首都高、距離別料金制の移行で、利用台数は微減、渋滞は大幅減少
2012年1月定例会見より

首都高速道路 代表取締役会長兼社長 橋本圭一郎氏

2012年1月25日開催



 首都高速道路は1月25日、距離別料金移行後の状況、首都高の構造物の大規模更新などについて定例会見を行った。

スムーズに進んだ距離別料金制への移行
 同社代表取締役会長兼社長 橋本 圭一郎氏は、「1月1日0時からの距離別料金制移行はスムーズにできたものと考えている」と述べた後、距離別料金制移行後の交通量を紹介。1月10日~16日までの平日では、利用台数が前年同期比(1月11日~17日までの平日)で2%減少し、渋滞量は30%減少。1月8日~9日、15日の休日(日曜、祝日)では、利用台数前年同期比(1月9日~10日、16日)で3%減少し、渋滞量は41%の減少となった。

 利用台数は、3月の震災以降ほとんどの月で微減しており、距離別料金制以降後の微減については、速報値のためその要因をまだ特定できないと言う。2~3カ月ほど様子を見ないと、正確なことは言えないとした。

 ただ、ETC利用率については、88%~89%であったのものが、初めて90%を突破。現金利用車では、料金が上限の900円となることから、距離別料金制移行の影響があると見ていた。

平日の利用台数と渋滞量、ETC利用率休日の利用台数と渋滞量、ETC利用率

 なお、首都高ではこれまで通行台数は、料金圏別にカウントしており、埼玉エリア、東京エリアを同一の車が走行しても2台と計上していた。料金圏が撤廃となったことから、今後はそのような計上は行わず、1台は1台としてカウントされる。今回比較に使われた前年同期の数字は、補正後の数字となっている。

 各区分の増減については、距離別料金制への移行によって料金が値上げとなるETC車は微減、値下げとなるETC車は微増という結果だったが、現金車は明らかに減少傾向を示した。現金車は、距離別料金制移行に伴い、より安価な料金で走行できるETC車に変わった可能性もあるとした。

 まだ、各所での断面通行台数については、料金圏の境目となっていた美女木JCT(ジャンクション)付近において、東京料金圏に属していた戸田南が24%の減少。一方、埼玉料金圏の与野(5%増)、浦和南(9%増)となっていることから、戸田南で乗っていたユーザーが、与野や浦和南から乗るようになったことを示している。東京料金圏-神奈川料金圏の境目となる羽田や浮島近辺でも同様の傾向が出ていると言う。

利用台数の傾向断面通行台数の変化

大規模更新のあり方に関する調査研究委員会を設置
 橋本会長兼社長は、「首都高速道路建造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会」の設置についても発表。首都高速は、今後数十年にわたってメンテナンスされていくが、このままメンテナンスし続けるのがよいのか、一度どこかのタイミングで大規模な変更を行い、トータルでのメンテナンス費を下げることができるのか検討するというもの。その際、道路の形状(線形)を変更すると安全性が向上するものについても、検討を加えていくと言う。

 首都高の建造物に大きく変更を加えるのはビッグプロジェクトとなるため、この点に関しては、予算や工事個所など多くの質問がされたが、「首都高は道路管理者の立場であるため、まずは委員会での検討による」とし、首都高としては予断を持たずに建造物を見直していく。

首都高速道路建造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会について委員名

 距離別料金制や大規模更新以外には、首都高が取り組む環境、海外事業展開などの取り組みについて紹介された。その中でもトピックとなるのが、開通50周年に向けた取り組みだろう。

環境への取り組み海外事業展開
パーキングアート
開通50周年の取り組み小学生対象の職業体験プログラム

 首都高は、1962年(昭和37年)12月20日に1号線 京橋~芝浦間4.5kmが開通し、2012年に50周年という1つの区切りを迎える。この50周年を記念して、記念キャンペーンや特別見学会、記念ロゴマークなどの制作などを行っていく。

 また、首都高では現在、利用者の声を積極的に拾い上げ、道路や標識の改善を行っている。2011年7月~12月では、76件の改善を実施。その代表的な例が数個所紹介された。

利用者の声による改善改善事例、箱崎付近扇大橋付近
赤坂カーブPA(パーキングエリア)への誘導分岐案内

(編集部:谷川 潔)
2012年 1月 26日