三菱自動車、EV「i-MiEV」にエントリーグレードを追加
航続可能距離120km、実質188万円。100Wの家電製品に電源供給可能なオプションも用意

写真手前がエントリーグレードの「M」、奥が上級グレードの「G」

2011年7月25日~発売
260万円(M)、380万円(G)



 三菱自動車工業は、電気自動車(EV)「i-MiEV」にエントリーグレードの「M」と上級グレードの「G」を設定し、前者を7月25日に、後者を8月中旬に発売する。

 価格はMが260万円、Gが380万円だが、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金の対象モデルであることから、2011年度はMグレードで72万円(オプション設定の急速充電機能を装着した場合は74万円)、Gグレードで96万円を上限として補助金を受けることができるため、実質的にMグレードは188万円、Gグレードは284万円となる。

i-MiEV諸元
グレード
MG
価格260万円380万円
補助金(2011年度)を受けた場合188万円284万円
原動機種類永久磁石式同期型モーター
型式Y4F1
最高出力30kW(41PS)/2000-6000rpm47kW(64PS)/3000-6000rpm
最大トルク180Nm(18.4kgm)/0-1000rpm180Nm(18.4kgm)/0-2000rpm
駆動用バッテリー種類リチウムイオン電池
総電圧270V330V
総電力量10.5kWh16.0kWh
充電の目安AC200V約4.5時間(満充電)約7時間(満充電)
AC100V約14時間(満充電)約21時間(満充電)
急速充電約15分(80%)約30分(80%)
性能(国土交通省審査値)JC08モード交流電力量消費率110Wh/km
JC08モード一充電走行距離120km180km
車両重量1070kg1110kg
ボディーカラーは全7色。写真はホワイトソリッド(モノトーン)クールシルバーメタリック(モノトーン)ブラックマイカ(モノトーン)
レッドソリッド/ホワイトソリッド(2トーン タイプA)クールシルバーメタリック/ホワイトソリッド(2トーン タイプA)
ホワイトパール/ミントグリーンソリッド(2トーン タイプB)ホワイトパール/オーシャンブルーメタリック(2トーン タイプB)
写真は「M」グレード。ボディーサイズは「G」グレードと共通で3395×1475×1610mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2550mm。車重は1070kgで、Gグレードより40kg軽くなる
Mグレードのヘッドランプはハロゲンタイプを標準装備(GグレードはLED)。スモールランプを点灯したところロービームを点灯ハイビームを点灯
リアミッドシップレイアウトのiをベースとしていることから、駆動用バッテリーはフロア下の燃料タンク部に、リアラゲッジルーム下の本来であればエンジンが搭載されるところにモーター、トランスミッション、インバーターなどを備えるタイヤサイズはフロント145/65 R15、リア175/55 R15となる
急速充電用リッドを左リアフェンダーに備えるワイパーは1本タイプリアコンビランプはバルブ式。GグレードはクリアレンズにLEDタイプを組み合わせる
2トーンカラーモデルは専用ステッカーが貼られる普通充電ケーブルを接続すれば充電の開始/終了のタイミングの設定や、冷房/暖房/デフロスターの操作をリモコン操作できる
タイマー充電の表示画面車両に乗り込む前に事前にエアコンをコントロールできるプレ空調機能が備わるバッテリーの残量表示
Mグレードに搭載する東芝製のリチウムイオンバッテリー「SCiB」。総電力量は10.5kWhGグレードに搭載するリチウムエナジージャパン(LEJ)製のリチウムイオンバッテリー。総電力量は16.0kWh
Mグレードのインテリア。インナードアハンドル、セレクトレバーインジケーターパネル、パワーウインドースイッチパネルはブラックでまとめあげられる(Gグレードはシルバー)Mグレードのウレタン製のステアリング(Gグレードは本革)コンビネーションメーター。デジタルスピードメーター、パワーメーター、駆動用バッテリー残量などを表示する
Mグレードのドアパネルフロントシート(左)とリアシート(右)ともに植物由来のシート生地を採用する
各種操作スイッチMグレードはウレタン製シフトノブを装着。Gグレードは本革となるカップホルダー、アッシュトレイを備える
DC12Vアクセサリーソケット大きめのグローブボックスを装備シフトレバーの前方に小物置きが用意される
左がブレーキペダル、右がアクセルペダル滑りやすい路面などでのスリップを防ぐASC(アクティブスタビリティコントロール)は標準装備。運転席右側のスイッチでON/OFF切換が可能ラゲッジルーム。リアシートは5:5分割可倒式で、上下調整式のヘッドレストを備える

