フォーミュラ・ニッポン第1戦鈴鹿リポート【決勝編】
開幕戦を制したのは小暮卓史選手

開幕戦を制した32号車 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)

2010年4月18日開幕



2010年フォーミュラ・ニッポン参戦ドライバー

 4月18日、2010年フォーミュラ・ニッポンの開幕戦が、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催された。ポールポジションを獲得した32号車 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)がスタートで2位に落ちるが、ピット作業で逆転、そのまま逃げ切り優勝した。2位には19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(Mobil1 TEAM IMPUL)、3位には36号車 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)が入った。

 昨年はNAKAJIMA RACINGが他のチームを圧倒する強さを見せたフォーミュラ・ニッポンだが、シリーズチャンピオンのロイック・デュバル選手がDOCOMO TEAM DANDELION RACINGに移籍、オリベイラ選手がMobil1 TEAM IMPULから参戦するなど、勢力図に変化がありそうだ。

 予選トップは32号車 小暮選手(NAKAJIMA RACING)が獲得し、2位のタイムを出した8号車 石浦宏明選手(Team LeMans)はスキッドブロック厚さの車両規定違反でピットスタートとなった。繰り上がった2番グリッドには19号車 オリベイラ選手(Mobil1 TEAM IMPUL)、3番グリッドは36号車 ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)というチャンピオン争いをしそうな顔ぶれが並んだ。

 スタートで好ダッシュを見せたのは19号車 オリベイラ選手(Mobil1 TEAM IMPUL)で、32号車 小暮選手(NAKAJIMA RACING)を抜いてトップに立った。ロケットスタートを得意とする36号車 ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)だが、2号車 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に抜かれ4位に落ちた。

スタートダッシュでトップに立ったオリベイラ選手S字で2位以下を引き離しにかかるオリベイラ選手

 1周目の1つ目のS字で7号車 ケイ・コッツォリーノ選手(Team LeMans)がスピン、18号車 平中克幸選手(KCMG)と接触し、2台ともピットに戻ったがリタイアとなった。

 序盤にトップに立った19号車 オリベイラ選手が、32号車 小暮選手を徐々に引き離す展開となった。3位に付けた2号車 伊沢選手のペースは上がらず、36号車 ロッテラー選手以下が封じ込められる形となった。

1周目のS字でスピン、コースアウトしたコッツォリーノ選手2号車 伊沢選手が36号車 ロッテラー選手を抑える

 1周目の順位は次のとおり。

1位:19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(Mobil1 TEAM IMPUL)
2位:32号車 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)
3位:2号車 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
4位:36号車 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TEAM TOM'S)
5位:10号車 塚越広大選手(HFDP RACING)
6位:1号車 ロイック・デュバル選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
7位:16号車 井出有治選手(MOTUL TEAM 無限)
8位:31号車 山本尚貴選手(NAKAJIMA RACING)
9位:20号車 平手晃平選手(Mobil1 TEAM IMPUL)

 予選で好タイムを出しながらピットスタートなった8号車 石浦選手は、後方集団に追いついたところでバトルを避けピットイン、タイヤ交換を行いロングスティントで上位進出を狙うが、ペースが上がらず最後まで後方に沈んでしまった。

 後方から着実に順位を上げたのが20号車 平手晃平選手(Mobil1 TEAM IMPUL)だ。5周目に入るストレートで31号車 山本尚貴選手(NAKAJIMA RACING)、12周目のストレートで18号車 平中選手(KCMG)に並びかけS字の進入で抜き、順位を上げた。

31号車 山本選手に迫る20号車 平手選手16号車 井出選手に迫る平手選手
ピットアウトしトップに立った32号車小暮選手

 2号車 伊沢選手を抜きあぐねていた36号車 ロッテラー選手は、13周を終えたところで早めのピットイン、翌周に2号車 伊沢選手もピットインし36号車 ロッテラー選手の前でコースに戻った。ピット戦略で逆転できなかったた36号車 ロッテラー選手だが、2号車 伊沢選手の背後にピッタリと付け、スプーンの飛び込みでインに入り抜く。

 ピットインを遅らせたのは、19号車 オリベイラ選手と32号車 小暮選手のトップ2台と、快調に飛ばす20号車 平手選手だ。平手選手は25周終了時点で3位まで順位を上げていた。

 26周が終了し、ついにトップを走る19号車 オリベイラ選手がピットイン。リアタイヤのみ交換で、14.1秒ストップでピットアウトする。翌周、32号車 小暮選手もピットイン、同じくリアタイヤ交換で9.8秒ストップでピットアウト、19号車 オリベイラ選手の前でコースに復帰、ついにトップに立った。

