日産、FF用ハイブリッドシステムと新型CVTを公開
ハイブリッドはダウンサイジングエンジンと組み合わせ

新世代エクストロニックCVTを搭載した試作車

2011年10月13日発表



 日産自動車は13日、2~3.5リッター車用の新型CVTと、FF車用の新開発ハイブリッドシステムを公開した。

新世代エクストロニックCVT
 新型CVTは、2~3.5リッターのFF車用。変速比幅7を実現し、フリクションを約40%低減することで、同クラスの現行CVTから燃費を約10%改善した。2012年に北米で発売する新型車から搭載し、全世界に展開する。

 変速比幅の拡大は、プーリーの軸径を小さくし、それに合わせて形状を変更した新開発ベルトにより、軸間距離を大きく変えることなく、2つのプーリー比を拡大することで実現した。変速比幅7は、2リッター車以上のCVTとしては世界トップレベルとしている。

新世代エクストロニックCVT

 フリクションの低減は、約500点の部品のうち300点を見直し、オイルリーク量を低減してオイルポンプを小型化し、さらに低粘度オイルを採用することで実現。約40%のフリクションが低減された。

 また、アクセル操作やハンドル操作などからドライバーの意図を読み取り、最適なギア比を選択する「アダプティブシフトコントロール」、加速時に車速に合わせてエンジン回転を上昇させて加速フィーリングを改善する「リニアシフト制御」、エンジンとトランスミッションの協調制御、ロックアップ領域を拡大する「低剛性ロックアップダンパー」などを採用する。

新世代エクストロニックCVT(5分58秒)

FF車用新開発ハイブリッドシステム
 同社のFR用ハイブリッドシステムと同じく、1モーター2クラッチ方式を採用するFF車用のハイブリッドシステム。2013年に北米市場で発売し、全世界に展開する。

 1モーター2クラッチシステムは、薄型のリング型モーターの内側にクラッチシステムを収めることで小型化し、新世代エクストロニックCVTのトルクコンバーターの代わりに搭載する。

FF車用ハイブリッドシステム

 パワートレーンの出力の流れはFR用と同じく、エンジン-クラッチ1-モーター-トランスミッション-クラッチ2-駆動輪。クラッチ1の接続/切断により、モーターのみの走行、エンジンとモーターによる走行、エンジンのみの走行、減速時のエネルギー回生などをコントロールする。駆動用バッテリーはリチウムイオン。

 エンジンは直列4気筒2.5リッター メカニカル・スーパーチャージャー。アトキンソンサイクルとメカニカル・スーパーチャージャーを組み合わせたダウンサイジング・エンジンとし、十分なパワーとレスポンスを実現しつつ、パッケージをコンパクトにし、燃費を改善した。

メカニカル・スーパーチャージャーを採用する新世代エクストロニックCVTと組み合わされる薄型モーター

(編集部:田中真一郎)
2011年 10月 13日