世界最速のレーシングカーで楽しめる、PS3用ソフト「GT5」最新情報
レッドブルレーシングとコラボレーション

グランツーリスモシリーズのプロデューサー山内一典氏

2010年9月16日開催



 ソニー・コンピュータエンタテイメントジャパンが11月3日に発売するプレイステーション3(PS3)用ソフトウェア「グランツーリスモ5(GT5)」。シリーズ累計での出荷本数が5000万本を超え、カーレースを題材とした作品として世界トップレベルの人気を誇っている。

 このGTシリーズの魅力は、単なるレースゲームではなく、クルマを所有することや、そのチューニング、愛車との記念写真など、クルマとの生活を主眼に置いていることにあるだろう。

 最新作であるGT5の情報は、5月に米ロサンジェルスで開催された「E3」、8月に独ケルンで開催された「gamescom」で徐々に公開されており、僚誌「GAME Watch」でお届けしているとおり。幕張メッセで9月16日~19日まで開催されている国内最大のゲームイベント「東京ゲームショウ 2010」において、その追加最新情報のプレゼンテーションが行われたので、ここにお届けする。

キューベルワーゲンやシュビムワーゲンなどを追加
 プレゼンテーションを行ったのは、GTシリーズの開発元ポリフォニー・デジタルの代表取締役であり、GTシリーズのプロデューサーでもある山内一典氏。山内氏は「E3、gamescomとかなりの量の発表を行ってきたが、この東京ゲームショウでもたくさんのことを発表します」と切り出した。

 「GT5というのはアポロ計画のような複雑なプロジェクトであり、非常に規模の大きなプロジェクトです。でも、打ち上げ(発売)は間近です」と言い、その完成が近いことを強調。最初に紹介されたのは、GT5に収録される新コースで、米カリフォルニアにある「ラグナ・セカ」、GTシリーズでおなじみの「トライアルマウンテン」をPS3クオリティで収録すると言う。また、夜のコースとしてル・マン24時間レースで使われる「サルト・サーキット」も収録。「もし、ル・マンに行ったことがあるのなら、ほぼそっくりなことに気づくはずです」と、その仕上がりに自信を見せた。

PS3クオリティになったラグナ・セカ
夜景が美しいサルト・サーキッ
GTファンにはおなじみのトライアルマウンテンもPS3クオリティに

 収録車種については、すでに1000台以上を収録することを発表しており、これまでに「フォード Mark IV レースカー」「フェラーリ 330 P4 レースカー」「ランボルギーニ ミウラ P400 ベルトーネ プロトタイプ」などが発表されている。今回新たに発表されたのは「キューベルワーゲン」「シュビムワーゲン」「フォルクスワーゲン サンババス」「いすゞ 4200R」「GT by シトロエン レースカー」の5台。

 キューベルワーゲンは、第2次世界大戦中にドイツ軍が使用した軍用車両で、設計はフェルディナント・ポルシェ博士。初代ビートル(フォルクスワーゲン Type1)と同様の構造が採られているクルマで、駆動方式はもちろん2WDのRR。シュビムワーゲンもポルシェ氏が設計し、初代ビートルと同様の構造となっている軍用車両だが、こちらは後部にスクリューユニットを装備するなど水陸両用車両になっているのが大きな特徴。

 となるとGT5では、水面を走るクルマのシミュレーションも可能になったのかと期待してしまうところだが、「道路から池の中にボチャンと落っこちたいところですが、残念ながらGT5のローンチでは、そこまで実現できていません」と、今後の進化に含みが持たされているものの、発売当初はシュビムワーゲンの水上走行を楽しむことはできない。

キューベルワーゲン。非常に高い汎用性を持ち、各種の戦場で活躍した
シュビムワーゲン。後部のスクリューユニットが特徴の水陸両用車

 サンババスについては「ヒッピームーブメントの代表」、1989年の東京モーターショーにいすゞ自動車が展示した4200Rについては「今の自動車業界を代表するカーデザイナー達が結集して作られたクルマ」と紹介。この4200Rのデザインは、当時いすゞ社員だった日産自動車のCOO(チーフクリエイティブオフィサー)中村史郎氏が手がけている。

サンババス
いすゞ 4200R。1989年の東京モーターショー出展の、ミッドシップスポーツコンセプトカー。20年以上前のコンセプトカーとは思えないほど

 GT by シトロエン レースカーについては「大事な1台」と紹介。このクルマはシトロエンとポリフォニー・デジタルのコラボレーションコンセプトカー「GT by シトロエン」のレーシングバージョン。GT by シトロエンは、GT5プロローグで楽しめ、その実車が2008年のパリモーターショーで展示されたことから大きな話題となった。今年もパリモーターショーが近づいていることから、このレーシングバージョンについての展示を期待したいところだ。

GT by シトロエン レースカー。ロードバージョンでは、パリショーで実車が登場したが、このレーシングバージョンも実車が登場するのだろうか

Webブラウザーで楽しめるGT5
 コミュニティ機能の中心となるのはマイホームという場所だと言う。これは各プレイヤーが1つずつ持っており、「このマイホームには、およそ考え考え得るオンライン上のすべての機能を詰め込んでいる」と語る。メッセージボード、プレイのログ、Eメール、オンライン上での同時プレイ、フォトアルバム、コースメーカーで作成したコースをシェアするコースアルバムなどで、PS3のネットワーク機能を活かして、世界中のプレイヤーとやり取りができる。

