フォーミュラ・ニッポン開幕戦「鈴鹿2&4レース」リポート
4人のシリーズチャンピオンが参戦

開幕戦を制した中嶋一貴選手(PETRONAS TEAM TOM'S)

20012年4月15日開催



 4月15日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で鈴鹿2&4レースが行われ、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン開幕戦と全日本ロードレース選手権シリーズ第2戦が開催された。

 2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン開幕戦の決勝レースは予選3位のポジションからスタートした2号車 中嶋一貴選手(PETRONAS TEAM TOM'S)がピット戦略で逆転し優勝。2位には予選2位からスタートし前半首位を独走した41号車 塚越広大選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、3位には19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(TEAM IMPUL)が入った。同日開催された2012 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ第2戦は、3周目にトップに立った634号車 高橋巧選手がそのまま逃げ切り優勝した。

 2012年シーズンのフォーミュラ・ニッポンは4人のシリーズチャンピオンが参戦することとなった。松田次生選手は2007、2008年、ロイック・デュバル選手は2009年、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手は2010年、アンドレ・ロッテラー選手は2011年にチャンピオンを獲得。過去5年間のチャンピオンが争うシーズンとなった。松田選手のフル参戦は3年ぶり、デュバル選手も2年ぶりの参戦となる。

号車ドライバー(チーム)エンジン
1号車アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)TOYOTA RV8K
2号車中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)TOYOTA RV8K
3号車安田裕信(KONDO RACING)TOYOTA RV8K
7号車大嶋和也(Team LeMans)TOYOTA RV8K
8号車ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)TOYOTA RV8K
10号車金石年弘(HP REAL RACING)Honda HR12E
16号車山本尚貴(TEAM 無限)Honda HR12E
18号車折目遼(SGC by KCMG)TOYOTA RV8K
19号車ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)TOYOTA RV8K
20号車松田次生(TEAM IMPUL)TOYOTA RV8K
31号車中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)Honda HR12E
32号車小暮卓史(NAKAJIMA RACING)Honda HR12E
38号車平手晃平(Project μ/cerumo・INGING)TOYOTA RV8K
39号車国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)TOYOTA RV8K
40号車伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)Honda HR12E
41号車塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)Honda HR12E
62号車嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)TOYOTA RV8K

 前日に行われた予選でポールポジションを獲得したのは40号車 伊沢拓也選手。参戦5年目で初のポールポジションだ。2位は41号車 塚越広大選手となり、フロンドローをDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが制した。3位は2号車 中嶋一貴選手。中嶋選手は初参戦の昨年は決勝ではよい走りを見せたが、予選では結果が出せなかった。予選で上位を獲得すればシリーズチャンピオンをグッと引き寄せることになりそうだ。以下4位は大嶋選手、5位は松田選手、6位はロッテラー選手となった。

 14時30分、43周の決勝レースがスタートした。ポールポジションの40号車 伊沢拓也選手がやや出遅れ、2番手スタートの41号車 塚越広大選手がトップに浮上。2号車 中嶋一貴選手が1コーナーでアウトから40号車 伊沢拓也選手に並びかけ2コーナーで先行し2位へポジションアップした。

 3位に後退した40号車 伊沢拓也選手の後方は7号車 大嶋和也選手、1号車 アンドレ・ロッテラー選手、19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手が続き、5番手スタートの20号車 松田次生選手は7位に後退した。

フォーミュラ・ニッポンのスタートシーン。伊沢選手を抜き塚越選手がトップ浮上(Photo:Burner Images)2コーナーで2位に浮上した中嶋一貴選手が塚越選手に続きS字進入オリベイラ選手が6位浮上。後方で松田選手と山本選手が7位争い

 1周目のスプーンカーブ進入で20号車 松田次生選手のインに16号車 山本尚貴選手が飛び込もうとするが、2台は軽く接触し姿勢を崩しオーバーラン。すぐに体制を立て直しそのままの順位でコースに復帰した。

