トーヨータイヤ、エコタイヤ「NANOENERGY」発表会
AAA-bのエコタイヤを日本で最初に発売

トーヨータイヤNANOENERGY発表会

2011年12月1日開催



 トーヨータイヤ(東洋ゴム工業)は12月1日、ラベリング制度において、転がり抵抗性能AAA、ウェットグリップ性能bを実現したエコタイヤの発表会を開催した。製品名は新ブランド「NANOENERGY(ナノエナジー)」を冠した「NANOENERGY 1」で、サイズは195/65 R15の1サイズ。2012年2月1日より発売。また、転がり抵抗性能「AAA」、ウェットグリップ性能「c」の「NANOENERGY 2」は、185/65 R15~215/45 R17の全10サイズで2012年6月1日より発売する。

NANOENERGY 1
代表取締役 中倉健二社長

 ナノエナジーは、国内だけでなく、来年秋に低燃費タイヤのラベリング制度が始まる欧州など、世界市場に展開していくブランド。代表取締役の中倉健二社長は、新しい技術の革新を山登りに例え「未踏峰を登るというのはきわめて難しい。しかしこのチャレンジをやっていきたいと思い、昨年、他社に先駆けAAA-cという製品を出させてもらった。そして今日、AAA-bという新たな最高峰に到達したことをみなさまに発表させてもらう」と述べた。また、昨今韓国勢が日本の製造業に対し優位に立つなど、よりグローバル競争はきびしくなっているとし、「しかし製造業としては技術を育てて中身で勝負していく。それが生き残る方策。我が社としても自ら技術を開発し、新しい商品を作って生き延びていきたい」と、グローバル戦略に対する意気込みを語った


タイヤ事業本部 タイヤ技術本部長 山本卓司氏

 続けて、タイヤ事業本部 タイヤ技術本部長の山本卓司氏より、ナノエナジー1の技術説明が行われた。まず、同社が低燃費タイヤに力をいれる背景として、ハイブリッド車の低価格化、多様化により、販売台数が増加していることを挙げ、今後低燃費タイヤの需要が増加するという見込みを述べた。

 転がり性能AAAを実現しながら、ウェット性能bを成し遂げるのはとても難しかったと言う。まず、昨年発売したAAA-cの「SUPER ECO WALKER(スーパーエコウォーカー)」をベースに、ウェットグリップを上げるため、トレッドコンパウンドのフィラー(主にシリカ)を増量したと言う。さらにウェットグリップを向上するグリップポリマーを採用した。

 次にトレッドパターンを改良。リム幅の最適化や、周方向のサイプにより、制動時の接地圧の均一を図った。これは、ゴムのμは圧力が下がるほど上がる特性があるためで、接地圧を均一にすることで、ウェットグリップ性能の向上を図ったもの。

 これらによってウェットグリップは向上したが、最後に薄肉ボディーや、低燃費Ply-Toppingコンパウンドなどにより、転がり抵抗を低減して、AAA-bを実現したとのこと。

ハイブリッド車の普及から、低燃費タイヤの需要の増加が予想される新たなエコタイヤブランド「NANOENERGY」
NANOENERGY 1と2の2グレードを展開AAA-cのNANOENERGY 2は全10サイズをラインアップNANOENERGY 1の商品コンセプト
技術開発のアプローチアプローチ1アプローチ2
制動時に圧力が高いところが減っているアプローチ3NANOENERGY 2の商品コンセプト

 また、新たなゴムの開発に関しては、ナノ分析、ナノ解析、ナノ素材設計、ナノ加工という4つの技術の融合により、成し得たものだとした。

 なお、オープン価格ではあるが、実売価格については、他社製品と競合できる価格になるとのこと。また、NANOENERGY 2については、従来のスーパーエコウォーカーと同じAAA-cとなるが、価格は従来品より安くなり、また溝の深さが増えているため、ライフは伸びるとした。

タイヤから見たナノサイズは、地球から見たパチンコ玉のようなもの新たなゴム材料開発基盤タイヤのゴムは様々な原材料を混ぜて作る
ナノ分析ナノ解析
ナノ素材設計ナノ加工4つのナノ技術でさらに進化する

(瀬戸 学)
2011年 12月 2日