フリースケール、「テクノロジー・フォーラム・ジャパン2011」を開催 ISO26262に向けた「セーフティ・アシュア・プログラム」を開始 |
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは13日、都内で「フリースケール・テクノロジ・フォーラム・ジャパン2011」を開催した。
同フォーラムは顧客や開発者向けに同社の製品や技術を紹介するイベント。半導体メーカーである同社は、売上のうち最大の36%を車載製品が占めており、テクノロジー・フォーラムでも車載向け新製品の発表や、展示が多数行われた。
ステファン・リーマン氏 |
■拡大する車載向けIC
米フリースケール・セミコンダクタのグローバル・オートモーティブ・セグメント マーケティング・ディレクタであるステファン・リーマン氏によれば、同社は1979年に世界で初めて車載向けマイクロコントローラー(MCU)を提案しており、車載製品には長い歴史を持っている。2010年には車載向けICを7億5000万個出荷しており、単純計算で世界中の自動車は1台あたり10個のフリースケール製ICを搭載していることになると言う。より精密に計算すれば、2010年には5000万台の新車にフリースケールのICが搭載されていた。
また製品をMCUに限れば、1996年から40億個の車載MCUを出荷。2009年から2010年にかけては売上が43%増加し、シェアも拡大した。世界シェアはルネサス エレクトロニクスに次ぐ2位となっている。
車載分野では、エンジンはもとよりシャシー制御、安全強化、環境対応、ドライバー・インフォメーション・システム(DIS)、ハイブリッド車やEVのパワートレーン、車内ネットワークなどで需要が増えており、1台あたりのMCUやICの数が増えているうえに、新興市場を中心に自動車の台数も増えていることが、車載分野の成長の要因だ。
MCUに限って言えば、同社は2013年までに13%の成長を見込んでおり、ハイブリッド車やEV、レーダーやサラウンドカメラなどの先進運転支援システム(ADAS)、DISに注力していくと言う。
車載製品には30年以上の歴史を持ち、2010年には7億5000万の車載ICを出荷した | フリースケールが扱う車載製品はMCU、マイクロプロセッサー、センサー、アナログとソフトウェアで、用途も多岐に渡る | |
車載向けMCUの市場は拡大しており、フリースケールのシェアと売上も増えている | これからは環境車、運転支援システム、DISに注力する |
世界各国の交通事故死者数。先進国では減りつつあるが、新興国では増えており、数もはるかに多い |
■機能安全支援の「セーフ・アシュア・プログラム」を開始
会場で発表された車載製品は、車内ネットワーク「LIN」用のアナログ製品「MC33662」。同社はウォーターポンプ、リア・ウィンドー・ワイパー、後部座席の温度調節、リモコン、コラム・ポジション・センサ、アクセサリ・スイッチ・モニタ、シート・メモリ、ウィンドー操作、サンルーフ制御などに最適としている。
もう1つ、これは車載向けに限らないが、機能安全をサポートするプログラム「セーフ・アシュア」の開始を発表した。
機能安全とは文字通りクルマなどの工業製品が人間に危害を加えないよう、安全なものにすることで、そうした安全な製品を開発するプロセスを含む。クルマに搭載される電子機器が増えるにつれ、これらがきちんと機能を果たすことで、安全を確保することが重要になってきている。電子機器全般の機能安全に関する国際規格「IEC61508」があり、これをベースに車載電子制御システム向けとした「ISO26262」が2011年中に発行される予定だ。
セーフ・アシュアはこれらへの対応を提供し、フリースケールのカスタマーの負荷を軽減するもの。開発プロセス、ハードウェア、ソフトウェアでの機能安全を確保するほか、カスタマー向けのドキュメント、トレーニングといったサポートを含む。
セーフティ・アシュアは、カスタマーが機能安全を容易に実現できるようにするプログラム |
(編集部:田中真一郎)
2011年 9月 14日