山本選手が松田選手を抜き7位浮上

 2台の背後に迫った39号車 国本雄資選手がバックストレートで並びかけ3ワイドで130Rへ。20号車 松田次生選手を真ん中にアウト側に16号車 山本尚貴選手、イン側に39号車 国本雄資選手。ブレーキングで39号車 国本雄資選手が後退、アウトから大外刈りで16号車 山本尚貴選手が先行し7位へ浮上した。

 序盤は41号車 塚越広大選手と2号車 中嶋一貴選手が後続を引き離し、3位の40号車 伊沢拓也選手から6位の19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手までは第2集団となった。41号車 塚越広大選手のペースが速く、2号車 中嶋一貴選手をジリジリと引き離し10周目には3.9秒、13周目には5.2秒と差を付け独走態勢となった。

序盤から後続を引き離す塚越選手3位~6位争いは一定間隔でピットインまで続いた

 ところが14周目あたりから41号車 塚越広大選手のエンジン音がおかしくなった。本来のかん高い音ではなく低い音を残してマシンが駆け抜けていく。排気系のトラブルで万事休すかと思われたが、ラップタイムを落とすことなくトップを守ったまま周回を続けた。

 15周目から上位陣のピットストップが始まった。まずは4位の7号車 大嶋和也選手、1号車 アンドレ・ロッテラー選手がピットイン。タイヤ交換、給油を行い2台は順位を入れ替えることなくコースに復帰した。次の周に3位の40号車 伊沢拓也選手がピットイン。ピット作業がやや遅くコースに復帰すると7号車 大嶋和也選手、1号車 アンドレ・ロッテラー選手に先行され順位を落とした。

 3位集団の最後尾を走っていた19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手は前を走るマシンがいなくなり猛プッシュ。20周目まで引っ張りピットイン、コースに復帰すると7号車 大嶋和也選手の前に出ることに成功した。

大嶋選手とロッテラー選手が先にピットイン。順位は変わらずコース復帰オリベイラ選手がピット戦略で大嶋選手の前に立った

 トップ争いをする2台が動いたのはレースが折返しを過ぎた23周目。先にピットに入ったのはおよそ5秒先行する41号車 塚越広大選手。ピット作業は22.6秒を要し、他の上位チームより4~5秒遅かった。レース序盤に発生したエキゾーストパイプの割れが原因で燃費がわるくなり、給油量を増やす必要があったためだ。

 一方、2号車 中嶋一貴選手は燃料が減り軽くなったマシンで猛プッシュ。自己ベストをたたき出しながら3周を周回し26周目にピットイン。PETRONAS TEAM TOM'Sは18.1秒で作業を終えコースに送り出す。ピットアウトすると41号車 塚越広大選手の前でコースに復帰、トップの座を奪い取った。

ピット戦略で中嶋一貴選手がトップ浮上

 2位に後退した41号車 塚越広大選手がアウトラップの2号車 中嶋一貴選手に追い付き攻め立てるが抜くまでにはいたらず、タイヤが暖まると徐々にその差は広がった。

 後方では3位にポジションアップした19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手がペースを上げ、2位の41号車 塚越広大選手との差を縮める。さらに後方では6位に後退した40号車 伊沢拓也選手に16号車 山本尚貴選手が迫り、SUPER GTのチームメイト同士の争いとなったが、いずれも抜くまでにはいたらずそのままの順位となった。

大嶋選手はロッテラー選手を最後まで抑えきった伊沢選手と山本選手の6位争い松田選手はデュバル選手を抑えきり1点を獲得した

 最後まで安定したペースで逃げ切った2号車 中嶋一貴選手がトップでチェッカーを受け、昨年のオートポリスに続く2勝目。排気系のトラブルを抱えながら2位を守った41号車 塚越広大選手、終盤にミスファイヤが発生しペースダウンした3位の19号車 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手が表彰台を獲得した。

