吉本大樹選手主催の「HIROKI YOSHIMOTO MEETING Round-3」
「FJ1600」での走行や「5ZIGEN NSX」の同乗走行も

HIROKI YOSHIMOTO MEETING Round-3ではFJ1600にも気軽に乗れる。奥に見える車両は持ち込み走行の参加車両

2009年12月19日開催
鈴鹿ツインサーキット



 SUPER GT、スーパー耐久シリーズに参戦している吉本大樹選手主催の走行会「HIROKI YOSHIMOTO MEETING Round-3」“鈴鹿ツインサーキット爆走会”が、12月19日に開催された。F1やSUPER GT、フォーミュラ・ニッポンなど、見るモータースポーツは春までシーズンオフだが、参加するモータースポーツにシーズンオフはない。今回は、参加するモータースポーツとして、誰でも気軽に楽しめるイベントを取材してみた。

走行前のブリーフィングでコースの説明などが行われたブリーフィングで挨拶する吉本選手

 今回紹介するイベントは、今年スーパー耐久シリーズST3クラスで5ZIGEN NSXに乗りチャンピオンを獲得し、SUPER GTではGT300クラスで紫電に乗り優勝争いをした、吉本大樹選手が主催する「HIROKI YOSHIMOTO MEETING Round-3」“鈴鹿ツインサーキット爆走会”だ。イベントは鈴鹿サーキットの南西6kmほどにある鈴鹿ツインサーキットで行われた。このコースは全長1.75km、メインストレート550m、ストレートの中間部分でコースを2分割(DコースとGコース)することが可能で、今回は最終コーナー側のGコースを使用した。

鈴鹿ツインサーキットの全景。手前半分が今回使用したGコース。主にグリップ走行を中心に使用。遠方のDコースではドリフト走行が行われていたコース図。グレーの部分を使用した

 イベント内容は入門用フォーミュラマシンである「FJ1600」の体験走行、持ち込み車両による走行、吉本大樹選手との同乗走行と3つのコースが用意された。それぞれのコースを紹介していこう。

「FJ1600」の体験走行

F3000や富士GCで活躍した舘善泰氏。現在はRacing F代表

 FJ1600は排気量1600ccのエンジンを搭載したフォーミュラマシンで、ウィングなどの空力パーツはなくドライビングの基本をマスターすることを目標としている。入門用とは言え、長い直線であれば最高速は200km/hを超えるマシンだ。

 普段は間近で見ることもなければ、まして乗ることのできないフォーミュラマシンに、今回は気軽に乗ることができる。しかも経験によって15歳以上であれば普通運転免許証がなくてもドライビングが可能だ。

 吉本選手も「通常はサーキットのライセンスを取って、車両をレンタルしなければならなかったりと、ハードルが高いんです。もっと手頃に体験できるべきだと思うけど実際には難しい。でもそれらが改善されることで、今後のレース界を明るくしていく可能性があると思う」と語っていた。

 今回は3台のマシンが用意されていた。マシンはF3000や富士GCで活躍した舘善泰氏が代表を務めるRacing Fが用意したもので、舘氏はドライビングのアドバイスも行っていた。

 最初にステアリングを握ったのは、中学2年生の男の子だった。父親に話しを聞くと、レーシングカートには乗っているが、シフトチェンジのある車に乗るのは初めてとのこと。まずガレージで舘氏が教えたのは半クラッチでの発進の仕方だった。

 当然、何度かエンストしてからコースイン。最初はシフトチェンジが上手くできない。このままではエンジンが危ないということで、すぐに強制ピットイン。シフトチェンジの仕方を教えて再びコースイン。25分の走行を終える頃にはそれなりのペースで走れるようになっていた。

 他の参加者も、若い女性がいたり外国の方がいたりと、ハードルを下げた効果を感じさせていた。走りを見ても、安定したペースで走る人もいれば、スピン、コースアウトをする人もいるなど、各自が有意義な体験をしている様に感じられた。