 このマイホーム機能を一通り紹介した後、山内氏は「さらに、もう一歩深いところに入っていきます。それは“Granturismo Anywhere”というキーワードです」と切り出した。これまで説明したコミュニティ機能は、高機能なオンラインゲームなら持っているとし、このマイホーム機能をWebブラウザーで見られるようになっているのだと言う。

 このWebブラウザーで見られるマイホームは、“gran-turismo.com”内にあり、ユーザーが持つPSN ID(PlayStation Network ID)でログインできる。ログインすると、マイホームの情報がWebブラウザーから参照でき、ほとんどのことコミュニケーション機能がWebブラウザーから使えると言う。

マイホーム画面。このマイホーム画面から、レースやコミュニケーションなどさまざまなことができる。Webブラウザーからアクセスできるようになったのは、大きな変化

 GT5には、ドライバーとなってレースを行う「Aスペック」モードと、監督になってレースを行う「Bスペック」モードが用意されているが、このWebブラザーのマイホームから、ほかのプレイヤーと一緒にBスペックモードが遊べる。Webブラウザーが利用でき、インターネットに接続できる環境があれば、いつでもどこでもGT5が楽しめるようになるというわけだ。

 ただ、ゲームエンジンはPS3本体を利用する必要があり、BスペックをモードをWebブラウザーから利用するためには、自宅にあるPS3でGT5を起動しておく必要がある。また、PS3でBスペックを楽しむ場合は、リプレイ表示と同様の外部視点での3D表示を楽しめるが、Webブラウザーの場合は「F1の公式サイトで提供されているラップタイムだけのLive Timing(ライブタイミング)と同様な感じになる」と言う。また、このWebブラウザーで利用可能なマイホームは、Javaで書かれており、Flashは使われていない。つまりJavaを実行できるスマートフォンであれば、いつでもBスペックモードでレースを行え、GTシリーズのゲーム内資金であるクレジットを稼ぎやすくなった。山内氏はこれを「GT5では、ブラウザーゲームとコンソールゲームのブリッジを始めて行おうとしている」と表現した。

スペシャルイベント。今回はグランツーリスモラリーを紹介。スティグとの対決など、魅力的なイベントが用意されている

 そのほか、GT5ではスペシャルイベントが用意されている。カートで遊んだり、メルセデス・ベンツAMGのドライビングスクールで学んだり、トップギアの謎のドライバー「スティグ」に挑戦したり、などなど。山内氏は、このスペシャルイベントの中から、「グランツーリスモラリー」をピックアップして紹介した。

 グランツーリスモラリーは、名前どおり、ラリーのSS(スペシャルステージ)でのタイムを競うスペシャルイベント。実際のラリーと同様、1台1台走り、タイムを競っていく。この特徴は、ステージが毎回に自動生成されていくとこと。自動生成されたコースを使って、蓄積型のタイムトライアルが楽しめる。

 また、GT5では天候の変化に関しても、新機能が採り入れられた。GT5での天候は、「ダイナミックウェザーシステム」と名付けられ、気温、気圧、湿度から天候の変化を描き出していく。キリや雨、そして豪雨などドラマチックな天候の変化をシミュレートする。

 スイスのアイガーを例に示し、「非常に霧が出やすいところです。雨が降れば、当然路面の摩擦係数が変わってきます。レコードラインとそれ以外でのグリップの違い、路面の乾き方の違い、そういったところもシミュレートしています」と言い、ウォータースクリーンバトルなどが楽しめるとした。

ダイナミックウェザーシステムで紹介された画面。気温や気圧、湿度によって天候の変化がシミュレートされる

レッドブルレーシングとのコラボレーションを発表
 この日、最後に明かされたGT5の新機能が、レッドブルレーシングとのコラボレーションプロジェクト「X1プロトタイプ」。このプロジェクトは「非常にシンプルな夢からスタートした」と言い、「F1やツーリングカーなどレーシングマシンはレギュレーションによってがんじがらめになっている。では、そういったレギュレーションを度外視したときに、この地上でもっとも速いレーシングカーの形は?」という素朴な疑問がその発端だと述べた。

 ポリフォニー・デジタルがレーシングカー「X1プロトタイプ」のコンセプト作りとデザインを行い、F1でおなじみのレッドブルレーシングがパートナーとなる。テクニカルアドバイザーには、空力の鬼才とも言われるエイドリアン・ニューイが加わり、「ニューイの無邪気な夢や、発想がX1というクルマに詰まっている」と言う。

 このX1プロトタイプを、「11月3日の発売日から、この地上でもっとも速いレーシングマシンを楽しめるようになる」と紹介した。ただ、無条件に遊べるのではなく、やはり夢のクルマだけにある程度ストーリーが進行してからプレイできるようになるようだ。

X1プロトタイプのスクリーンショット。風洞の写真が使われていることから、空力的な工夫が盛り込まれているマシンであることを暗示しているのだろうか

 1000以上という圧倒的な収録車種数、そしてPS3の機能を活かした再現性、さらには最速のF1マシンをデザインし続けるエイドリアン・ニューイと組んだ地上最速のドリームマシンまで用意するGT5。ゲーム好きにはもちろん、クルマ好きにも十二分に楽しめる作品として、その登場が待ち遠しい限りだ。

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(編集部:谷川 潔)
2010年 9月 17日