最終順位

順位号車ドライバー(チーム)エンジン
1位2号車中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)TOYOTA RV8K
2位41号車塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)Honda HR12E
3位19号車ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)TOYOTA RV8K
4位7号車大嶋和也(Team LeMans)TOYOTA RV8K
5位1号車アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)TOYOTA RV8K
6位40号車伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)Honda HR12E
7位16号車山本尚貴(TEAM 無限)Honda HR12E
8位20号車松田次生(TEAM IMPUL)TOYOTA RV8K
9位8号車ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)TOYOTA RV8K
10位38号車平手晃平(Project μ/cerumo・INGING)TOYOTA RV8K
11位3号車安田裕信(KONDO RACING)TOYOTA RV8K
12位10号車金石年弘(HP REAL RACING)Honda HR12E
13位62号車嵯峨宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)TOYOTA RV8K
14位39号車国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)TOYOTA RV8K
15位32号車小暮卓史(NAKAJIMA RACING)Honda HR12E
16位31号車中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)Honda HR12E
17位18号車折目遼(SGC by KCMG)TOYOTA RV8K

 第2戦は5月12日、13日にツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で開催される。

優勝し、手を振りながらウイニングランをする中嶋一貴選手フォーミュラ・ニッポンの表彰式(Photo:Burner Images)
優勝した中嶋一貴選手2位の塚越広大選手3位のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手

全日本ロードレース選手権シリーズJSB1000第2戦

全日本ロードレース選手権シリーズJSB1000のスタートシーン(Photo:Burner Images)

 2012 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズJSB1000第2戦はポールポジションの71号車 加賀山就臣選手(Team KAGAYAMA)がスタートでトップをキープ、21号車 中須賀克行選手(ヤマハYSPレーシングチーム)が2位で続いた。634号車 高橋巧選手(MuSASHi RTハルクプロ)はスタートで出遅れたが、すぐにトップ争いに追い付き3周目にトップに立った。

加賀山選手がトップでS字に進入トップ3台と少し遅れた柳川選手3周目にトップに立った高橋選手

 トップ3台から少し離れて87号車 柳川明選手(TEAM GREEN)が4位単独走行。その後方では104号車 山口辰也選手(TOHO Racing with MORIWAKI)、57号車 安田毅史選手(Honda鈴鹿レーシングチーム)、53号車 津田拓也選手(ヨシムラスズキレーシングチーム)が5位を争った。レース中盤からは6号車 出口修選手(エヴァRT弐号機トリックスターFRTR)、終盤には01号車 芹沢太麻樹選手(エヴァRT初号機トリックスターFRTR) が5位争いの集団に追い付き激しくバトルを繰り返した。

徐々に2位以下を離す高橋選手5位争いは3台から4台へ出口選手の後方、01号車 芹沢選手も終盤には5位争いに追い付く

 634号車 高橋巧選手はその後も快調に走行を続け、トップでチェッカーを受けた。終盤に激化した2位争いを制した21号車 中須賀克行選手が2位、ポールスタートの71号車 加賀山就臣選手(Team KAGAYAMA)は3位表彰台を獲得した。

 5位争いは01号車 芹沢太麻樹選手が13周のシケインで周回遅れと絡んで転倒、104号車 山口辰也選手が5位、57号車 安田毅史選手が6位、53号車 津田拓也選手が7位、6号車 出口修選手が8位でゴールした。

優勝した高橋選手JSB1000の表彰式

 2012 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ第3戦は5月12日、13日に筑波サーキット(茨城県下妻市)で開催される。


鈴鹿8耐記者会見

8耐の記者発表会も開催された

 4月14日、鈴鹿2&4レースが開催された鈴鹿サーキットで、7月29日に決勝レースが行われる2012 QTEL FIM世界耐久選手権シリーズ第3戦“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレースの記者会見が行われた。

 35回の記念大会となる今年の鈴鹿8耐の前売り観戦券は、大人5500円、中高生1600円。18歳~22歳の先着2000名の観戦料金が無料となる「8tai!ヤング割0円!キャンペーン」、観戦券を持つ大人と一緒に来場した子供5人が無料になる「8tai!子供と一緒に!キャンペーン」なども用意されている。


(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦/報道専用レースフォトデータベース Burner Images)
2012年 4月 23日