メルセデス・ベンツ、「SLS AMG」を国内初公開

SLS AMGとメルセデス・ベンツ日本のニコラス・スピークス社長

2010年6月10日発表
価格:2430万円



 メルセデス・ベンツ日本は6月10日、都内でメルセデス・ベンツ SLS AMGの発表会を開催した。同社のニコラス・スピークス社長が「SLS AMG」のガルウイングのドアを開けて登場、SLS AMGの実車を国内で初公開した。価格は2430万円。カタログモデルだが、受注生産となる。今年度は150台程度の販売を見込む。

 「SLS AMG Premiere」と題された今回の発表会では、メルセデスAMGから担当者が来日、SLS AMGの説明のほか、SLS AMGをガラスケースに入れ、iPadやiPhoneのアプリケーションから操作できる「SLS AMGショーケース」の実演などが行われた。

ガルウイングドアが第一の特徴
 発表会の登壇者が口を揃えるSLS AMGの第一の特徴はガルウイングドア。SLS AMGのカタログなどにはアイコンとして両翼を広げたガルウイングドアのイメージが描かれている。

 ガルウイングドアは70度まで開き、左右それぞれのドアには2本のガスダンパーを装備、大きな力を必要とせずにエレガントにドアを上昇させることができる。開いたドアの下端部は地面から150cmの高さとなり、サイドシルの上部とドア下端部までの開口部は上下に108cmとなる。

 乗車にあたってはサイドシルよりも足を高く上げる必要があり、その高さは45cmとしている。シートの座面は路面から369mmなので、シート位置はサイドシルよりも低くなる。ドアを閉める際は、ドアの内側の取っ手を持って引き下げる必要があるが、シートに腰を落とした状態では手が届かず、少し上体を乗り出してドアを閉める必要がある。

 外側のドアハンドルは、ロックが開錠された状態では飛び出しているが、施錠された状態ではフラットになるほか、走行を開始して時速15kmに達してもフラットになる。

 なお、駐車などの際、ガルウイングドアの開閉に必要なスペースは横方向に36.3mmあれば良く、一般的なクーペよりも少ないスペースで完全に開くことができると言う。

 ガルウイングドア以外の特徴では、ロングノーズ、ショートデッキの古典的なボディラインでフロントウインドウの傾斜も強くない。リアは短いテールエンドとし、電動で持ち上がるリトラクタブルスポイラーを内蔵している。

 ガルウイング同様、1954年発表のメルセデス・ベンツ 300SLのデザインアイコンを現代解釈したというもので、サイドのベンチレーショングリルなども300SLのスタイリングを踏襲したものとなる。

ドアを閉じた状態ではロングノーズ&ショートデッキの典型的なスポーツクーペのスタイリング
低く位置し、大型のスリーポインテッドスターのあるフロントグリルテールライトはLEDタイプヘッドライトはキセノンだが、スモールライトは白いLEDが点灯
ボンネットにあるベンチレーショングリル前後に長いフロントフェンダーにもグリルがあるミラーにはターンシグナルがある
ガルウイングを開いたSLS AMGガルウイングを閉じた状態
ガルウイングの開口部は上部におよび、約70度開くガスダンパー2本で支えるドアの内側は通常のドアと特に変わりはない
ロックをしていないとドアハンドルが出っ張るサイドシルはボディの構造上高くなっている。乗り降りの際、足を上げる高さは45cmと説明
ドアを閉めれば内側にはドアハンドルやパワーウインドウのスイッチが並び、通常のドアとはドアポケットがない程度しか差はないガルウイングドア、トランク、ボンネットを開いたところ
リアスポイラーは電動でせり出すテールライトはLEDで点灯するバンパーとフラット化されたマフラーエンド
オプションのアルカンタラを使ったAMGパフォーマンスステアリング通常のステアリングホイール変速レバーの左側に走行モード選択やエンジンスタートボタンなどが並ぶ
カーナビやCOMANDシステムの液晶画面はダッシュボードセンターとなるメーターはアナログ式。センターの画面の上にあるLEDはマニュアルシフト時に変速タイミングを知らせる。展示用のため警告表示が出ているミラーは自動防眩惑式
内装カラーは「ブラック」内装カラーは「サンド」内装カラーは「クラシックレッド/ブラック」にカーボンパッケージを装着
フロントミッドシップでマウントされるV型8気筒6.3リッターエンジン標準の7スポークアルミホイール。フロントは19インチ、リアは20インチとなる
AMGパフォーマンスパッケージを装着、ブレーキはAMGカーボンセラミックブレーキとなり、ホイールはAMG10スポークアルミホイールとなる

