IEEE、スマートグリッドの相互運用性指針「IEEE 2030」を発行

2011年9月19日発表(現地時間)



 IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineer:米国電気電子技術者協会)は9月19日(現地時間)、スマートグリッドの相互運用性の参照モデルに関する指針「IEEE 2030」を承認し、発行した。

 IEEEでは、通信や電気、電子に関する規格策定なども行っており、よく知られている規格として、IEEE 802.3(イーサネット)、IEEE 802.11(無線LAN)などがある。

 IEEE 2030では、スマートグリッドの相互運用に必要な、電力システム(EPS)、アプリケーション、電力機器にかかわるエネルギー技術と情報技術などについて、用語、特性、機能パフォーマンスと評価基準などの定義を行い、機能インターフェースの同定、論理接続とデータフロー、コミュニケーションと連結、デジタル情報管理、サイバーセキュリティ、発電用途に重点を置く。

 このIEEE 2030は、IEEE Standards Storeで購入できる。

 また、IEEE 2030では、IEEE P2030.1(電動輸送インフラストラクチャ)、IEEE P2030.2(電力インフラストラクチャに統合された蓄電システムの相互運用性に関する指針)、IEEE P2030.3(電気エネルギー蓄積装置および電力システムアプリケーション向けシステムのテスト手順に関する標準)の3つの拡張版についての作業も始まっている。

 IEEE 2030作業部会の会長であり、米国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所の主席エンジニアであるディック・ディブラッシオ氏は、「これ(IEEE 2030)は、スマートグリッドの相互接続性と相互運用性について情報を提供するために、一から創り上げられた、世界初のシステムであり、基礎的な標準化です。この作業は、スマートグリッドの3つの主要原理、すなわち電力システム、コミュニケーション、IT (情報技術) の全方向から数百人もの人々の意見や考え方などの議論がなされ、2年間という短期間の開発環境の中で行われてきました。IEEE 2030は、スマートグリッドの迅速な普及と、それが世界中の人々にもたらされる画期的メリット、 つまり消費者にとっての選択肢の拡大、電力システムの信頼性向上、再生可能エネルギー源への 依存拡大の実現を支援しようとするものです」と述べている。

 このIEEE 2030は、スマートグリッドのシステムやアプリケーションを計画しているメーカーや研究者および科学者、また、スマートグリッドの運用や規制を検討中の政府や、スマートグリッドの標準開発機関(SDO)などに採用されるだろうとしている。

(編集部:谷川 潔)
2011年 9月 20日