車載用リチウムイオン電池市場の拡大は想定より遅れ気味も、今後拡大
矢野経済研究所「リチウムイオン電池市場」調査より

2011年12月13日発表



 矢野経済研究所は13日、「リチウムイオン電池市場に関する調査結果 2011」を発表した。

 6月から11月にかけて、リチウムイオン電池メーカーに調査した結果で、詳細は「2011 年版 リチウムイオン電池市場の現状と将来展望」(157,500円)にまとめられている。

 これによると2011年度の世界リチウムイオン電池市場規模は1兆1693億円で、前年比108.2%。順調な拡大の原動力となったのは、スマートフォン、タブレットPCといった小型民生用と、プラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)用といった車載用の需要拡大。

 車載用は電気自動車(EV)用が期待ほど立ち上がり切れておらず、想定より拡大のペースが遅れる見込み。しかし、インフラや航続距離の問題がないPHV、HVが現実的な解として求められており、これらはEVよりも電池の搭載量が少ないものの、民生用小型電池よりは巨大なため、市場拡大への貢献が期待されている。

 また、東日本大震災と原発事故により、リスク回避や再生エネルギー活用のための産業用の需要が前倒しされていることも指摘している。

 これらを背景に同社は、2013年度には1兆8058億円、2015年度には2兆8834億円に成長すると予測。この中で産業用と車載用の構成比が大きくなっていくと見ており、2015年度には車載用は全体の33%を占めるとしている。

リチウムイオン電池世界市場規模推移・予測(出典:矢野経済研究所)

(編集部:田中真一郎)
2011年 12月 13日