NEXCO東日本、5回目の「アクアライン探検隊」を開催
巡視船「あわなみ」からアクアラインを望む

巡視船「あわなみ」に乗船することもできた「アクアライン探検隊」

2011年8月4日開催



アクアライン探検隊のスタート地点となった技術資料館「うみめがね」

 NEXCO東日本(東日本高速道路)関東支社は8月4日、東京湾アクアライン 海ほたるPA(パーキングエリア)において5回目となる「アクアライン探検隊」を開催した。

 また、海ほたるPAの4階および5階では、震災復興支援の一環として「2011 サマーフェスティバル in 海ほたる」を開催。福島県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県による県の地産品販売や観光PRを行った。

 アクアライン探検隊は毎年1回行われるイベントで、東京湾海面下に作られたトンネル緊急避難通路や防災システム、海底トンネルを掘り進む際に使われたシールドマシン「カッターフェイス」などを見学できるほか、海上保安庁 第三管区海上保安本部 千葉海上保安部の巡視船「あわなみ」やアクアラインの点検船「はやぶさ」に乗船できる。海上からもアクアラインを望めることもあって人気のイベントとなっているようだ。

 事実、今年は170名の隊員を募ったが、過去最高となる約8500名から応募があったと言う。同イベントは毎年平日に行われているが、今年は震災の影響で木曜日・金曜日に休日を変更する企業もあり、その影響でより多くの応募があったのではないかと同社は予測している。

東京湾アクアライン管理事務所 総務担当課長 南部明彦氏

 さて、当日のコースだが、海ほたるPA 1階にある技術資料館「うみめがね」で集合。東日本高速道路 関東支社 東京湾アクアライン管理事務所 総務担当課長の南部明彦氏の引率のもと、まずは徒歩で海底トンネル道路下にある緊急避難通路を見学した。

 緊急避難通路に向かうまで4枚の防護扉が設置されており、2枚目の防護扉を開けると少し強めの風が吹いてきた。これは風を緊急避難通路に送り込むことで気圧を高め、トンネル内で火災があったときなどに煙が緊急避難通路入らないようにし、二次災害を起こさないようにするため。「万が一トンネル内で災害が発生しても自家発電があるので、緊急避難通路は24時間くらいは確実に呼吸することができる。トンネル内で災害に遭遇し、呼吸困難になった場合はここに逃げてください」と南部氏は説明する。

 そして緊急避難通路をさらに進むと、トンネル内から逃げてこられるすべり台が設置されていた。階段ではなく、なぜすべり台なのかという質問には「階段だと押し合いになったりして落下する危険性がある。でもすべり台ではつまずく危険性もないし、安全に降りてこれるから」と回答。このすべり台の横には非常電話も設置してある。こうした設備は300m間隔で設置されており、アクアラインの全長が約10kmなので計33個所に用意されていることになる。

 ちなみに、非常電話の使い方については受話器を外して「故障」「事故」「救急」「火災」のいずれかのボタンを押すだけ。すると同社の岩槻にある管制センターにダイレクトに繋がる仕組みとなっている。

 次に、海ほたるPA内にある建設記念碑「カッターフェイス」を見学。カッターフェイスは実際に掘削に使われたものではなく、復元したものとなる。

 カッターフェイスの直径は14.14mと世界最大規模を誇る。実際にトンネルを掘る際には浮島、風の塔、海ほたるの各人工島から8基のシールドマシンが発進し、それぞれの区間の中央付近まで掘り進み、海底の地盤の中で接合させたと言う。掘削は1994年8月~1996年8月までの24カ月で完了させた。

アクアライン下り(木更津方面)側のトンネル入り口から緊急避難通路へと向かう探検隊員が小さい防護扉から入っていく
緊急避難通路トンネル内から逃げてこられるすべり台避難経路の案内図
非常電話は受話器を外して「故障」「事故」「救急」「火災」のいずれかのボタンを押すと岩槻の管制センターに繋がるこちらのすべり台は救助のための上り口
緊急避難通路から100段以上の階段を上り、外へ移動外に出るとPA内にある建設記念碑「カッターフェイス」があった
こちらはヘリコプターの離着陸場パトロールカーの説明も行われた。道路に落下物がないかなどの確認を毎日しているそうで、1日の総走行量は450kmにも及ぶと言う消防車の車庫もあった

 そして、隊員がもっとも楽しみにしていたであろう巡視船「あわなみ」に乗船。乗船時はあいにくの雨模様だったが、海ほたるPAを出発して川崎方面へ向かい、風の塔でUターンして再び海ほたるPAに戻るという、およそ20分程度のコースを楽しんだ。

 風の塔はアクアライントンネルの中央に位置する直径193mの人工島。普段ここまで間近に見る機会がないこともあり、隊員らはじっくり眺めている様子だった。

巡視船「あわなみ」乗船時はライフジャケットを着用する強めの雨が降りしきるなか乗船する隊員ら
人工島の風の塔海側から海ほたるを望む
子どもらは操縦席に座らせてもらっていたクルマと似たようなステアリングで操船する左右のレバーでエンジンをコントロール
レーダー風向きと風速および船速を表示するメーター

 無事に全行程を終了した後に南部氏にお話を伺ったところ、このアクアライン探検隊には「大人にも子どもにも参加して欲しい。大人の方にはアクアラインの安全性を見てもらいたいし、お子さんも将来的に自動車の免許を取得するでしょうから、今のうちから見ておくことは意義のあることだと思う」と話していた。

 また、3月に発生した東日本大震災において、アクアラインおよび海ほたるPAは損壊個所などはなかったと言う。しかし、地震や災害はいつ何時発生するかは分からない。もし自身がアクアラインを走行中に災害に見舞われたとき、緊急避難路や非常電話がどこにあるか知っているのと知らないのとでは、避難行動に雲泥の差ができるかもしれない。

 そういった意味で、このアクアライン探検隊の意義は非常に深い。イベント自体は年に1度しか開かれないが、千葉県の公式サイトで同内容のイベントの参加募集を行う場合もあるとのことなので、一度問い合わせしてみるとよいだろう。

海ほたるPA 5階で行われていたサマーフェスティバル。各県の名産や野菜・果物などの直売をしていた枝豆やブルーベリー、ミニトマト、キャベツなどの直販を行った群馬県ブース栃木県ブースはフルーツアスパラや餃子のたれ「餃子の達人」などを販売
茨城県ブースはレンコンやネギといった野菜類を豊富に販売していたゆべしや桃ジュースなどを販売した福島県ブース千葉県ブースはさつまいもやブルーベリーを販売した
4階では各県の観光PRも行われてた
5階では各県のキャラクターたちが集結し、各地の名産や観光施設のピーアールなどをしていた福島県のキビタン同じく福島県はいわき市の幸水ナシ子
栃木県のとちまるくん群馬県のぐんまちゃん千葉県のチーバくん
茨城県のハッスル黄門左は海ほたるPAのキャラクターである海ほたるくん、右はNEXCO東日本のマナーアップキャラクター・マナーティ

(編集部:小林 隆)
2011年 8月 4日