション化により優れた低燃費を実現したVVT(可変バルブタイミング)機構付きの直列3気筒DOHC 660ccを搭載。トランスミッションは新型パレットに初搭載した副変速機構付きCVTを新たに採用し、「低速域ではエンジン回転数を上げて力強く発進し、高速道路などではエンジン回転数を低く抑えることで低燃費を実現している」と言う。
これらの技術により、自動車重量税および取得税が軽減される環境対応車普及促進税制(エコカー減税)、エコカー補助金に全モデル適合する。
エクステリアは、世代を超えて受け入れられる親しみの持てるデザインにしたと言う。伸びやかなルーフラインや丸みを帯びたフロントまわりとヘッドランプ、ウェッジを効かせたプレスラインなどは、アルトの持つ広さを表現。ワゴンRのプラットフォームを用いて2400mmとロングホイールベースとし、大人4人が余裕を持って座れる居住空間と荷室スペースを確保している。
インテリアデザインは横基調をベースにセンターコンソール中央を丸みを帯びたデザインとし、親しみの持てるものとしている。Aピラーを寝かして下端を前方に配置することで、ガラスエリアを拡大し、高めのヒップポイントと相まって優れた視界性を実現したと言う。
最後に中山氏は、「時代の要請、ユーザーの要望にあわせながら、軽自動車に求められるものをしかと捉え、真面目にこつこつと作り上げてきた。新型アルトは、気軽に付き合える、愉快なしっかり者の友達と付き合うような、新鮮で楽しい毎日をお届けするもの。ぜひ、実車をご覧になって頂きたい」と、その仕上がりに自信を覗かせた。
(編集部:小林 隆)
2009年 12月 16日