富士キメラ総研、2020年の車載電装機器は「安全/快適」がキーワード

2011年9月21日発刊



 富士キメラ総研は、車載電装機器市場の動向を「車載電装デバイス&コンポーネンツ Select 2012(上巻)」としてまとめ、9月21日に発刊した。価格は9万9750円。

 カーエレクトロニクス市場をシステムとデバイスの視点で捉えた調査。情報系デバイス6品目、情報系機器8品目、快適/安全系デバイス11品目、快適/安全系システム11品目、操作系デバイス6品目の5分野の42品目を対象とした。

 この中で特に、これらの機能が集約されるインストゥルメントパネル関連について、将来を予測している。この分野は快適性と安全性のウェイトが高くなっており、今後もこの傾向が強まるとしている。

 視線を大きく移動させずに情報を認知できる「ヘッドアップディスプレイ」は、2010年には27万台68億円だった市場規模は、2020年には4倍近い189万台、265億円になるとしている。

 高速走行が日常的に行われる欧米を中心に、2015年以降、価格低下や機能向上により採用が進むが、価格が高いためにミドルクラス以下の車両への普及には時間がかかるとしている。また日本では高速走行の機会が少ないため、普及が限定的になることも予測されるとしている。

 「タッチパネル(静電容量式)」は、スマートフォンをきっかけに開発・改良が進み、2012~2013年に大量導入が始まるとしている。2020年には2011年の104倍近い1378万枚、207億円の市場になるとしている。

 「ハプティックデバイス」は、カーナビやオーディオのタッチスイッチなどで、反力感をドライバーに伝え、操作しやすくするもの。タッチパネルの普及とともに需要が高まり、2020年には2010年の50倍となる4312万個、150億円の市場になるとしている。

 「車載カメラモジュール」は、バックモニターや先進運転支援システムの画像認識用、ナイトビジョンなどに使われる。欧米ではバックモニターの搭載義務化の動きがあり、先進国での先進運転支援システムの普及で市場が拡大するが、2015年に2010年比4.5倍の3978万個まで拡大するが、2017年以降は市場が成熟して1桁成長となり、2020年には2010年比6.4倍の5600万個となる。

 なお同社は世界の自動車生産(乗用車、トラック、バス)が2015年に1億台、2020年に1億1120万台と予測。対象となる42品目の市場規模は、2020年には2010年比35.6%増の13兆4648億円になるとしている。

 また、情報系機器・デバイス分野では、PNDがスマートフォンに取って代わられて急速に衰退する一方、車載カーナビは精密な経路案内や車両制御に関与する機能を備えるか、PND並みの価格を実現することで、2020年には2010年比17%程度の伸びを記録するとしている。

(編集部:田中真一郎)
2011年 11月 4日