ランボルギーニ、「スーパートロフェオ・アジアシリーズ」開催
“ランボルギーニの高性能にうってつけ”の富士スピードウェイに18チームが集結

富士スピードウェイでランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズが開催された

2012年7月14日、15日開催



 7月14日、15日、静岡県小山町の富士スピードウェイにおいて、「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ」の第2戦が開催された。ランボルギーニ ガヤルドのワンメイクレースで、シリーズに参戦する各チームが速さを競った。

セールスが伸びるアジア市場でレースを開催
 ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・チャンピオンシップは2009年から欧州で開催されているレース。ブランド認知度を向上する目的で行われてきたが、ランボルギーニのパフォーマンスの真価を味わう稀有な機会としても、評価されていると言う。すでに3シーズンが行われているが、アジアでは今年が初開催。1戦目は5月にマレーシアのセパン・インターナショナルサーキットで開催されており、今回の富士が第2戦目となる。

 ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ・コーディネーターのクリスチアーノオ・インベルニ氏は、「中国をはじめアジア地域はセールスが伸びているランボルギーニにとって重要な市場」と話し、アジアシリーズの開催に至った理由を説明する。

 また、欧州と比べ、アジアシリーズのドライバーはジェントルマンドライバー(アマチュア)が多く、経験を積んで他のレースにステップアップすることも想定している。

 チームは現在18チームで、地域別の内訳は中国が9チーム、日本、香港、台湾から各2チーム、マレーシア、タイ、シンガポールから各1チーム。18チームとなったのはレースカーの製造能力の関係で、今年は18チームに抑えたため。来年はさらに4~5台増やすことも可能と言う。

 今年の開催場所は全6戦のうち半数の3戦が中国で、日本、マレーシア、台湾で各1戦。インベルニ氏は「アジア地域はFIAの基準を満たすサーキットがヨーローッパほど多くなく、開催可能な場所も限られる」と説明、来年は韓国やインドネシアでの開催も検討している。また、今回の開催の富士スピードウェイについて「280km/hもすぐに達成できるアジアでは最高速のサーキットで、ランボルギーニの高性能にうってつけのサーキット」と評価した。

 参加費についてはレースカー本体価格が21万ユーロ。オプションでメカニックのサポートなども受けられる。エントリーフィーを含めた総費用については明かされていないが、他のスーパースポーツカーメーカーが主催するレースと同等の費用としている。

 クルマはシェアして乗ることが可能で、各戦ごとにドライバーを変えることもできる。今回の富士では、中国のチームに日本人が乗るケースもあった。

ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ・コーディネーターのインベルニ氏ランボルギーニジャパン代表 エジナルド・ベルトリ氏
アウトモビリ・ランボルギーニ R&Dディレクターのモーリチオ・レジアーニ氏ブランパンの副社長兼マーケティング責任者のアラン・デラムラ氏
先日のブランパンの新作発表会と同じポーズを決める4氏ブランパンの時計も展示されたサーキット内にはアヴェンタドール(左)、ガヤルド(右)も展示された

レースカーのエンジンとギアボックスは市販車と同じ
 アウトモビリ・ランボルギーニ R&Dディレクターのモーリチオ・レジアーニ氏によれば、同レースに出場可能な「ガヤルド LP 570-4 スーパートロフェオ・ストラダーレ」はスーパートロフェオのレースカーと同じエンジン、同じギアボックスを搭載する。

 エンジンは車名の“LP570”のとおり最高出力は570PS(419kW)/8000rpm、最大トルク540Nm/6500rpmを発生する直噴のV型10気筒5.2リッターエンジンを搭載。ギアボックスは6速セミATの「e.gear」を搭載する。4輪駆動システムは電子制御ではなくビスカスカップリングを介して駆動力を前後比30:70で4輪を駆動する。

 ボディーは機能的に必要のない内装の省略と、外装の一部カーボン化やポリカーボネートのウインドースクリーンを採用、車重は通常のガヤルドに比べて110kg減の1300kgに抑えている。また、大型のリアスポイラーは通常のガヤルドの4倍のダウンフォースを発生する。

 クルマの性能は各車イコールで、セッティングで変更できるところはほとんどない。タイヤもドライとウエットの区別があるのみで、どのサーキットも同じ種類のタイヤを使うことになっている。これはレースの目的として同じ条件を与え、ドライバーの技量で競うことを狙っているためである。

スーパートロフェオ参戦車両は共通のピットが用意される参戦のガヤルドがずらりと並ぶ日本チームの2台、10号車と12号車
ロールケージで囲まれ、助手席のない内装ドアを開けるとロールケージが目に飛び込んでくる
タイヤはドライとウエットの2種類のピレリ製タイヤを用意するドライ用タイヤを装着したレースカー

ウエットながら迫力のある高速レース
 スーパートロフェオ・アジアシリーズの第2戦は、フォーミュラ・ニッポンのサポートレースとして開催された。プラクティス・セッションで50分間走行した後、途中に5分休憩がある予選が35分間、決勝は50分間のレースが2回。

 14日は18台中16台が参加。予選のコンディションはドライだったが、天候が変わり、決勝は直前に雨が降り出してウエットというコンディションになった。タイヤはドライとウエットの2セットが用意されており、一旦はドライでコースへと望んだクルマもグリッドでウエットに交換してのレースとなった。

 ポールボジションは中国の37号車で、決勝では1周目にスピン。一度は大きく順位を落とすが、順調に追い上げ、気づけば2位以下を大きく引き離すほどの速さを見せ、14日の暫定優勝を決めた。

 2位は日本のチームで10号車で、途中順位を落としていたが、最終ラップで2位に浮上して順位を決めた。この組はアマチュアドライバーとしての優勝となった。3位は中国のチームで、もう1つの日本チームとなる12号車は9位に終わった。

GT asiaの車両がパルクフェルメに戻った後、スーパートロフェオの車両がコースインする。GT参戦車両にもガヤルドが見える決勝スタート前にグリッドでタイヤをウエットに交換する
日本チームの10号車はキャンペーンガールも用意フォーメーションラップに望む
スタートはローリングスタート形式で行われたウエットコンディションにもかかわらず、各車とも1コーナーへ高速で飛び込んでいく一時スピンして順位を後退させるも、安定した速さを見せた37号車
決勝レースの結果表彰台の下へと集まった上位入賞車両
暫定表彰式アマチュアクラスでは日本人の操る10号車が優勝となったシャンパンファイトも行われた

第2戦で走行した16台

2号車 David/William(中国)
3号車 Chen/Yuan(中国)
6号車 Andrea/Bob(中国)
7号車 Xu/Zhang(中国)
8号車 Benny/Paul(香港)
9号車 Rizal Ramil(マレーシア)
10号車 寺島茂/安岡秀徒(日本)
11号車 Zhu Jun Han(中国)
12号車 石川資章(日本)
22号車 Ida/hashimoto(中国)
24号車 George/Max (タイ)
37号車 Anthony/Davide(中国)
38号車 Alex/hanss(台湾)
66号車 Zhang/Max(中国)
88号車 Keith/Kevin(香港)
99号車 Charlie-Ro Chariz(シンガポール)

(正田拓也)
2012年 7月 20日