ポルシェ、ハイブリッドレーシングカー「911 GT3 R ハイブリッド」
ウィリアムズが開発したフライホイール式ハイブリッドを搭載

911 GT3 R ハイブリッド



 独ポルシェは2月11日(現地時間)、「911 GT3 R ハイブリッド」をジュネーブモーターショーに出展すると発表した。

 911 GT3にハイブリッドシステムを搭載した車両。レース用車両であり、ニュルブルクリンク24時間レースをはじめとする長距離レースに出走させる。ハイブリッドシステムのノウハウをロードカーにフィードバックするのがその目的。

 

911 GT3 R ハイブリッドのハイブリッドシステム。2がモータ、4がフライホイール

 パワーユニットは、リアに搭載した4リッター水平対向6気筒エンジン(最高出力480PS)と、フロントアクスルの2基のモーター(それぞれ60kWを発生)。フロントのモーターは、減速時にエネルギーを回生する。

 最大の特徴は回生されたエネルギーの貯蔵方法で、一般的なバッテリーに電力を戻すのではなく、車室内のドライバーの隣に設置された40000rpmで回転するフライホイールに、エネルギーを蓄える。

 フライホイールに貯めたエネルギーは、コーナーの立ち上がりやオーバーテイク時に、フロントの2基のモーターに最大120kWが供給する。フライホイールからのエネルギーは、6~8秒間、使用できる。

 フライホイールから取り出されるエネルギーは、加速時の追加出力としてだけでなく、レースコンディションによってはピットストップ回数や燃料搭載量(=車重)を減らすためにも使われると言う。

 911 GT3 R ハイブリッドのフライホイール式ハイブリッドシステムは、英ウィリアムズ・ハイブリッド・パワー・リミテッドが開発したもの。ウィリアムズF1チームは、F1のKERS(運動エネルギー回生システム)を開発するため、、オートモーティブ・ハイブリッド・パワー・リミテッドを2008年に買収、ウィリアムズ・ハイブリッド・パワー・リミテッドに改名して開発してきた。ウィリアムズ・ハイブリッド・パワー・リミテッドも、ロードカーにこのハイブリッド・システムを搭載することを目指す。

【お詫びと訂正】記事初出時、フライホイールからのエネルギー取り出し時間の記述を誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。

(編集部:田中真一郎)
2010年 2月 12日