NEXCO東日本、震災復興支援による無料化の渋滞は解消の方向へ
東北六魂祭やSA/PAでは、被災地支援のメニュー販売実施

NEXCO東日本 代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏

2011年6月30日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は6月30日、定例記者会見を開催した。この定例記者会見では、直近の売上げのほか、東北地方の被災者支援/復旧・復興支援のために始まった東北地方の高速道路・有料道路の無料化措置、復興支援の「HEARTLINK NIPPON」プロジェクト、関越自動車道 寄居PA(パーキングエリア)のリニューアルオープンに関する話が発表された。

 同社代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏は、株主総会を終えたことを報告。今期は取締役を4人から10人に増やし、7本部制で経営を進めていくことになる。

無料化処置後の交通量。常磐道(水戸~那珂)などは、大型車の交通量が大きく増えている

 NEXCO東日本では、東日本大震災発生による被災者支援、当面の復旧・復興支援として6月20日から被災証明書・罹災証明書を持つ人が乗車する車両に対し、東北地方の高速料金を無料化。中型車・大型車・特大車に関しても無料化を開始している。

 この無料化走行を行うためには、ETCゲートではなく料金収受員のいる有人ゲートを通る必要がある。そのため、従来よりもIC(インターチェンジ)のゲート通過に時間がかかるようになっており、渋滞が発生するようになっている。佐藤社長は、この渋滞の解消ために、料金収受員を新たに雇い、人員を配置可能な料金ゲートは開放していくと言う。開放可能なゲート数は物理的に限られたものとなるが、被災証明書・罹災証明書のやり取りの効率化により渋滞長は短くなっており、それをより加速していくものとなる。

 同社の営業概要については、取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 長尾哲氏から報告が行われた。5月の通行台数は前年比5.2%増の1日平均271万台。料金収入は6.2%減の460億3200万円になる。通行台数が増え、料金収入が減るという傾向は昨年6月に高速道路の無料化社会実験が始まってからの傾向で、これが続いていると言う。無料化社会実験はこの6月19日で終了したものの、NEXCO東日本については復興支援のための無料化が開始されているため、今後も同様の傾向が出るのかもしれない。

 SA(サービスエリア)/PAの売上げについては、取締役兼執行役員 事業開発本部長 窪寺克次氏から報告があり、売上げは前年比1.7%減の142億2100万円。レストランなどの飲食部門の売上げは減少したものの、ガソリンスタンドの売上げは13.5%増加し、とくに軽油については71.6%増と大きな伸びを示している。ガソリンスタンドの売上げ増加には、価格の高騰が影響しており、軽油の増加は被災地へ向かう大型車両が増えたためだとした。

管理事業本部長 長尾哲氏事業開発本部長 窪寺克次氏

 SA/PAにおいては、地域の復興を応援するための「HEARTLINK NIPPON」第2弾として、有名シェフによる被災地食材応援イベントを開催。五十嵐美幸シェフ(中華)、中嶋貞治シェフ(割烹)らが、地域の食材を使った特別メニューを開発し、販売。売上金の一部を震災の義援金として寄付する。

海の日三連休の前半に開催される東北六魂祭。東北復興のため、東北の6大祭りが仙台に集まるビッグイベント。NEXCO東日本も出店

 このイベントは主にSAで開催されるが、7月16日、17日に東北の6大祭り(青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、
仙台七夕まつり、福島わらじまつり)が一堂に会する「東北六魂祭」に出店。宮城県仙台市の勾当台公園で行われるこの史上初の祭りに、五十嵐シェフ、中嶋シェフが同社ブースに日替わりで登場する。

 また、テーマ型PA「寄居 星の王子様PA」を7月16日にリニューアルオープン。屋根付きのテラス席を増設したほか、ショップ脇の「マガザン・カプリシュー」(気まぐれ屋)、「PAオリジナル ウワバミ焼(人形焼風)」や「うぬぼれフラッペ」、「シェフの手づくり弁当」などを常時販売する施設にリニューアルする。


(編集部:谷川 潔)
2011年 6月 30日