SUPER GT第2戦岡山リポート【決勝編】
ホンダHSV-010GTが2戦目で勝利、GT300クラスはアップスタート MOLA Zが優勝

優勝した18号車 ウイダー HSV-010

2010年4月4日開催



 4月4日、岡山国際サーキット(岡山県美作市)で2010 AUTOBACS SUPER GT 第2戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が開催された。GT500クラスは前戦で大クラッシュした18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)がポールポジションから優勝、ホンダのHSV-010GTに2戦目で初勝利をもたらした。GT300クラスは46号車 アップスタート MOLA Z(横溝直輝/阿部翼)が予選2位からスタートし優勝した。46号車 アップスタート MOLA Zは開幕戦でも2位に入り、シーズン序盤で好調な滑り出しを見せた。

GT500クラス
 14時、快晴の下スタートが切られた。各車、予選順位をキープして1コーナーを抜け、18号車 ウイダー HSV-010のスタートドライバー、ロイック・デュバル選手がスタート直後から2位以下を引き離しにかかった。このまま独走かと思われたが、2位を走る38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)が、徐々に差を詰め0.2秒差まで近づいた。

快晴の中、スタートが切られた予選順をキープして1コーナーを抜ける
2位を引き離して逃げる18号車 ウイダー HSV-010一時はトップ争いが接戦となる

 トップ2台の後方では、3番手の12号車 カルソニック IMPUL GT-R(ロニー・クインタレッリ)に35号車 MJ KRAFT SC430(石浦宏明)、6号車 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)が続き、さらにその後方では6番手の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)の後ろに8台が並ぶ大集団が形成された。

3位争いは3台の接戦で始まった6位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの後ろに大集団ができた

 この大集団から最初に抜け出したのが、予選8番手からスタートした1号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)だ。7周目の1コーナーで23号車 MOTUL AUTECH GT-Rのインを差し6位に浮上すると、一気にペースを上げ10周目の1コーナーで6号車 ENEOS SC430を、12周目のヘアピンで35号車 MJ KRAFT SC430を抜き4位にポジションアップした。

大集団を抜け出した1号車 PETRONAS TOM'S SC430ペースを上げ、あっと言う間に差を広げる1号車 PETRONAS TOM'S SC4307位以下は7台の集団となった
3位 12号車 カルソニック IMPUL GT-R、4位 35号車 MJ KRAFT SC430の後ろに1号車 PETRONAS TOM'S SC430が追いついてきた6号車 ENEOS SC430を抜き5位に浮上した1号車 PETRONAS TOM'S SC43035号車 MJ KRAFT SC430に迫る1号車 PETRONAS TOM'S SC430
35号車 MJ KRAFT SC430を抜き4位に浮上した1号車 PETRONAS TOM'S SC4303位の12号車 カルソニック IMPUL GT-Rに徐々に迫る1号車 PETRONAS TOM'S SC430

 後方の大集団から8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン)と39号車 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)が23号車 MOTUL AUTECH GT-Rを抜き、ペースを上げた。16周目、次に23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに迫った32号車 EPSON HSV-010(道上龍)がバックストレートで23号車 MOTUL AUTECH GT-Rと接触、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rはガードレールにクラッシュしリタイアとなった。

8号車 ARTA HSV-010と39号車 DENSO DUNLOP SARD SC430が集団から抜け出した32号車 EPSON HSV-010が23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに迫る。この後2台は接触した
32号車と23号車の接触で、24号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rと17号車 KEIHIN HSV-010が順位を上げた8号車 ARTA HSV-010はペースを上げて6号車 ENEOS SC430の背後に迫る

 レースも折り返しとなり、各車ピットイン、ドライバー交代を行った。上位勢では1号車 PETRONAS TOM'S SC430がリアタイヤのみの交換で2位に浮上、さらに35号車 MJ KRAFT SC430はタイヤ無交換で1号車 PETRONAS TOM'S SC430の前でコースに復帰した。

 全車ピットインが終了した時点で、トップは18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)、2位争いは35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)、1号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)、38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生)の4台となった。

 2位を走る35号車 MJ KRAFT SC430(大嶋和也)が、ヘアピンの進入でGT300クラス3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zと接触、3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zが併走する19号車 ウェッズスポーツIS350を押し出す格好となり19号車 ウェッズスポーツIS350はコースアウトしグラベルにつかまった。

 タイヤを交換しなかった35号車 MJ KRAFT SC430のペースが上がらない。53周目のヘアピンで1号車 PETRONAS TOM'S SC430、54周目のアトウッドコーナーで38号車 ZENT CERUMO SC430、55周目のアトウッドコーナーの進入で12号車 カルソニック IMPUL GT-Rに抜かれ、5位に後退した。さらに19号車 ウェッズスポーツIS350のコースアウトに対するペナルティを取られ、大きく順位を落としてしまった。

