NEXCO東日本、篠塚建次郎氏による「ウィンタードライビングスクール」を開催
初の信越地区開催

篠塚建次郎氏によるデモラン

2012年2月17日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は2月17日、ラリードライバー篠塚建次郎氏による「ウィンタードライビングスクール」を開催した。会場は新潟県の上越国際スキー場 大沢駐車場内特設コース。参加費は無料。

 ウィンタードライビングスクールは、これまで北海道や福島県のスキー場で開催されてきたが、新潟県での開催は初めてのこととなる。

 午前、午後の計2回開催された今回のスクールは、それぞれ篠塚氏による約45分の講演が行われたあと、15分の休憩後、大沢駐車場内の特設コースを来場者自身のクルマで走行できる実技時間が約1時間30分設けられた。

篠塚氏による講演会

 講演の前半では、篠塚氏がこれまでのレース経験を中心に語った。篠塚氏は1997年にパリ・ダカールラリーにおいて日本人初の総合優勝を果たしたが、近年では太陽エネルギーで走行する「ソーラーカー」のレースにも東海大学の開発した車両のドライバーとして出場。オーストラリアで開催された2009年、2011年と2連覇を果たしている。

 後半は今回のスクールのメインとなる雪上走行時の注意点について解説。篠塚氏は、「今日は、普段経験できないことができるコース。雪上で普段経験できないことを体験することで余裕を持った運転ができるようになってほしい。経験を積むことで運転に余裕ができるようになる。クルマの運転は技術の優劣よりも、クルマの挙動を体が覚えているか、クルマの挙動に対してどう判断して運転するかが重要」と、経験を積むことの重要性を語った。

 さらに、交通安全のための6つのルールについても述べた。1つはシートベルトの大切さで、篠塚氏自身もパリ~ダカールラリー出場時に事故にあったことがあり、その重要性を再認識したと言う。2つ目はイライラしたりせず、運転に集中すること、3つ目はうっかり運転の防止、特に年齢を重ねることにより、自分自身も運転中に「危ない」と思うことが増えていると言う。左右を確認する基本が重要であるとした。

 4つ目は周囲のクルマの状況を常に把握しておくこと。自分のクルマの挙動は常にまわりに影響を与えていることを意識しながら運転してほしいという。5つ目は上記でも述べたように運転には常に余裕を持つこと。6つ目は、雪道を運転する上で重要なポイントとして、路面をいかに読むか、ということを挙げた。圧雪路、新雪、凍結状態などで、路面はそれぞれタイヤのグリップが異なる。今回はそういうところも経験をしてほしいと語った。

 最後に篠塚氏は「滑りやすいところは誰でも怖い。恐怖心があると実力の半分程度しか出せない。それでも、スピンなどを何度も経験することで恐怖心は減っていく。ぜひ、経験を積んで恐怖心を取り去ってほしい」と講演を締めくくった。

 後半の実技では、雪上でABSの動作を体験するための直線コースと、雪道でのコーナリングを体験できる周回コースの2種類が用意された。参加したのは各回とも事前の抽選で選ばれた15名。参加者はまず、夏タイヤ(ラジアルタイヤ)での雪道急ブレーキ体験を体験したのち、スタッドレスタイヤ装着済みの自身のクルマに乗り換え、急ブレーキ体験を2回実施し、周回コースに移動。まずはインストラクターが同乗してコースの案内をしながら2周、その後篠塚氏が助手席に同乗しながら2周し、参加者にアドバイスを行っていた。

会場となった上越国際スキー場 大沢駐車場内特設コースコースの概要。右側がブレーキングテストコース、左側がS字カーブとスラロームが設定された周回コース
上方からみたブレーキングテストコース同じく周回コース
あらかじめ用意された夏タイヤ装着車によるブレーキ体験当然ながら頻繁にスタックするので、人力で押し出すことになる
ラジアルタイヤの後は自車に乗り換え、スタッドレスによる急ブレーキを体験

 急ブレーキ体験のあとは周回コースで雪上走行を体験できる。1人あたり合計4周できるので、外から見ているだけでも徐々に雪上での運転に慣れてくるのが見て取れた。

1人あたり4周の走行が可能となっていた

 スクールの最後には、篠塚氏によるデモンストレーション走行を実施。ジャンケンで勝ち残った2名の参加者が助手席に同乗でき、プロドライバーのテクニックを間近で体験することができた。

篠塚氏による大迫力のデモラン

 雪道を走行する機会はあっても、なかなか限界走行をする機会はない。新潟出身の参加者の方によると、今回のコースのような路面状況は、現地でも少し奥の道に入ると普通にあり得る状況だそうだ。ドライビングスクールは、そうした路面状況でどのような運転をすればよいか、ということを安全な環境で体験できる貴重な機会となっていた。

(清宮信志)
2012年 2月 21日