トヨタ、“イマドキ家族”に徹底対応した2代目「ラクティス」発表会 3種類のボディタイプを用意 |
ラクティスの新CMに出演する新垣結衣さん |
トヨタ自動車は11月22日に、東京・お台場にあるMEGA WEB・トヨタ シティショウケース1階で「ラクティス(Ractis)」の発表会を開催した。
ラクティスは、同社のファンカーゴから始まった“ヴィッツファミリーのスペースムーバ―”というポジションを受け継いで、2005年に初代モデルがデビュー。今回が初めてのモデルチェンジとなり2代目に進化している。
新型モデルの開発にあたっては、ラクティスの主要なユーザー層である子育て中の若いカップルを、新しい価値観を持つ「イマドキ家族」と位置づけ、彼らのライフスタイルや価値観を徹底的にリサーチし、その結果を車両開発に反映させているという。
13時30分にスタートした発表会には、ラクティスの新テレビCMに出演する女優の新垣結衣さんが登場。CM出演のオファーを受けたことを「前のモデルのCMは元気がよくて印象に残っていました。そのCMに出ることを聞いて驚きましたが、私もそんな元気さを伝えていきたいです」と語り、自身もCM内で語りかけている「イマドキ家族調査キャンペーン」の3つの質問内容についてもコメント。また、発表会場でもイマドキ家族調査が実施され、9組27人のイマドキ家族が参加。新垣さんから出される質問に、「アリ」・「ナシ」と書かれたプレートを掲げて回答した。
発表会では、イマドキ家族調査キャンペーンの調査結果と分析内容などが、イマドキ家族研究所の深澤真紀代表によって報告された。全国の子供を持つ男女1万人に対する調査から、イマドキ家族は「ショッピングモールや大きな公園に行って1日を過ごすことが多い」、「高級志向ではないので安くていいものを買いすぎてしまうことが多い」という傾向が判明。そんなニーズを、新型ラクティスの心地よい室内空間や使い勝手のいいラゲッジスペースでサポートすると解説した。
イマドキ家族研究所の深澤真紀代表 |
正式発表された2代目ラクティスだが、すでにエクステリアデザインの写真などを目にしている人も少なくないことだろう。というのも、このクルマは9月末から10月にかけて開催されたパリモーターショーのトヨタブースで、欧州仕様の「Verso-S(ヴァーソ・エス)」として公開されているからだ。また、10月に入ってからは、トヨタHP内にあるラクティスの車両情報サイトにティザーコーナーが設置され、新型モデルのさまざまな魅力について紹介するなど、積極的な事前情報の公開が行われてきた。
アンベールされる2代目ラクティス |
事前情報でも一部紹介されてきたが、2代目ラクティスは、基本となる「X」と「G」、内外装のスタイリッシュさを主張する「L'epice」(レピス。フランス語で隠し味・スパイスの意)、ユーロサスペンションや4輪ディスクブレーキ、刺激的な内外装などを備える「S」という3種類のボディタイプを設定している。
グレードはS、L'epice、X、Gが用意される | |
ライトまで連続するグリルが特徴のL'epice | バンパーにフォグランプを内蔵するS |
エクステリアデザインは、ワンモーションフォルムのボディスタイルや、6ライトのサイドウインドーなどを先代から引き継いでイメージを踏襲している。とはいえ、細部を見ると、フロントマスクではヘッドライトやフロントグリルなどを直線基調のデザインにすることでシャープさを演出。バンパー両サイドにはプリウスなどとも共通するエアロコーナー風の造形を採り入れるといった手法でブラッシュアップを行っている。
■FF車は燃費20.0km/Lを実現!