 これまでi-MiEVはリチウムエナジージャパン製のリチウムイオンバッテリー(総電圧:330V、総電力量:16.0kWh)を搭載した1グレード構成だったが、今回新たに東芝製のリチウムイオンバッテリー「SCiB」(総電圧:270V、総電力量:10.5kWh)を搭載したMグレードを追加。

 今回のラインアップ変更に伴い、いずれのグレードも車両統合制御技術「MiEV OS(MiEV Operating System)」などの改良が行われ、ブレーキペダル連動回生ブレーキを新たに採用した。これにより減速エネルギーの回収量を増加させ、一充電あたりの走行距離を従来から約20%拡大させたと言う。

 また、スリップを防ぎ安定走行をサポートするASC(Active Stability Control)や、従来よりも大型のドアミラーを全車に標準装備するなど、安全装備面の強化も図られている。

 Mグレードは主に軽自動車ユーザーを想定したモデルで、一充電あたりの航続距離(JC08モード)を120kmとした。そのため、Gよりも最大出力が17kW(23PS)劣るものの、最大トルクは同等とした。さらにフル充電に必要な時間はAC200Vで約4.5時間、AC100Vで約14時間、急速充電で約15分(80%)としており、それぞれ2.5時間、7時間、15分短縮できる。

Gグレード。インテリアの写真は専用オプションとして用意される「プレミアムインテリアパッケージ」。10月以降の生産車に装着可能となっている

 一方、上級のGグレードは従来のi-MiEVに準拠したモデルで、今回装備内容を大幅に向上させつつ、価格はこれまでの398万円から380万円に引き下げられた。

 具体的にはLEDヘッドランプ/リアコンビネーションランプ、15インチアルミホイール、本革巻きステアリング/シフトノブ、運転席/助手席シートヒーター、7インチワイドディスプレイ搭載SSDカーナビ「MMES」などを標準装備化している。

 また、Gグレード専用のオプションとして、インストルメントパネルや専用シートの一部をダークブラウンとするとともに、専用デザインのセンターパネル、各種ダイヤル類やドアハンドルのシルバーの加飾をあしらい上質感を高めた「プレミアムインテリアパッケージ」を新たに設定した。

 さらに、普通充電ケーブルが接続されていれば充電の開始/終了のタイミングの設定や、冷房/暖房/デフロスターの操作をリモコン操作できる「MiEV リモートシステム」もオプションで用意。リモコンはバッテリーの残量も表示できる。

 いずれのパッケージも、10月以降の生産車に装着可能としている。

定格100Wまでの家電製品に電源供給が可能な「AC パワーサプライ EZ」をオプションで用意。さらに2011年度中には定格1500Wまでの電源供給装置の商品化も目指す

 なお、昨今の環境問題に加え、震災の影響によるエネルギー需給逼迫への対応として、定格100Wまでの家電製品(携帯電話、ノートPC、照明器具、小型液晶テレビ、扇風機など)に電源供給が可能な「AC パワーサプライ EZ」(1万5540円)をオプション設定する。

 さらに、2011年度中に電気炊飯器、電気ポット、ヘアドライヤー、ホットプレートといった定格1500Wまでの電源供給装置の商品化も目指している。


(編集部:小林 隆/Photo:堤晋一)
2011年 7月 6日