 最後にピットインした20号車 平手選手は、5位を走る1号車 デュバル選手の後ろでコースに戻った。平手選手の快進撃は続いた。残り6周、バックストレートでデュバル選手をオーバーテイクし5位、さらに残り2周、逆バンクからダンロップへの上りで2号車 伊沢選手のインに飛び込み4位に浮上した。ルーキーの31号車 山本尚貴選手(NAKAJIMA RACING)は1号車 デュバル選手の背後まで迫り、抜くまでには至らなかったが、今後の活躍が期待される走りを見せた。

2号車 伊沢選手の背後に迫る平手選手残り2周で伊沢選手を抜き、引き離してラストラップを走る平手選手31号車 ルーキー山本選手は1号車 デュバル選手に迫るがこのままチェッカー

 トップ争いは32号車 小暮選手が19号車 オリベイラ選手との攻防を制しトップでチェッカーを受けた。3位には後半に好タイムを連発し、すぐ後方まで迫った36号車 ロッテラー選手が入り、表彰台を獲得した。

 最終順位は次のとおり。

1位:32号車 小暮卓史(NAKAJIMA RACING HONDA HR10E)
2位:19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Mobil1 TEAM IMPUL TOYOTA RV8K)
3位:36号車 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S TOYOTA RV8K)
4位:20号車 平手晃平(Mobil1 TEAM IMPUL TOYOTA RV8K)
5位:2号車 伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING HONDA HR10E)
6位:1号車 ロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING HONDA HR10E)
7位:31号車 山本尚貴(NAKAJIMA RACING HONDA HR10E)
8位:10号車 塚越広大(HFDP RACING HONDA HR10E)
9位:16号車 井出有治(MOTUL TEAM 無限 HONDA HR10E)
10位:8号車 石浦宏明(Team LeMans TOYOTA RV8K)
11位:29号車 井口卓人(DELIZIEFOLLIE CERUMO・INGING TOYOTA RV8K)
12位:37号車 大嶋和也(PETRONAS TEAM TOM'S TOYOTA RV8K)

優勝しウィニングラップを走る小暮選手表彰式の3選手表彰式は観客もピットに入って祝福

 32号車 小暮選手(NAKAJIMA RACING HONDA HR10E)が昨年からの速さを見せたが、Mobil1 TEAM IMPULの19号車 オリベイラ選手、20号車 平手選手の2台、PETRONAS TEAM TOM'Sの36号車 ロッテラー選手も速さを見せ、今シーズンは混戦になりそうな予感がするレースだった。

 第2戦はツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で5月22日、23日に開催される。

優勝した32号車 小暮選手
2位は19号車 オリベイラ選手
3位は36号車 ロッテラー選手

全日本ロードレース選手権、JSB1000クラスは秋吉選手が優勝
 フォーミュラ・ニッポンと同時開催された全日本ロードレース選手権、JSB1000クラスはスタートから飛び出した64号車 秋吉耕佑選手、634号車 高橋巧選手、1号車 中須賀克行選手の3選手が最終ラップまで壮絶な争いを展開した。

スタートで飛び出した64号車 秋吉耕佑選手終始3台の壮絶なバトルが続いた

 最終ラップには1号車 中須賀選手がトップで突入するが、ダンロップで634号車 高橋選手がトップに浮上、デグナーで中須賀選手が抜き返しトップに戻る。スプーンで再び高橋巧選手がトップに、130Rで64号車 秋吉選手が中須賀選手を抜き2位浮上、さらに最終のシケインで高橋選手も抜きトップに立った。

 そのまま3台が最終コーナーを駆け下り横一線でゴールラインを通過。1位は64号車 秋吉選手、0.074秒差で634号車 高橋巧選手が2位、1号車 中須賀克行選手は0.067秒差の3位となった。

優勝した64号車 秋吉耕佑選手ウィニングラップを走る秋吉選手表彰式に立つ3選手

MotoGP 世界選手権シリーズ第2戦 日本グランプリが噴火の影響で延期に
 鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎを運営するモビリティランドは、今週末、4月23~25日にツインリンクもてぎで開催予定の「2010 MotoGP 世界選手権シリーズ第2戦 日本グランプリ」を延期することを発表した。アイスランドの火山噴火による航空機欠航の影響で、参戦予定のライダーやチーム関係者が来日できないことから、10月1日~3日に延期される。購入しているチケットは、そのまま使用できる。払い戻しに関しては、4月26日よりツインリンクもてぎホームページで案内される。

(奥川浩彦)
2010年 4月 20日