モデルチェンジによる大きなトピックは燃費の向上。ボディの約45%に高張力鋼板を使用し、車両内の細部にまで重量低減を徹底した軽量・高剛性ボディをベースに、1.5リッターの1NZ-FE型エンジンではACTIVE CVTと組み合わせ、1.3リッターの1NR-FE型エンジンでは排気側でも開閉タイミングを制御するDual VVT-iを採用することで高効率化を進め、FFモデルでは20.0km/Lの10・15モード燃費を実現している。
1.5リッターエンジン。4WD車の燃費は18.4km/L | 1NR-FE型エンジンはFF車のみ |
車両外観が先代イメージを受け継ぐ一方で、インテリアは方向性を大きく一新。先代の大きな特徴だった、奥行きのあるダッシュボードを生かしたパノラマビューメーターはコンサバティブなデザインに変更。さらにメーターからインパネシフトを持つセンターコンソールまで一体感を出していた造形も、オーディオ類やエアコン、シフトコンソールなど役割ごとにセパレートして使い勝手を優先している。
Gの内装 |
L'epiceの専用内装 | ステアリングスイッチは全車標準装備 | HDDシンプルナビは全車オプション |
また、L'epiceではライトブルー&ブラックの2トーン内装、Sではシート、ステアリング、シフトノブなどにオレンジのステッチを入れて差別化を行っている。このほか、先代の大きなアピールポイントとして注目を集めたパノラマルーフは、Gの1.5リッターFF仕様車にオプション設定されている。
L'epiceのフロントシート | L'epiceのリヤシート | |
Sの本革シフトノブを引き立てるオレンジステッチ | Sはシート外周にもオレンジステッチを採用 | リヤシート頭上まで伸びる開放感あるパノラマルーフ |
X以外に標準装備する運転席アームレスト |
ユーティリティ面では、FF車のリヤシートにラゲッジルームの両サイドに設置されたレバーを引くだけで簡単に格納できる6:4分割チルトダウン機構を採用。4WD車でも6:4分割ダブルフォールディング機構を設定し、フラットなスペースを作り出せる。また、GとSのラゲッジルームには、上下2段階の高さを使い分けられるアジャスタブルデッキボードを用意して収納性を高めている。
5人乗車時でも429Lの容量を確保 | デッキボードを持ち上げた状態 | デッキボードを下に設定した状態 |
約120mmダウンする | デッキボードを下げると高さのある荷物も縦置きで収納可能 | XとL'epiceに装備されるデッキアンダートレイ |
FF車はさらに下段が存在する | 大型で操作しやすい形状のシートを倒すためのレバー | 単純な操作でフラットなフロアができ上がり |
発表会会場の一角には、ハイルーフボディの車いす仕様車も展示。車いす仕様車としては日本初という型式指定自動車に設定されたこのクルマは、車いすのまま乗りこんだ人の頭上高を確保するため1705mmまで全高が引き上げられているほか、スロープと連動するリヤバンパー、なだらかなスロープ角度を実現する後輪エアサスペンションといった専用装備を用意。ラクティスのボディラインを崩さないよう、ルーフ形状もこだわり抜いてデザインされているという。
ボディカラーは車いす仕様車専用のスーパーホワイトII | デザイナーが苦心して作り上げたという滑らかなルーフライン | リヤ周りのキャラクターラインなどもしっかりデザイン化 |
こだわりのポイントを語る三浦清克チーフエンジニア |
15時からは会場が一般開放され、お台場に足を運んださまざまな人が2代目ラクティスを見学したほか、15時15分からは開発に携わった三浦チーフエンジニアと池山マーケティングディレクターによるトークショーを開催。開発責任者として指揮を執った三浦チーフエンジニアは、自らの趣味である家庭菜園を通じてユーティリティの大切さを実感したエピソードを披露。「自分で大変な思いをして、女性ならさらに大変だろうと考え、ラゲッジからシートを倒せるようにしました」とコメント。また、「ショッピングセンターなどの狭い駐車場ではドアがあまり開けられません。ちょっとだけ開いたスペースでも乗り降りできるよう、ドアトリムやサイドシル部分の形状を工夫しました」と、2代目に与えたこだわりのポイントを解説していた。
三浦チーフエンジニアと池山マーケティングディレクターによるトーク |
このほかに会場では、来場した子供連れの男女を対象に、iPadを使った「イマドキ家族調査」を実施。参加者には抽選で旅行券やゲーム機、オリジナルQUOカードなどが贈られていた。
シルバーメタリック | ブラックマイカ | スーパーレッドV |
サテンブルーマイカメタリック | ダークブラウンマイカメタリック | ライトブルーマイカメタリック |
ディープアメジストマイカメタリック |
Sに標準装備のアルミホイール | S以外はスチールホイール+専用樹脂キャップ仕様 | GとL'epiceに設定されるオプションのアルミホイール |
(佐久間 秀)
2010年 11月 22日