HV/EVなどの部材・材料は大きく拡大、2015~20年には新技術も
富士キメラ総研「次世代自動車のキーマテリアル市場の将来展望」より

2011年5月23日発売
9万9750円



 富士キメラ総研は、次世代自動車の部材・材料49品目の調査リポート「2011 次世代自動車のキーマテリアル市場の将来展望」を、5月23日に発売した。価格は9万9750円。

 ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)といった次世代自動車の、性能向上とコスト削減を図るための主要部材27品目と、材料22品目を調査した。

 これによると、2011年HV/PHV/EVの生産台数は日本93万台、世界121万台。今後もHVは年率20%で拡大し、2020年にはPHV179万台、EV145万台、FCV1万台と推測。2020年の世界の4輪生産台数1億992万台の9.2%を占めるとしている。

 この成長に合わせ、リチウムイオン二次電池、モータ、インバータ、高圧電線、燃料電池、充電器などの主要部材と、放熱/蓄熱部品・部材を合わせた27品目も、2020年には1兆7059億円(2010年比26.7倍)に成長する。

 また、アルミニウム合金、耐熱鋳鋼、天然素材系樹脂、構造用接着剤、ポリプロピレンをはじめとする22品目の部材は、2020年に19兆1704億円(2010年比209.6%増)を予測する。

 リチウムイオン2次電池用部材(正極材、負極材、正極集電体、負極集電体、セパレータ、電解液・電解質)の市場は、EVやHVが牽引して2011年に349億円(2010年比698%)、2020年に1兆2705億円(2010年比254倍)と倍増を続けると予測。2015年以降は充放電容量の拡大を目指してまったく新しい材料が登場する可能性もあるとしている。ただし、国内市場は東日本震災の影響により穏やかな拡大に留まり、海外市場での拡大が中心になるとしている。

 モーター用部材(巻線、モータコア、レアアース磁石、レアーアースフリー磁石)の市場は、2011年に367億円(2010年比130.6%)、2020年に2203億円(2010年比784%)と予測。こちらも2015年以降に新しい技術が導入される可能性があるとしている。モーターの磁石が高温下でも性能を確保するためのジスプロシウムは中国に依存しており、価格の上昇が止まらないが、2020年頃にはジスプロシウムフリーの磁石の大量生産が始まる見込みとしている。

 高圧電線用部材(外装材、導体、絶縁体)は2011年に91億円(2010年比119.7%)、2020年に400億円(2010年比526.3%)を予測。HV1台あたり10m前後が使用される高圧電線だが、HVの小型化により長さが短くなる一方で、EVや大型HVでは導体が太くなり、長さも長くなる。今後は軽量化のためにアルミニウム導体の採用が進むとしている。

 充電器用部材(給電用コネクタ、インレット)は2011年に23億円(2010年比383.3%)、2020年に409億円(2010年比6816.7%)と予測。2010年は車両の付属品や普通充電器・家庭コンセント向けのAC給電用コネクタが2万5000個だったが、2020年には600万個と予測している。

 放熱/蓄熱部品・部材(ヒートシンク、メタル基板、放熱塗料、放熱シート、排熱回収器)は2011年に82億円(2010年比117.1%)、2020年に441億円(2010年比630.0%)と予測。HVやEVの性能向上とともに発熱量は増え続けており、放熱部品への要求が厳しさを増すとしている。

 車両軽量化の要となるアルミニウム合金は2011年に3兆30億円(2010年比110.1%)、2020年に4兆3015億円(2010年比157.7%)と予測。ハイブリッドシステムにより車両重量が増えており、現在では欧米での普及が進んでいるが、新興国でも市場の伸びが期待できるとしている。

(編集部:田中真一郎)
2011年 6月 21日