【ラリージャパン2010】ラリージャパン直後のフェリー船内で、新井選手のトークショーを開催

ラリー初日に行われた札幌ドームでのSS1を走る新井選手

2010年9月13日開催



 セバスチャン・オジェ選手の優勝で幕を閉じた2010年のラリージャパン。その翌日となる9月13日、苫小牧と大洗を結ぶ商船三井フェリー船内で、新井敏弘選手によるトークショーが開催された。同イベントは2008年のラリージャパン、2009年のラリー北海道に続いて3回目となる。

 PWRCに参戦する新井選手は初日のステージ1&2を終えた時点で総合15位、クラストップと最高のスタートを切ったが、翌日、2つ目のスペシャルステージとなるSS4のゴール直前でクラッシュ。マシンが修復不能となったため、リタイアとなってしまった。その激しいクラッシュの様子は、WRCのオフィシャルサイトで見ることが可能だ。

 レースは残念な結果となってしまったが同イベントでは本人からナマの声が聞けるとあって、「このイベントのためにフェリーに乗った」という熱心なファンなど約70名が出席した。

トークショーはラリージャパン翌日、苫小牧から大洗へと向かう大型カーフェリー「さんふらわあ」船内で行われたフェリーターミナルで積み込みを待つラリー車一般車と同じように乗船を待つ車両も

 イベント会場に現れた新井選手は開口一番「どうもすみませんでした」と挨拶、元気な姿を見せるとともに会場内の緊張を和らげ、レースの様子を語った。

 今回のラリージャパンから新車となるSPEC-Cを投入。お盆前には完成し、前戦ドイツ終了後には北海道入りするという、万全の体制で初日を迎えた。

 9月9日に札幌ドームで行われたSS1では、PWRC勢トップとなるタイムをマーク。だが、実はジャンプ後にサイドブレーキが壊れていたという裏話などを披露。

 翌日のSS3は、約27kmのグラベルコース。新井選手はペースを抑えたものの、そこでもトップタイムをマーク。2位のフローディン選手に対して12秒5、3位のパッドン選手に対しては41秒2と大きく引き離した。

 そして迎えたSS4。このコースは前回のラリージャパンでも使用されたステージだが、新井選手がクラッシュした場所は、マニュファクチャラーズから危険だとの抗議があり、コースが短縮されたという曰く付きのポイント。実は今年も抗議があったが、そのまま使用されることになったという。

 現場はゴール直前ながらギャップが4~5つ連続する、ウォッシュボードを大きくしたような状況。モトクロスによくある3連ジャンプのような難しい場所となっているため、クリアするためにはアクセルを踏んでギャップを飛ばしていくか、スピードを落として1つずつ乗り越えていくかの選択になる。

 だが、今回は若干ペースを抑え気味にしていたのが災いし、最初のジャンプで着地した場所が、次のギャップの谷部分となってしまった。グラベルの場合、こういった形状だと谷部分は水はけが悪いなどの理由で、どうしても路面状況が悪くなり、クルマの姿勢が安定しない。そこで運悪く斜めにジャンプしてしまい、さらにちょうど道幅が狭くなっている部分だったため、木に当たってしまった、というのが真相だという。

 次戦はステージをヨーロッパへと移してフランスでの戦いとなるが「ドイツと同じターマックラリーで、路面も似た状況。セッティングが出ているから、もう少し楽に戦える」とコメント。9月30日から開催されるラリー・フランスでの活躍を約束した。

 そのほか1日目、2日目とトップを走っていたペター・ソルベルグ選手から、相談を受けたエピソードなども披露。このような話を聞けるのもこういったイベントならでは。来年のラリー北海道などの後も同様のイベントを計画しているそうなので、興味がある向きは新井選手のオフィシャルサイトなどをチェックしておくとよいだろう。

会場となったレストランはファンで埋まった大きなクラッシュだったが元気な姿でファンの前に登場。ディープなトークでファンを楽しませたSS1ではPWRC勢トップのタイムをマークしたが実はサイドブレーキが壊れていたというエピソードなどを披露
トークショー終了後はサインや記念撮影などのファンサービスも翌日はブリッジを訪れ船長の斉藤氏と談笑。操船の難しさや構造など、クルマと共通する部分が多いだけに話が弾んでいた

(安田 剛)
2010年 9月 16日