ピットイン後の2位争い35号車 MJ KRAFT SC430を抜き2位に浮上した1号車 PETRONAS TOM'S SC430今回もタイヤ無交換作戦で順位を上げた100号車 RAYBRIG HSV-010だが、最終的に後続に抜かれた

 レースも残り10周を切ったあたりから、2位争いをする1号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一)と38号車 ZENT CERUMO SC430(リチャード・ライアン)がテール・トゥ・ノーズとなった。残り4周。アトウッドコーナーの進入で前を走るGT300クラスの33号車 HANKOOK PORSCHEがブレーキをロックさせアウト側に膨らんだ。アウトから抜こうとしていた1号車 PETRONAS TOM'S SC430はさらにそのアウト側へ。38号車 ZENT CERUMO SC430は33号車 HANKOOK PORSCHEのイン側に飛び込み、あっさり2位に浮上した。

激しく2位を争う1号車 PETRONAS TOM'S SC430と38号車 ZENT CERUMO SC4301号車 PETRONAS TOM'S SC430を引き離す38号車 ZENT CERUMO SC430表彰台を争う1号車 PETRONAS TOM'S SC430と12号車 カルソニック IMPUL GT-R

 18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)は安定した走りでトップをキープ、今季初優勝を獲得した。ホンダのHSV-010GTは参戦2戦目で初勝利となった。2位は38号車 ZENT CERUMO SC430、3位は1号車 PETRONAS TOM'S SC430、4位は日産勢で最上位となった12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが獲得した。最終順位は次のとおり。

1位:18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)
2位:38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)
3位:1号車 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)
4位:12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
5位:6号車 ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム)
6位:8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/井出有治)
7位:17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
8位:100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)
9位:35号車 MJ KRAFT SC430(石浦宏明/大嶋和也)
10位:39号車 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート/平手晃平)
11位:32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)
12位:24号車 HIS ADVAN KONDO GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/安田裕信)

トップでチェッカーを受ける18号車 ウイダー HSV-0102位は38号車 ZENT CERUMO SC430GT500クラスの表彰式
優勝した18号車 ウイダー HSV-010
2位となった38号車 ZENT CERUMO SC430
3位表彰台を獲得した1号車 PETRONAS TOM'S SC430

GT300クラスのスタート

GT300クラス
 スタート直後の1コーナーを制したのは、ポールポジションを獲得した86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(山西康司)、2位は46号車 アップスタート MOLA Z(横溝直輝)、3位は31号車 apr COROLLA Axio(松浦孝亮)と、各車とも予選順位をキープした。

 1周目のダブルヘアピンの1つ目でアクシデントは発生した。87号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(井入宏之)が5号車 マッハGOGOGO車検408R(玉中哲二)の左リアをヒット。スピンした5号車 マッハGOGOGO車検408Rを避けた11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(田中哲也)がコースアウトした。上位進出が期待された5号車 マッハGOGOGO車検408Rと11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430は、大きく順位を落とした。

トップをキープして1コーナーを立ち上がる86号車 JLOC ランボルギーニ RG-36位争いをする5号車 マッハGOGOGO車検408と7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7。この後5号車 マッハGOGOGO車検408はスピンし後退するアクシデントの影響で2周目には6位以下は差が広がった
6位に7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7、8位は3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zアクシデントで遅れた5号車 マッハGOGOGO車検408Rと11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F4302位以下を引き離す86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3

 トップの86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(山西康司)は、2位の46号車 アップスタート MOLA Zとの差を広げ、徐々に独走態勢を築いていった。後方で次々とオーバーテイクを見せたのは、前戦の鈴鹿で優勝した7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝)だ。

 予選11位からスタートした7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝)は1コーナーで7位までジャンプアップ。パイパーコーナーで5号車 マッハGOGOGO車検408Rを抜き6位まで順位を上げた。続いて5位を走る43号車 ARTA Garaiya(新田守男)をパス、14週目のアトウッドコーナーで19号車 ウェッズスポーツIS350(片岡龍也)に抜かれた31号車 apr COROLLA Axio(松浦孝亮)に並びかけ、バックストレートで4位に浮上した。

7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が43号車 ARTA Garaiyaに迫る43号車 ARTA Garaiyaを抜き19号車 ウェッズスポーツIS350の背後につく7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7
31号車 apr COROLLA Axioに迫る19号車 ウェッズスポーツIS350と7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 719号車 ウェッズスポーツIS350と7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が31号車 apr COROLLA Axioを抜いた

