出光、SSにおけるEV充電サービス実証事業の結果を公表
採算性に1659万円のギャップ

2010年5月26日発表



 出光興産は5月26日、「平成21年度電気自動車普及環境整備実証事業」(ガソリンスタンド等における充電サービス実証事業)の結果を、資源エネルギー庁に報告した。

 充電サービス実証事業は、資源エネルギー庁が公募したもので、2009年8月に採択され、2009年10月27日~3月20日の期間に実施。急速充電器を1SS(サービスステーション)、普通充電器を4SSに設置するEV(電気自動車)の充電事業のほか、ETCシステムを活用した充電サービスの認証・課金、グリーン電力証書を発行するビジネスモデルの実現性などを検証した。

 今回発表された内容は充電サービス実証事業の結論と課題で、「インフラ(設備:IT)の実現性」「消費者の受容性」「SS事業者の受容性」「経済性」の4項目を挙げる。

 インフラの実現性では、消防法の規制に配慮すれば概ね問題なくインフラの設置、正常な稼働が可能で、課題は消防法の基準に対する各市町村の消防の理解や、認識の向上としている。

 消費者の受容性では、充電サービスの認証/課金/決済にETCシステムを使用したことが利用者に高く評価されたほか、利用者がカーボンオフセットに少額から参加できる「グリーン電力証書」の発行、グリーン電力証書付のEVレンタカーサービスへのユーザーニーズが高いことが分かった。今後の課題は「EVレンタカーの車両稼動率の安定的な確保に向けた施策策定」「グリーン電力証書を付加した商品・サービスの販売等を通じた、グリーン電力証書の認知度向上」としている。

 SS事業者の受容性では、SS事業者に大きな業務負担はなく、現状の人員で運用可能としながらも、システム導入費用の軽減を課題とした。

 経済性では、1店舗あたりの初期費用が3420万円だったのに対し、期待収益は1761万円と、採算性に1659万円のギャップがあると試算。そのため、各種支援制度の活用などで初期投資費用を軽減するとともに、消費者に訴求するサービスメニューの開発が必要だとしている。

 今後の取り組みとして、神奈川県内の4SSでEV充電サービスの実験を行うとともに、関東圏内のSSに急速充電器をさらに設置し、電気自動車に対応したSS事業モデルを構築していくとしている。

(編集部:小林 隆)
2010年 5月 26日