開発目標は「卓越したパフォーマンスとハンドリング供」
 発表会では、メルセデスAMGのマーケットマネージメントマネージャーであるミハエル・リープケン氏が来日、SLS AMGの開発経緯などを語った。

 リープケン氏は「開発にあたっては、本当に特別なクルマを作りたいと思った。お客様が何年も求めてきたパフォーマンス・ブランドの理想を体現できるような完ぺきなクルマを作りたいと思った」と当初の意気込みを思い起こした。

 「開発の当初からはっきりしていたことは方向性。メルセデス・ベンツAMGからスーパースポーツカーを出すのであれば、卓越したパフォーマンスとハンドリングを提供したいというものだった」と述べ、結果生まれたSLS AMGは「最先端のスポーツカーで最高レベルのもの」と評価した。

 また、SLS AMGはメルセデス・ベンツ車をベースにしたものではなく「設計は全くイチから新しく行った。白紙にスケッチというところから設計を開始し、一切妥協はしていない」とAMGの独自設計であることを強調した。

 発表会では、メルセデス・ベンツ日本のニコラス・スピークス社長がSLS AMGについて「最もピュアな形でドライブの魅力を味わっていただけるクルマ」と紹介、上野金太郎副社長は「圧倒的な動力性能を発揮しながらも、燃費は1リッターあたり7.6km(NEDC総合燃費・欧州仕様車)とスーパースポーツではトップレベルの燃焼効率を達成している。排出ガス基準については、EU5、LEV2、ULEVに適合し、高い環境性能を備えている」と環境性能についてもアピールした。

発表会で登壇したのは左から、同社副社長の上野金太郎氏、社長のニコラス・スピークス氏、メルセデスAMGのミハエル・リープケン氏SLS AMGに搭載するデュアルクラッチの7速トランスミッション「スピードシフト」は自社開発SLS AMGのスケッチ
白紙からスケッチして設計したと言う第一の特徴、ガルウイングドアトランスアクスルレイアウトを採用、前後の重量配分は47:53
トランスミッションはリアアクスル上にあるエンジンからトランスミッションまでのシャフトはカーボン製で、アルミ製のトルクチューブで覆われるオールアルミボディは241kgだと言う
価格は2430万円

全国で「SLS AMG Premiere」イベントやiPadによるショーケースも
 発売を受けて、メルセデス・ベンツ日本では、6月11日からは各地で実車の展示会「SLS AMG Premiere」を実施する。会場は「AMGパフォーマンスセンター」の称号を持つ特に選ばれたメルセデス・ベンツ取扱店など19箇所。その後、実際にSLS AMGが納車できるようになる10月ごろに試乗イベントも予定していると言う。

 さらに、SLS AMGの実車をガラスケースに入れて展示する「SLS AMGショーケース」の開催も予定、その場合は付近に設置するiPadやiPhoneのアプリケーションからカメラを操作してSLS AMGの細部を確認できるようにするという。

 そのほか、ネット上でのプロモーションとして、iPadやiPhone、iPod touchでSLS AMGを体感できるアプリの提供を行う。アプリの「SLS AMG JP」は日本語版として提供され、コンセプトムービーやTVCMをはじめSLS AMGのスペックなどの確認や最新情報の表示が可能。「SLS AMGショーケース」のイベント会場ではこのアプリをインストールしたiPadなどを持っていれば、無線LANを介してガラスケース内のカメラの操作が可能となる。

ガラスのケースに実物のSLS AMGを入れて展示する「SLS AMGショーケース」iPadやiPhoneでケース内の4つのカメラを操作して内部を見ることができる
AMGパフォーマンスセンターにおけるSLS AMGの展示イメージ
「SLS AMG Premiere」イベントのスケジュール。19箇所を予定

(正田拓也)
2010年 6月 11日