マキシム、車載用半導体製品の説明会

米マキシムのドゥルージャCEO

2012年3月1日



マキシム・ジャパンの滝口社長

 米マキシム・インテグレーテッド・プロダクツの日本法人であるマキシム・ジャパンは1日、都内で記者会見を開催、マキシム・インテグレーテッド・プロダクツのトゥンチ・ドゥルージャCEOら同社の自動車向け半導体事業について説明した。

 マキシムはアナログICとミックスドシグナルIC(アナログとデジタルの混載製品)の大手ベンダーで、通信、コンピューターをはじめとする28の分野で6700以上の製品を扱っている。

 このうち車載向けが占める割合は現在のところ5%程度だが、これを10%程度高める意向を持っており、マキシム・ジャパンの滝口修社長は「車載分野はマキシム・インテグレーテッド・プロダクツにとってもマキシム・ジャパンにとってもトップフォーカス。EV(電気自動車)/HV(ハイブリッド車)など、クルマが多様化し付加価値の向上が望める分野が増えてくる」と述べている。

マキシムの車載製品

 マキシム・ジャパンの徳丸和宏第3営業統括部長は、日本で注力する分野を「インフォテインメント」「ボディー・エレクトロニクス」「EV/HVのバッテリーマネジメント」の3つとした。

 インフォテインメントはカーナビやカーAVに関わる分野だが、この分野では同社はアンプ、ディスプレイのバックライト、TVチューナー、アンテナ、リアエンターテイメント、USB関連などの製品をリリースしている。

インフォテインメント関連の製品の1つであるUSBプロテクタ「MAX169」シリーズ静電容量式タッチパネルは手袋をしたままでも、パネルに指以外の異物が付着していても指を検出できる。モバイル用に開発されたものを車載用にアレンジ

 ボディー・エレクトロニクスは灯火類、キーレスエントリー、インストゥルメントパネル、ヘッドアップディスプレイなどがある。とくに灯火類は、LEDのドライバにフォーカス。省エネルギーであることから、世界中の自動車メーカーに外装や内装にブランド構築の一助として多用されていると言う。

キーレスエントリーシステムは、従来より低い周波数帯を使うことで少ないアンテナでも広い範囲でキーを検出できるようになり、スマートフォンなどとの混信も避けられるようになった

 EV/HVのバッテリーマネジメントは、バッテリーモジュールを管理するICのソリューションだ。EV/HVのバッテリーは大容量が必要なため、複数のバッテリーセルをまとめてモジュールを構成し、そのモジュールをさらに複数まとめてバッテリーパックとしている。バッテリーセルはそれぞれ容量や充放電特性、寿命などに小さなばらつきがあり、また特定のセルに負荷がかからないようにする必要がある。それぞれのセルの状態を検出し、問題があれば車両のマスターコントローラーにその旨を伝え、マスターコントローラーの指示通りに制御するため、モジュールごとにセンサーICを搭載している。

 従来はこれらのモジュールごとのセンサーIC1つ1つが、それぞれマスターコントローラーと接続されていたが、マキシムの新世代センサーICは、隣り合ったセンサーICどうしを直列接続する「デイジーチェーン」が可能になった。これによりコスト削減が可能になった。

第1世代(左)と第2世代のバッテリーマネジメント製品。第2世代はデイジーチェーン接続が可能
第2世代のバッテリーマネジメント製品。奥に見えるの黄緑の円筒形がセルで、2段に重ねられている。1モジュールにつき12セルがあり、2モジュールが上部中央の配線でデイジーチェーン接続されている。右はモニタ画面で、セル1つ1つの状態が表示されている

(編集部:田中真一郎)
2012年 3月 2日