震災で延期のスーパー耐久は東北、SUGOで開幕
初登場アウディ R8LMSがデビューウイン

SUGOで開幕したスーパー耐久

2011年5月29日決勝開催



新設GT-Xクラスのアウディ R8 LMSがポールトゥウイン

 5月29日、「スーパー耐久シリーズ第1戦 SUGOスーパー耐久3時間レース」が当初予定されていた2Day開催「SUGO 2&4 Race」を4輪のみの1Dayに短縮し、スポーツランドSUGO(宮城県村田町)にて開催された。当初第1戦に予定されていたツインリンクもてぎは、東日本大震災によるコースの損傷が大きく、5月9日、10日に予定されていたSUGOでの第2戦を3週間近く延期し、第1戦として本年のシリーズ開幕戦となった。

 スーパー耐久(S耐)に今シリーズより新設されたST-Xクラスのアウディ R8 LMS(藤井誠暢/都築晶裕/マイケル・キム)がFIA-GT3のパフォーマンスを遺憾なく発揮しポールトゥウインで総合優勝を成し遂げた。


濃霧となった決勝レース
 コースコンディションは予選、決勝通じてウエット。予選は新設ST-Xクラスのアウディ R8 LMS、続いてST-1クラスのPETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE(谷口信輝/柳田真孝/ドミニク・アン)、3番手スタートはST-2クラスのエンドレス・アドバン・コルトスピードX(峰尾恭輔/高木真一/村田信博)、4番手にも同クラスのランサーが続きウエットコンディションでの4WDの速さが際立っていた。

 決勝レース前半ではポールポジションスタートのアウディ R8 LMSが圧倒的な速さを見せつけ、スタート直後から後続を引き離しトップを快走。ST-1、ST-2が入り乱れた後続グループがそれに続く展開を重ねる。しかし、PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEが45周目にピットイン、ドライバー交代をした時点でトップグループの中で最も早い34周目にすでにピットインを済ませたアウディ R8 LMSとの差は、わずか4秒程度となっていた。FIA-GT3車輌は給油に時間がかかるようだ。

スタート直後からパワーに勝るアウディ R8 LMSが後続を一気に引き離す2度のセーフティーカーランがレースの行方を翻弄する

 50周目から2周にわたって濃霧のためセーフティーランが実施され、このタイミングでアウディ R8 LMS、PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEが2度目のドライバー交代を済ませゴールを目指す。

 ST-2クラスは速さに勝るエンドレス・アドバン・コルトスピードXが逃げ切りの様相を見せたが、77周目で2度目のセーフティカーラン。ここで一気に差が詰まった後続のRSオガワADVANランサーに大きなチャンスが訪れたが濃い霧は晴れず、残り20分で赤旗によりレースは終了し、総合ではアウディ R8 LMSのポール・トゥ・ウィン。ST-1は総合2位のPETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEがクラス優勝、総合トップとの差は僅か1.367秒。それに続きエンドレス・アドバン・コルトスピードX、RSオガワADVANランサーがST-2の1位、2位、総合でも3、4位と健闘した。

総合順位クラス順位マシン名(ドライバー名)
1位ST-X 1位アウディ R8 LMSR8(藤井誠暢/都筑晶裕/マイケル・キム)
2位ST-1 1位PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE(谷口信輝/柳田真孝/ドミニク・アン)
3位ST-2 1位エンドレス・アドバン・コルトスピードX(峰尾恭輔/高木真一/村田信博)
4位ST-2 2位RSオガワADVANランサー(大橋正澄/阪口良平/松本武士)
5位ST-2 3位東和・MOTUL・EDインプレッサ(大澤学/吉田寿博)
6位ST-1 2位PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE(片岡龍也/ファリーク・ハイルマン/フェイ・ホン・オオイ)
9位ST-3 1位GPO+KOTA RACING NSX(北野浩正/佐々木孝太/橋本達也)
13位ST-4 1位GLORY.ERG.A-ONE.EURO.FN2(北川剛/野間一/藤田弘幸)

総合優勝した、FIA-GT3マシンアウディ R8 LMS総合2位(ST-1クラス1位)、PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
総合3位(ST-2クラス1位)、エンドレス・アドバン・コルトスピードX総合4位(ST-2クラス2位)、RSオガワADVANランサー

 圧倒的な速さを見せつけながらもピットでの時間がかかるST-X車輌、ウエットコンディションで強みを発揮する4WDのST-2、そしてST-1の争いは今シーズンを通して我々にエキサイティングなレースを見せてくれそうだ。

ST-3クラス1位のGPO+KOTA RACING NSX。SUPER GTドライバーである佐々木孝太選手自ら立ち上げたチームが嬉しいデビューウインST-4クラス1位のGLORY.ERG.A-ONE.EURO.FN2

豊富な車種バリエーション
 S耐のおもしろさは、さまざまな車種が参加していることにある。市場での人気はいまだ高いものの、SUPER GTでは惜しまれつつ姿を消したマツダRX-7やホンダNSX、またモータスポーツの各カテゴリーで活躍する痛車などを見ることもできる。今回は、ラリードライバーとして知られる新井選手がインプレッサ(GDB)で参戦、また新カテゴリーのST-XへFIA-GT3車輌も加わりコース上は昨年より華やかさを増した。

マツダRX-7(FD3S)は3台出場ホンダNSXPWRCチャンピオン新井敏弘選手はGDBインプレッサで参戦
T-2クラスに参戦するAS Racing KYOSHOアリスモータースはランエボX(CZ4A)インフィニットストラトスカラーのS2000は、ディジョンレーシングからST-4に参戦

被災地での初モータースポーツイベント。
 震災後、被災地宮城で実質的な初イベントとなった今大会は「がんばろう東北!!たちあがろう宮城!!」をスローガンとした東日本大震災復興支援大会と位置づけ、Faust Racing Teamのドライバーを中心としたS耐ドライバー有志の会が被災地域住民を200名を今レースに招待したのをはじめ、レース関係者や参加者がさまざまな形で被災者支援活動を行った。またスポーツランドSUGOの呼びかけに賛同した被災地域からの出展もパドックイベント広場を賑わした。

 なお、今回の震災でのサーキット施設の被害は非常に少なく、イベント延期はホテルや鉄道等の周辺インフラの被害状況と余震が比較的長く続いてしまった影響によるものとのこと。僅かに破損した個所の改修もほぼ済んでおり、今後は予定されていたイベントをすべて行っていく。7月にはSUPER GT第4戦も行われる。

被災地域住民の招待は当初100名で予定されていたが、それを大きく上回る応募があったため、急遽200名に変更されたドナルドも応援! 宮城県内のマクドナルドで使えるポテト無料券を配布メッセージボードには、レースファンがそれぞれの思いを書き込んでいた
角田市商工会青年部からは地元名産の手作り梅干、りんごチップスなどが販売された。また梅ポップコーンなどの変り種(?)も全国的な桜の名所、大河原町の商工会は数えきれない程の名産の数々を販売。なかでも「うめ輝(き)らり」は地元の女子高生プロデュースとのこと
蔵王といえばスキー場だけにあらず。蔵王町商工会オリジナルホルモン焼き「宮ホルモン」はお酒が欲しくなる味との声もスポーツランドSUGOの地元村田町。観戦中でも食べやすいそら豆あん入りのお菓子「そらまめくん」のほか、地元で採れた野菜を販売

 スーパー耐久シリーズの第2戦は、7月23日、24日に富士スピードウェイで開催される。

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2011年 6月 7日