 7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7は、19号車 ウェッズスポーツIS350と10周以上のバトルとなったが、25周目の1コーナーでアウトに膨らんだ19号車 ウェッズスポーツIS350のインを抜け、3位にポジションアップ。さらに34周目のヘアピンで46号車 アップスタート MOLA Zをパスして2位に浮上した。

19号車 ウェッズスポーツIS350を攻め立てる7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 719号車 ウェッズスポーツIS350を抜いた7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7
各所でバトルが続くGT300クラス後方で33号車 HANKOOK PORSCHEは3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zを抜き順位を上げた
2位の46号車 アップスタート MOLA Zに迫る7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 746号車 アップスタート MOLA Zを抜き2位に上がった7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7
31号車 apr COROLLA Axioに迫る33号車 HANKOOK PORSCHEさらに後方では43号車 ARTA Garaiyaと3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zがバトルを続けた

 レースも中盤となり各車ピットイン、ドライバー交代を行った。トップを走っていた86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3は燃費が悪く、給油に時間がかかり1分近く停止してピットアウトした。7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7は45周でピットイン、いつも通りタイヤ無交換作戦、29秒の停止でピットアウトし事実上のトップでコースに戻った。

3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zに並びかける2号車 アップル・K-ONE・紫電7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7がタイヤ無交換でピットアウトすると、最終コーナーに46号車 アップスタート MOLA Zが現れた

 2号車 アップル・K-ONE・紫電と33号車 HANKOOK PORSCHEもタイヤ無交換で3位、4位に順位を上げた。全車ピットインが終了した時点の上位陣の順位は次のとおり。

1位:7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7
2位:46号車 アップスタート MOLA Z
3位:2号車 アップル・K-ONE・紫電
4位:33号車 HANKOOK PORSCHE
5位:3号車 HASEMI SPORT TOMICA Z
6位:43号車 ARTA Garaiya
7位:86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3
8位:31号車 apr COROLLA Axio

 このまま7号車 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7が逃げ切り開幕2連勝かと思われたが、55周目のパイパーコーナーでステアリング系のトラブルでコースアウト、無念のリタイアとなった。これで46号車 アップスタート MOLA Zがトップに浮上、2位に2号車 アップル・K-ONE・紫電となった。

 表彰台を狙う3位争いは5台の熾烈なバトルとなった。集団の頭をキープする33号車 HANKOOK PORSCHEを抜けなかった3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zだが、ダブルヘアピンの1つ目の進入でGT500クラスのマシンにラインを譲った33号車 HANKOOK PORSCHEのインを突き、3位に浮上した。

3位争いは5台の熾烈なバトルとなった3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zが集団から抜け出した

GT300クラスの表彰式

 46号車 アップスタート MOLA Zはトップをキープしたまま走り切り、今季初優勝。2位には手堅い走りで順位を上げた2号車 アップル・K-ONE・紫電、3位には集団から抜け出した3号車 HASEMI SPORT TOMICA Zが入った。人気チーム9号車 初音ミク X GSRポルシェ(番場琢/佐々木雅弘)は10位に入りドライバーズポイントを獲得、62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/佐々木孝太)は12位で完走した。上位陣の最終順位は次のとおり。

1位:46号車 アップスタート MOLA Z(横溝直輝/阿部翼)
2位:2号車 アップル・K-ONE・紫電(加藤寛規/濱口弘)
3位:3号車 HASEMI SPORT TOMICA Z(星野一樹/柳田真孝)
4位:86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(山西康司/関口雄飛)
5位:31号車 apr COROLLA Axio(嵯峨宏紀/松浦孝亮)
6位:43号車 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)
7位:11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430(田中哲也/平中克幸)
8位:33号車 HANKOOK PORSCHE(木下みつひろ/影山正美)
9位:74号車 COROLLA Axio apr GT(井口卓人/国本雄資)
10位:9号車 初音ミク X GSRポルシェ(番場琢/佐々木雅弘)
11位:27号車 NAC 衛生コム LMP Ferrari(山岸大/小泉洋史)
12位:62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/佐々木孝太)

チェッカーを受け今季初優勝を獲得した46号車 アップスタート MOLA Z2位に入った2号車 アップル・K-ONE・紫電3位は3号車 HASEMI SPORT TOMICA Z
優勝した46号車 アップスタート MOLA Z
2位に入った2号車 アップル・K-ONE・紫電
3位に入り表彰台を獲得した3号車 HASEMI SPORT TOMICA Z
10位でポイント獲得をした9号車 初音ミク X GSRポルシェ12位に終わった62号車 R&D SPORT LEGACY B4初参戦となった365号車 365 サンダーアジア MT900M(メルビン・チュー/ティム・サグダン)

 第2戦もSUPER GTは熱いバトルが展開された。次戦は5月1日、2日に富士スピードウェイで開催される。

(奥川浩彦)
2010年 4月 6日