最初のアドバイスは半クラッチ少し慣れると中学生でもそれなりに走っていた外国の方も参加していた

持ち込み車両による走行
 自分の愛車を持ち込んで走るコースには12台が参加した。当初20台ほどの申し込みがあった様だが、寒波の襲来により鈴鹿地方の天気予報は午前中が雪。そのため直前でキャンセルがあり参加台数が減ってしまったとのこと。実際の天気は極寒に強風と、立っているのも辛いほどではあったが、雪が降ることはなかった。サーキットに雪は降らなかったが、東海地方も北部では降雪があったし、筆者も早朝の名古屋市内で屋根に雪を積もらせたまま走る車を見た。遠方からの参加者が天候の影響を受けたのは仕方ないと思われる。

 予定では排気量により2つにクラス分けをして、それぞれ30分の走行を3回と模擬レースを行うことになっていたが、参加車両が減ったので、クラス分けなしで1時間の走行が3回と参加全車両による模擬レースに変更された。

 参加車両はフェラーリ、ポルシェ、BMW、ベンツなどの輸入車から、シビック、ランサーエボリューション、プリウスなどの国産車、さらにレース仕様のヴィッツと多彩な顔ぶれとなった。1人で黙々と走る人もいれば、3人乗車して走る人もいるなど、楽しみ方もそれぞれだ。

持ち込み走行に参加した各車

 最後に行われた15周の模擬レースは、吉本選手がマーシャルカーで先導し、ローリングスタートで行われた。スタートから飛び出したのは2台のフェラーリ。他車を圧倒するペースでゴールまで競り合っていた。

模擬レースは吉本選手の先導によるローリングスタートで始まったいきなり激しいバトルを始めたフェラーリ2台
ストレートをフェラーリ4台が疾走圧倒的な速さで他車を周回遅れにするフェラーリ2台
終日大忙しだった吉本選手

吉本大樹選手との同乗走行
 今回の参加者は生徒の父兄も含めると約50人。そのうちの約半数が同乗走行の参加者で、イケメンレーサー吉本選手のイベントということもあり圧倒的に女性が多かった。マシンはなんとスーパー耐久シリーズST3クラスのチャンピオンマシン5ZIGEN NSX、周回数は1人3周だ。

 このイベントのために助手席を用意したマシンに参加者が乗り、猛スピードでコースを周回する。持ち込み車両の走行と一緒なので、直線でもコーナーでも抜きまくっての走行となった。最初に同乗走行を終えてマシンを降りてきた女性は「凄い迫力。大満足です」と興奮気味に話していた。

最初の参加者が5ZIGEN NSXの助手席にコースイン

 3周走行してピットイン、助手席の参加者が交代してまたコースインを繰り返すのだが、始まって30分ほどで思わぬアクシデントが発生。なんと5ZIGEN NSXが白煙を上げエンジンブローしてしまったのだ。急遽、関係者のフェラーリ360challengeにマシン変更して事なきを得た。ちなみに5ZIGEN NSXもフェラーリ360challengeもラップタイムはほぼ同じだった。

アクシデント発生。牽引されて戻ってくる5ZIGEN NSXフェラーリ360challengeに車両を変更

 この日の吉本選手は大忙しだった。FJ1600の走行中は同乗走行は行われないのだが、その間は参加者との記念撮影とサインに追われ、休む間もなく再び同乗走行の繰り返しとなった。参加者にとっては、普段のレースとは違った距離でレーサーと接することができる有意義なイベントとなっていた。

 今回のイベントは「Round-3」となっているが、過去2回はパーティー形式で、走行会+パーティーとして開催されたのは今回が初めてだった。フォーミュラ体験、愛車での走行、同乗走行と、参加者の目的によって選択肢もあり、気軽にサーキット走行が体験できるイベントとして魅力的なものと感じられた。来年以降の計画は未定だが、興味のある方は吉本選手のホームページをチェックしていただきたい。

(奥川浩彦)
2009年 12月 21日