パイオニア、「カロッツェリアロードショー2010」を開催
ハイエンドカーオーディオの新製品を展示

カロッツェリアロードショー2010

2010年5月23日開催
日本科学未来館



 パイオニアは5月23日、東京都江東区の日本科学未来館において、ハイエンドカーオーディオイベント&セミナー「カロッツェリアロードショー2010」を開催した。同社のカーオーディオブランド「カロッツェリア」のハイエンド機種の新製品を披露するイベント。今週から毎週日曜ごとに全国6カ所で開催され、今回は関東エリアとして開催された。

「カロッツェリアX」の新製品を展示
 このイベントでは、パイオニアのカーオーディオの最高級シリーズとなる「カロッツェリアX」の新製品が披露された。iPodやUSBメモリーを接続してデジタル音源を光出力するデジタルトランスポート「CD-7X」、デジタルプロセッサー「RS-P99X」、4チャンネルパワーアンプの「RS-A99X」。

 スピーカーは4機種で、セパレートタイプの17cm2ウェイ「TS-Z172PRS」と13cm2ウェイの「TS-Z132PRS」、6.6cmミッドレンジ「TS-S062PRS」、サブウーファー「TS-W252PRS」。いずれも6月下旬の発売を予定している。

 展示会場では、内部の様子が分かるようにパーツが並べられ、内部の高品質なパーツを来場者が間近で確認できた。今回、磁性体を変更して高音質化とともに軽量化も実現したというスピーカーは、個々の細かいパーツまでバラバラに展示され、軽量化具合やコーンの動きなども確認できるようになっていた。

 また、スピーカーは、新旧システムを同時に並べ、時間を区切って聞き比べができるコーナーも用意された。

 ハイエンド向けに初めて投入されたデジタルトランスポート「CD-7X」は、光デジタル出力をヘッドホンアンプアンプ経由でヘッドホンに接続、操作系はハイエンドヘッドユニットの「RS-D7XIII」と接続され、音質を確認できるともに、ヘッドユニットの操作性と曲名の日本語表示などを体験できるようになっていた。

 そのほか、同社が開発したHVT方式のスピーカーもデモンストレーションが行われた。HVT方式とはボイスコイルによる水平方向の動きを、リンクを用いて垂直方向にコーンを動かす方式。薄型にできることが特徴で、カーオーディオ用では1機種が市販されているが、今後はホームオーディオにも応用すべく開発を進めているという。

 HVT方式の特徴は薄型というほかに、両面駆動のスピーカーを作ることもメリット。両面のコーンが反対方向に動くことにより振動を打ち消し合い、音質を犠牲にせず低振動のスピーカーを実現し、振動による音漏れが気になりがちなホームオーディオに効果を発揮することが期待されている。会場では試作品のスピーカーを実際に鳴らし、その音質を体感し、低振動についても確かめることができた。

展示コーナーでは、スピーカーの新旧比較試聴が行われたデジタルトランスポート「CD-7X」のデモでは、メインユニットで制御し、光デジタル出力をヘッドホンアンプに接続、ヘッドホンで試聴できた
デジタルプロセッサー「RS-P99X」、パワーアンプ「RS-A99X」「RS-P99X」の内部。振動を排したアルミ押出シャーシと小型化された4層基板「RS-A99X」はL/R間は独立レイアウト。左側は信号回路で右側が電源回路となる
新製品のスピーカーラインナップスピーカーのパーツ一覧
パワーアンプとスピーカーの既存ラインナップ上級クラスのメインユニットや、ライン装着オーディオが取り外せないクルマ向けのマスターユニット「AXM-P01」も展示された
HVT方式のスピーカーのデモ。後方のガラスにも薄型のスピーカーが張り付けられ、豊かな低音を響かせていたHVT方式の原理もパネルを使って解説された

新製品などをインストールした4台のデモカーが登場
 屋外の展示スペースには、新製品をインストールしたデモカーが並べられ、来場者の試聴に対応した。

プジョー407はメインユニットに「RS-D7XIII」、デジタルトランスポート「CD-7X」、デジタルプロセッサー「RS-P99X」、パワーアンプ「RS-A99X」を2台使い、RSIIシリーズのスピーカーを4ウェイとした組み合わせ
フォルクスワーゲンパサートは新製品のPRSシリーズをスピーカーとし、17cm2ウェイにプラスしてミッドレンジとサブウーファーを組み合わせたもの。メインユニット「RS-D7XIII」とインテグレーテッドアンプ「RS-A9X」とパワーアンプ「RS-A7X」の組み合わせ
アルファロメオ147はPRSスピーカーとミドルクラスのパワーアンプを組み合わせた。スピーカーは17cm2ウェイ「TS-Z172PRS」だが、マルチアンプ駆動とせず付属のクロスオーバーネットワークを使い、アナログアンプの「PRS-A900」を2チャンネル駆動とした。メインユニットは「RS-D7XIII」
アウディTTはヘッドユニットに「DEH-P01」、内蔵の6チャンネルアンプで17cm2ウェイ「TS-Z172PRS」と6.6cmミッドレンジ「TS-S062PRS」をマルチアンプで駆動、モノラルパワーアンプ「PRS-D8100」でサブウーファー「TS-W252PRS」を駆動するシステム。映像再生用にモニターの「AVX-P90DV」も搭載している

 いずれのデモカーも試聴が可能。車内はあらかじめ複数のCDが用意されたが、来場者の持ち込みCDの再生にも対応した。

新製品を聴き比べる「音楽を愉しもうセミナー」
 イベントでは、評論家の長谷川教通氏による「音楽を愉しもうセミナー」も実施され、長谷川氏の解説のもと、新旧製品の聴き比べなどが行われた。

 試聴では、ボーカルやバイオリン、フルート、パイプオルガンなどの楽曲を使い、音の違いを解説、長谷川氏は新製品のスピーカー、PRSシリーズについて「磁気回路が新しくなり、取り付け性能が良くなり、振動系から見直して、とても解像度が上がっている。」と解説した。

 デジタルトランスポート「CD-7X」の登場について「こういう製品を作ってほしかった。安易に作られたのではなく、しっかり作りこんで、情報量をきちんと出してくれる」と評価、iPodをはじめメモリーオーディオを自らのオーディオライフに取り込むために重要な製品であるとした。

 また、新製品のデジタルプロセッサー「RS-P99X」、パワーアンプ「RS-A99X」については既存のハイエンド製品との比較試聴を行い「旧システムもものすごく良い音」と前置きした上で新製品は「高い音の分解能が違い、低い音が正確に出ている」とし、製品の進化に「改善するところってあるんだよなあ、とあらためて思う」と感想を述べた。

カロッツェリアの新製品を解説する評論家の長谷川教通氏セミナーには熱心なカーオーディオ愛好家が押し寄せた左が新しいPRSシリーズ、右が既存のRSIIシリーズ。いずれもサブウーファーを含む4ウェイ構成
試聴に使われたメインユニットは「RS-D7XIII」で、さまざまなCDが演奏されたデジタルプロセッサー「RS-P99X」4ウェイなのでパワーアンプ「RS-A99X」が2台使われた

6月27日まで、日曜ごとに各地でイベント
 “ロードショー”というイベント名のとおり、今後各地を巡回する。次週の30日は中部エリア、その後は西日本エリア、東北エリア、九州エリア、北海道エリアと巡回する。新製品やデモカーの展示、長谷川氏による「音楽を愉(たの)しもうセミナー」も各地で開催される。

(正田拓也)
2010年 5月 24日