NEXCO東日本、SA/PAを震災時の防災拠点として整備
東北無料措置の影響で通行増も収入は減

2011年10月27日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は10月27日、定例会見を開催、2013年度までの中期経営計画などを発表した。

SA/PAを防災拠点に
 中期経営計画は2011~2013年度の経営計画。この期間を「経営基盤の強化を図り、経営の安定、さらなる発展を目指す期間」と位置づけ、「経営資源の戦略的配分」「事業領域の拡大」「グループ経営の高度化」「地域に根ざした経営」「技術革新による高品質と低コスト」「東日本大震災の経験をいかした防災対策・減災対策」を目指す。

 中でも防災対策は、当初3月の予定だったこの中期経営計画の策定を延期し、大震災の経験をもとに見なおしたもの。

 同社は震災の発生から20時間で、同社管内の道路を緊急交通路として確保したが、その直後から自衛隊や警察、緊急医療チームなどがサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)を基地として活用した。

 同社は周辺自治体と包括協定を結んでおり、災害時のSA/PA活用も協定に含まれているが、東日本大震災での利用を見て、より具体的に震災時のSA/PAの活用方法を策定することにしたと言う。全国から来る救援チームの拠点として燃料供給や通信手段の提供を行い、利用者や地域住民の避難先として水や食料を備蓄する。

 このほか、中期経営計画期間中の渋滞損失時間削減目標は、2010年末に667万8000台・時だったのに対し、2013年末までに663万3000台・時にするとしている。このため、損失時間の大きい個所から優先順位をつけ、付加車線などを整備する。具体的には、京葉道路の穴川IC~貝塚IC(上り)に2013年度までに900m、同区間(下り)に2015年度までに2kmの付加車線を、京葉道路花輪IC(上り)に2011年度に700mの加速車線延伸を完成させる。

 さらに期間中に160kmの路線を新規に開通、ミッシングリンク解消を目指すほか、ICを4個所、スマートICを6個所新設し、SA/PAを4個所、追加・改築する。

 SA事業では、期間中に3個所の新たな「Pasar」を事業着手。地域と連携したSA/PA施設「ドラマチックエリア」は期間中に8個所を開業し、14個所とする。

東北地方無料措置後
 東日本大震災の被災者支援と復旧・復興支援として行われた東北地方無料措置の、開始から4カ月後の状況が報告された。

 これによると、10月の対象エリアの交通量は概ね措置前の1.5倍前後に増加。一方でETC利用率が措置前から半分近く減った。渋滞は措置当初よりも約3割減った。

 この無料措置が影響し、同社全体の9月の通行台数は、前年比0.4%増の288万4000台/日、年度累計で前年比2.6%増の281万7000台/日と増加。一方で料金収入は9月単月で5.1%減の453億2900万円となり、累計も7.9%減の2745億200万円に留まっている。

(編集部:田中真一郎)
2011年 10月 28日