【インタビュー】日産に聞く、「ムラーノ モード・ビアンコ」とは
上級車志向の強まる、SUV市場の声に応えて投入


 2月9日に発売されたSUV「ムラーノ」の特別仕様車「モード・ビアンコ」は、ホワイトのレザーシートとブラックのトリムという特徴的なインテリアを持つモデル。製造はオーテックジャパンが行い、直列4気筒 2.5リッターの「250XV モード・ビアンコ」(2WD[FF])、「250XV FOUR モード・ビアンコ」(4WD)のほか、V型6気筒 3.5リッターの4WDモデル「350XV FOUR モード・ビアンコ」をラインアップする。

 日産ではプレミアムSUVと位置づけられるムラーノに、特別な内外装を施したモード・ビアンコについて、日産自動車 マーケティング本部 マーケティングダイレクターオフィス シニアマーケティングマネージャー 栗原正信氏にお話をうかがった。


350XV FOUR モード・ビアンコ

日産自動車 マーケティング本部 マーケティングダイレクターオフィス シニアマーケティングマネージャー 栗原正信氏

──ムラーノにモード・ビアンコという特別仕様車を設定した理由は?
栗原氏:大きく2つあります。もともとムラーノは、トヨタ「ハリアー」と競合することが多かったのですが、最近はレクサス「RX」との競合も増えてきました。

 また、輸入車もこのクラスのSUVが増えてきています。これまでは、日産、トヨタのSUVを比較検討していたお客様が、輸入車、レクサスといったSUVまでを購入時に比較検討するようになってきたということが1つです。

 もう1つは、先代のムラーノでも、赤いレザーの「カベルネ」や、少しシルバーがかったグレーレザーの「スタイリッシュシルバーレザー」などレザーバージョンの特別仕様車を定期的に展開してきました。これらの特別仕様車を展開してきたことで、ムラーノには、「特別なレザーの特別仕様車が出てくるのでは」という期待を持たれているお客様も多いと考えています。

 このクラスは特別な内装を志向するお客様も多いことから、今回は“ハイコントラストインテリア”とし、黒のトリムに対し、白のレザーという組み合わせにしてあるほか、ゴールドのステッチを入れて、特別感を出しています。


後席前席シート地
コクピットまわりシートにはゴールドのステッチが入る
ドアの内側は、白と黒でハイコントラストを表現シフトレバーインテリアカラーは白の部分が多く、サンルーフ装着車では、室内の雰囲気が非常に明るい

 これまでは、レザーの色味を軸にした特別仕様車だったのですが、今回は外観も特別感を出そうということで、フロントグリルにLEDデイライトを標準装着し、LEDフォグランプも装備しました。フロントグリルは、ダーククロムフロントグリルというこだわりの色にしています。

──そのほか、外観で異なる点はありますか?
栗原氏:アルミホイールも、新造形のグラファイトフィニッシュアルミホイールにしています(3.5リッター車は20インチ、2.5リッター車は18インチ)。デザインテーマの1つに、ハイコントラストがあり、フロントグリルやアルミホイールのカラーを特別なものにすることで、黒と白の特別感を出しています。モード・ビアンコの製造はオーテックジャパンになるのですが、コントラストをテーマに一緒に開発しました。

ハイパーLEDデイライトや、LEDフォグランプを装備専用のダーククロムフロントグリル。3.5リッター車は、20インチの専用アルミホイールとなる

──ボディーカラーは、ブリリアントホワイトパール、スーパーブラック、グレイッシュブロンズ、ブレードシルバーの4色となっていますが、この4つに絞り込んだ理由は?
栗原氏:ハイコントラストがテーマのため、ホワイトパールとブラック、シルバーでも濃いシルバーとなるブレードシルバー、それにムラーノのメインカラーとして展開しているブロンズにしました。

──通常のムラーノと、ムラーノ モード・ビアンコの販売割合は?
栗原氏:モード・ビアンコは、ムラーノの上級グレートであるXVに設定しており、およそ20%がモード・ビアンコになると見ています。1月24日の発売直後からしばらくは10%程度、2月に入ってからは15%を超えてきており、最終的には20%を超えるのではないかと思っています。

──モード・ビアンコでは、オプションとして用意されていたBOSEサウンドシステムが標準で装備されているが、その意図は?
栗原氏:モード・ビアンコは、よりプレミアムで特別なクルマの購入を検討されているお客様に向けたモデルになっています。内装や外観だけでなく、音についても車種専用設計されたBOSEサウンドシステムを標準装着することで、空間と音をセットで満足いただければと考えています。特別な空間で、最上級の音を聞いてほしいと思っています。
 もともと、ムラーノを検討されるお客様は、音にもこだわられる傾向があり、実際に30%くらいのお客様がBOSEサウンドシステムをオプションとして装着されています。

車種専用に音作りがされたBOSEサウンドシステムを標準装着

──モード・ビアンコは、今後のムラーノの方向性を示しているのか?
栗原氏:初代となる先代ムラーノは、エクステリアデザインは非常に高い評価を得たのですが、一方でインテリアは「普通のクルマっぽいね」という評価も一部ではありました。現行ムラーノでは、エクステリアデザインを進化させたのに加え、インテリアデザインを大幅に変更しています。また、走りについても、先代はやや硬めの乗り心地という指摘もあったのですが、現行ムラーノでは快適な乗り心地と走行安定性の両立を図っています。

 現行ムラーノはDプラットフォームという、エルグランドなどと同じFFの最新プラットフォームを使っています。現行ムラーノになってからは、走行性能も乗り心地も大幅な改善をしました。先代と比べると、エクステリア、インテリア、走り、いずれも大きく進化したものになっています。

 その上で、市場にはより上級車へという志向があります。ムラーノはすでに、ムラーノより上のクラスのSUVとの競合も増えています。モード・ビアンコは、よりプレミアムなクルマをお求めになるお客様に向けて投入した特別仕様車になります。

(編集部:谷川 潔/Photo:高橋 学)
2012年 3月 16日