車載半導体市場は2020年には現在の倍に
環境/安全対策で拡大。矢野経済研究所調べより

2012年4月18日発表



 矢野経済研究所は18日、「車載用半導体の世界市場に関する調査結果 2012」を発表した。内容は、3月30日に同社から発刊された「車載用半導体市場の可能性と将来分析 2012-2013」(13万6500円)のサマリーとなっている。

 これによると、2011年の車載半導体世界市場は東日本大震災とタイ洪水にもかかわらず、想定より早く工場が復旧したことなどから前年比9.9%増の205億8000万ドルとなった。

 内訳は車載用マイコンが52億1000万ドル(前年比1.2%増、以下カッコ内は前年比)、車載半導体センサが34億7000万ドル(11.9%増)、車載用パワー半導体が28億7000万ドル(28%増)。

 マイコンが1.2%の微増に留まった原因を同社は、震災による一時的な供給不足のほか、日欧よりも新興国市場が新車販売の牽引役となっているため、価格が安くマイコン搭載数が少ない車両が多かったためとしている。

 半導体センサの伸びは、低燃費や安全システムのために、車両に搭載される圧力センサや加速度センサの数が増えたためとしている。同社はミドルクラスの車両で70以上のセンサが搭載されているとしている。

 パワー半導体の伸びの要因は、車両に搭載されるモーターやECU(Electric Control Unit)が増えたほか、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)に必要な高耐圧パワ-モジュールが金額ベースの市場規模を押し上げていると見ている。

 これらにより同社は、2011年の車両1台あたりの半導体平均コストを279ドル(前年比+20ドル)と推計した。

 2012年以降の車載半導体市場は、堅調に推移すると予測。

 HVはガソリン車よりもマイコンは1.5倍、センサは1.2倍搭載数が多く、パワー半導体のコストも高いため、HV/EVが車載半導体の市場拡大に寄与するとしている。

 また、EURO6を始めとするCO2規制に伴うガソリン車の燃費改善のほか、横滑り防止装置やサイドエアバッグ、レーダーやカメラによる運転支援システムの搭載拡大が、半導体の搭載数を増やすとしている。

 これにより、車載用半導体世界市場は、2015年に295億ドル、2020年には403億ドルに達し、2020年まで年平均7.8%成長すると予測している。

(編集部:田中真一郎)
2012年 4月 18日