スーリー製品を一堂に見られる「THULEコンセプトショップ」
ルーフボックスやサイクルキャリア、取り付け相談も受け付け

THULEコンセプトショップ

東京都千代田区神田美土代町3
営業時間:10時~17時、月曜日~金曜日
TEL:03-6860-4182



 システムキャリアの世界的トップブランドであるスーリー(THULE)。自動車メーカーの純正オプション品として採用されることも多く、車のオプションカタログなどでその製品を見かけた人もいるだろう。

 そのスーリーのショールームとなる「THULEコンセプトショップ」が、昨年10月に東京都千代田区にオープンした。自動車メーカーへの製品供給はスーリー・ジャパンが行っているが、個人向け販売はビルシュタイン製品などの販売でも知られる阿部商会が行っており、THULEコンセプトショップも阿部商会が運営している。

THULEコンセプトショップの店内。各種スーリー製品が展示されている
阿部商会でスーリー製品を担当する販売促進部商品課グループリーダーの阿部浩二氏。THULEコンセプトショップで、スーリー製品のよさを体感してもらえればと言う

 今回お話をうかがったのは、阿部商会でスーリー製品を担当する販売促進部グループリーダーの阿部浩二氏。阿部商会では3年ほど前からスーリー製品を扱いはじめたと言い、これまでいくつかの代理店が扱ってきたスーリー製品の個人向け販売は阿部商会に一本化されているとのこと。

 阿部氏によると、そもそもスーリーは、1942年に創立されたスウェーデンのメーカーで、当初はネズミ取り(金属製のかごにえさをぶら下げ、かごに入ったネズミを閉じ込めるもの)や釣り針などを作っていた会社だと言う。オーナーが釣りなどレジャー好きだったことから、レジャーに便利な製品として、カーキャリアを開発。その後、スキーキャリアやルーフボックスなどを開発し、今では世界最大級のカーキャリアメーカーとなっている。

 そのスーリーが日本で飛躍するきっかけになったのは、映画「私をスキーに連れてって」(1987年公開)で、スキーキャリアが使われていたことだと言う。この映画で使われていたのは他社のスキーキャリアだが、この映画によってスキーが一大ブームとなり、スキーキャリアという製品も広く知られることになった。

 スーリー製品もそのスキーブームで売上げが右肩上がりで伸びたものの、スキーブームの落ち着いた現在、スノーボード人口が下支えになったとはいえ、かつてほどの伸びはないと言う。しかし、スーリー製品はもともと低価格で数を売るというものではなく、よいものを求める人が購入していく製品のため、「一昨年来の不景気による影響はそれほど出ていません。キャリア製品の市場全体としてはやはり縮小しているのですが、スーリーは堅調な販売状況が続いています」(阿部氏)と語る。

 とはいえ、不景気の影響による、カー用品店におけるキャリア製品の販売面積の縮小もあり、スーリー製品をより理解してもらうためのショールームとしてTHULEコンセプトショップをオープンした。「このTHULEコンセプトショップに来れば、各種スーリー製品を実際に見ることができ、その取り付け方法なども体験できます。また、システムキャリアは、車種によって製品がさまざまにあるのですが、その相談にものっています」とのこと。コンセプトショップ開設の背景としては、販売店での売り場面積の減少もあるが、スーリー本社の方針もあり、決して安くはないスーリー製品の高品質さを理解してもらうためでもある。

 実際、THULEコンセプトショップでは、スキーキャリアはもちろんのこと、大型のルーフボックスや、サイクルキャリア、各種取り付け用のアタッチメントまで見ることができ、その動作を試すことができる。

スーリー製品の特徴として、取り扱いの容易さが挙げられる。これはシステムキャリアのベースとなるベースキャリアの取り付けデモ機。ルーフへベースキャリアを引っかけ、パイプの右にある黒いダイヤルを回すと、下部のつめが締まる。最後に鍵を使ってロックする
スキーキャリアの展示。最上部のスキーキャリアがトップモデルの「Xtender 739」。スキー板やスノーボードの積み下ろしが楽なよう、外側へスライドする機構を持っている

 ここ数年の販売の中心はルーフボックスだと言い、3年前から新商品として発売したソフトタイプのルーフボックスがユーザーの支持を集めているとのこと。ルーフボックスというと、FRP製のハードタイプが一般的だが、このソフトタイプのルーフボックスは折りたたみが可能であり、車高の制限がある駐車場の利用者が増えていることがその背景にあるのではないかと阿部氏は語る。

人気のルーフボックス。下が最上位モデルの「Excellence」、その上が「Pacific」ルーフボックスに関しては、写真のような展示もしてあり、操作性を実際に確かめることができる
スーリーのルーフボックスでは、ベースキャリアへの取り付けも工夫されている。写真はルーフボックス下部にある取り付け部で、カニのつめのような形状となっており、センター出しが容易になっているカニのつめは、ルーフボックス内部にあるダイヤルを回すことで締まる
人気の高い、ソフトタイプの折りたたみ式ルーフボックス。写真の「Ranger 500」の容量は最大300Lあり、ジッパーによってそのサイズを可変できる

 そのほか、最近の自転車ブームを背景として、サイクルキャリアも順調に売上げを伸ばしているとのこと。とくにスーリーのサイクルキャリアは、自転車を固定するロック機構に独特なものを用いており、自動車のルーフに自転車を取り付ける際にも、取り付けが容易になっている。

 スーリーのサイクルキャリアは自転車のプロチームでも用いられており、選ばれるポイントとして高い安全性があると言う。スーリー製品は、製品テストの第三者機関である「TUV(テュフ ラインランド)」のテストをパスしているほか、厳しい社内テストも行っており、全製品に5年の製品保証が付帯する。サイクルキャリアでは、自転車を取り付けた状態で衝撃テストなどを行っており、そのテストの模様は阿部商会のスーリーWebページから見ることができる。

サイクルキャリアの「ProRide 591」。自転車を取り付けやすいような工夫が随所に行われている自転車をレールに乗せ、中央下部のフレームにレンチのような形状をしたフレームホルダーをかける。阿部氏がしゃがんでいるのは、車の屋根の高さを再現するためレンチ状のフレームホルダー。自転車のフレームに横からかませるだけでよい
右の写真のようにキャリア下部にあるダイヤルを回すと、フレームホルダーのレンチ部が締まり、自転車がしっかり固定される
北欧では普及しているものの、日本ではあまり見ることのないトウバー用サイクルキャリア。トウバーとは、自動車の後部に取り付けるフック状のアタッチメントで、このトウバーを使って写真のようなサイクルキャリアや、荷台を取り付けることができる

 阿部氏によれば、THULEコンセプトショップでは販売は行わないものの、スーリー製品の取り付け相談をはじめ、スーリー製品を扱うショップの案内など、スーリーに関することなら何でも聞いてほしいと言う。THULEコンセプトショップは、ビジネス街にあり、また営業時間が平日の17時までとなっているため、郊外に勤務する人にとってはなかなか訪れづらい面もあるものの、大型カー用品店でもスーリー製品がこれだけそろうショップは少なく、カーキャリアやルーフボックスに興味のある方は一度訪れてみてほしい。

【お詫びと訂正】記事初出時、映画「私をスキーに連れてって」において、スーリー製スキーキャリアを使用とのインタビュー内容を掲載しましたが、映画で使用されていたスキーキャリアは他社製品との連絡があり、記事内容を変更しました。お詫びして訂正させていただきます。

(編集部:谷川 潔)
2010年 1月 26日